表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の賽子  作者: 小工枝 攻臣
ふたたび
19/24

yume

見知らぬ天井。白くてところどころにシミがある。それを二秒ほど眺めてから、今の状況を思い出してはっとする。

「ここは・・・・・・!?」

保健室。佐野鷹之との喧嘩の後にもここで目を覚ました。

「あら、やっと目を覚ましたの。」

小野真緒。彼女が隣でパイプ椅子に座っていた。

「真緒ちゃん!」

体をはね起こして小野真緒の胸に飛び込む。

「無事だったんだな!」

頬が液体を感じる。涙があふれてきたのだ。

「ちょ、ちょっと煌!?」

普段は冷静な小野が取り乱す。

「よかった・・・・・・、よかった。てっきり・・・・・・いてええええ!」

小野から離れる。顔が痛い。突然痛くなった。

「も、もう! そんな顔をすり寄せるからよ!」

小野が顔を赤く染めてそっぽを向く。

「無事も何も、あの後佐野はすぐに教室を出ていったわ。」

佐野? なぜ佐野が出てくるんだ?

「情けないわね、まったく。こんなんじゃあ心配だわ。まだしばらくは私がそばに・・・・・・」

俺が分からないといった表情をみてか、小野が別の話をし出す。

「煌は佐野鷹之と戦ったでしょう? それで殴られているところに私が・・・・・・って、本当に分からないの?」

俺がきょとんとしたままなのを見て、小野が心配そうに眉を細める。

佐野鷹之と喧嘩したのは覚えている。その後、小野が助けてくれて、保健室で目を覚ますことも。


でもそれは昨日の話だ。なぜ小野は昨日の話をする?

「小野。今日の事件はどうした? 三ケ田先輩、寺島先輩、稲木美穂は? 藤原朧、豊崎優希は? その後どうなったんだ?」

「今日の事件・・・・・・?」

今度は小野がいぶかしげに見てくる。

「佐野鷹之のことではないの?」

「おいおいおい、それは昨日の話で・・・・・・。」


一つ。頭に馬鹿なことを思い浮かべる。本当にばかばかしいことだ。


立ち上がり、保健室のカレンダーを見る。しかし日めくりではないカレンダーでは瞬時に確認できない。

「どうしたの?」

「携帯を持ってるだろ。今日の日付を確認してみろ。」

馬鹿なことだ。でも俺は心のどこかですがっていたのかもしれない。

あんな結末よりはましだ、と。

「・・・・・・六月七日。」

小野が携帯で確認してから告げる。

しかし、日付を覚えていたわけではない。カレンダーを見ながら確認する。

週末は稲木美穂、三ケ田先輩と。月曜日に永瀬浩成とトレーニングだ。

火曜日は・・・・・・。

火曜日に佐野鷹之と喧嘩。

カレンダーを見つめる。

『六月七日(火)』と書いてあった。

「携帯。見せて。」

小野から携帯を借りる。猫の待ち受けの右上には六月七日とある。

携帯の日付をいじっているのか?

もう全てが疑わしく思えてくる。

世界が俺を騙しているんじゃないだろうか。

「悪い夢を・・・・・・、悪夢を見ていた。」

携帯を小野に返す。




いや、もしかしたらこっちが夢なんじゃないのか?

あの後、病院に運ばれて今夢を見ているんじゃないのか?

・・・・・・いや、違うな。

夢を夢じゃないのかと疑うと、これが夢だと必ずわかる。

ただ、夢が夢だと分かったとしても、その夢からすぐに覚められたことはない。

たちが悪いことに、夢なのではないかと疑う夢は必ず怖い夢だ。誰かに追われてここから、この夢から覚めたいと願う。いつもそういう夢だ。

そういう夢で、どうにか覚めたいと願った俺がとる行動がある。

目をつむり、布団か何かにくるまり、目が覚めろ目が覚めろとただただ願い続けるか。

それか自殺する。

起きた後に、馬鹿なんじゃないかといつも思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ