表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の賽子  作者: 小工枝 攻臣
3人の敵
18/24

「悪魔、ね。」

優希が馬鹿にしたようにクスクス笑う。

「そんなものが存在するって?」

優希の目に俺の目が吸い込まれた。母親にいたずらがばれた子供のように、俺は焦っていた。

「煌がそんなこというなんて。閑子ちゃんのおかげかなー。」

人差し指を口に当てながら微笑む。

「・・・・・・少なくとも、今のお前はおかしい。稲木が倒れたというのにそれを気にしないのは・・・・・・俺の知ってる優希じゃねえんだよ!」

声を荒げる。

「知っている・・・・・・ね。」

優希の顔に影が指す。

「知っている。それじゃあ『真実』にたどり着けないよ。けどまあ、知らない方が良かったんだよ、真実なんてね。だからさ――――――」

ペタペタ。

優希が喋るのを止める。

後ろからの足音に視線を向ける。

歩いてくる二人の人物。男たち。冨上ではない。

片方は知っている。藤原朧。

「まあ誰がやってもいいんだけど。」

知らない方の男がだるそうに口を開く。

「朧がやるようだが、異存はあるかい?」

沈黙が流れる。二人の男が歩みを俺からの距離約2メートル手前で止まる。

「・・・・・・私の返事はいる?」

呆れた声で優希が答える。


時間稼ぎ。

俺はまんまと優希の言葉につられてしまっていた。

でも、それでも。

俺は否定してほしかったんだ。


「やれ。」

知らない方が朧と視線を合わせ、顎で俺を指す。

朧が赤いハサミをポケットから出した。

見覚えがある。

さっき見た。

さっき見たんだ。

思い出す。目に焼き付いた光景を。

そいつが、三ケ田先輩の、腹に。



この三人は『エレメント』の敵だ。『土』の三ケ田先輩、『水』の稲木美穂はやられた。

おそらく『炎』の寺島先輩、『風』の永瀬浩成、そして『雷』の小野真緒も――――――。


「お前らが!!」

ハサミを構えた藤原朧の体に『重力』を発動させ、引力でこいつの体を引き寄せながら、こいつの顔に拳をぶち込んでやる!


少し開いたハサミが心臓に刺さっている。

痛みはない。ただ自分の目で確認しただけだ。


『重力』によって引き寄せた藤原朧。

やつには不意を突いた。体制を崩したはずだ。あの驚き、見開いた目を覚えている。


地面に前のめりに倒れる。

ハサミがさらに食い込んだ。


どうにか力を振り絞り、仰向けに寝返る。

暑かった室温が消えていた。




何も考えられない。





そばに立った俺を見る藤原朧が目に入る。


「君は、この世界にいらない。」


近くなのに遠くから聞こえる低い声が耳に入った気がした。


「物事が自分中心に回っていると思っていたのはみんなそうだ。みんな誰しも主人公だと思っている。だが、地球が太陽の周りを回っていたように、世の中心は君じゃない。君は回されている方なんだよ。――――――主人公ではない。」




そういえば俺、いつもの平凡な日常に不満があったっけな。なにかイベント。すげぇイベントを求めていたっけな。・・・・・・その結果がこれかよ。

情けねぇ。

なっさけねぇ。

本当に情けねぇ。

悔しい。

嫌だ。こんな結末は嫌だ。

必ず。

ああ神様。今度生まれ変わったら、もっとハッピーな結末を。

違うな。

違う。

今度。今度生まれ変わったら!

必ず幸せな結末を掴んでやる!

必ずだ!必ずだ!

絶対に。

絶対になああああああ!!!!!






「ゼロ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ