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怪しい神官

メリルは息を切らして豪邸の前に立っていた。

茶色のレンガづくりで赤い屋根、緑の草花に囲まれているとても大きな噴水が特徴的だ。

その豪邸の真ん中にある玄関に続いていると思われる大きなドアの前には2人の衛兵がいた。

彼女は緊張しながらも衛兵に話しかける。

「す、すみません!村長様に呼ばれたのですが!」

片方の衛兵は、少女を怖がらせないように笑いながら、「少々お待ちください。」と言って屋敷に入っていった。



少しの間待っていると、ドアが「ぎーっ」と音をたてて開いた。

衛兵が戻ってきたようだ。

「すみません、お待たせしました。どうぞお入りください。」

そう言ってドアを開く。

「ありがとうございます。」とメリルはお礼を言って屋敷の中に入った。

開いたドアの先には美しいが、無表情なメイドがいた。

一見白に見える銀色の髪は肩で真っ直ぐに切り揃えられており、目はこの村では珍しい夜空のような藍色だ。膝下の丈の黒いワンピースにフリルのついたエプロンという格好を着こなしている。

そんな美しい女性の姿を見て、彼女は頬を染める。女性は、「案内の者です。着いてきてください。」と無表情に言った。



大理石の階段を登ったり、広い通路を通ったりしているうちに大きなドアの前についた。

茶色の木でできた重厚なドアだ。

その重厚な扉を女性はノックした。

「お客様が参りました。」と女性が静かに言うと、扉が静かに開いた。

とても広い部屋に調度品。とても平民じゃ入れない部屋なので、メリルはまじまじと見てしまう。部屋の奥には扉がある。

別の部屋にでもつながっているのだろうか。

そう思って見ていると、「どうぞ、お入りください。」と女性が無表情に言った。

女性は扉の側に立ち止まった。

そこにいたのは、穏やかそうな老人と外套を着て頭にはフードをかぶっている男性だった。

男性は、明らかにメリルを見てニヤリと笑った。

それを見た彼女は静かに1歩下がった。

老人、村長は「そなたがメリルか。」と穏やかそうに笑った。

集会などで見せるその笑顔は、いつもならみんなの心を落ち着かせてくれるが、メリルは何故か不安が増大した。

村長は穏やかに微笑みながら、「それではメリル、この神官様に自己紹介をしてくれるかな」と言った。

「なんでこんなところに神官様がいるんだろう…」そう思う心を隠し、彼女は「メリル・ミリアーヌです。」と笑顔で自己紹介をした。

自己紹介をした後、村長と神官は何か話している。

小さな声で話しているのであまり聞こえないが、「さっそく取りかかってもらえますか?」と言う言葉が彼女には聞こえた。

「一体何をするの?」と思うと彼女の心には不安がどんどんたまっていく。

そう思っていると、神官がいきなりメリルの腕をつかんだ。

「痛い…!」

彼女の目には涙が浮かんだ。

そんな彼女を神官は無視し、手をつかんだまま部屋の奥の扉の中に入った。

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