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魔法少女はじめました   作者: ながしー
第一章 朱莉編

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いざ温泉旅行



 すっかり暖かくなった日差しが差し込む温泉に向かうバスの中で、都さんがテンション高くマイクに向かって叫ぶ。

「第三問!朱莉が最初の戦闘で使った技の名前は何でしょう!」

 バスレクが始まって30分。魔法少女あるあるクイズについに俺が登場した。

 ……というか、技名とかそんなもんないんだけど。

「わかった!はい!」

「はい、あかりちゃん!」

 無いはずの正解を知っているらしいあかりが元気よく手を挙げ、都さんが間髪入れずにあかりを指す。

「ダークパニッシュメント!」

「正解!」

 正解らしい……って、いやいや。

「正解じゃねえよ、なんだよその中二全開の名前。っていうかあの時俺あんまり意識なかったから技名とかつけてないし」

 もっと言っちゃえばあの時自分が何したのかよく覚えてなかったりもするし。

「いいのよ。それっぽいから正解!次の魔法少女大全にオフィシャルとして載せることにしたわ。おめでとうあかりちゃん!一ポイント獲得!」

「やったぁ!」

「やったぁじゃなくて、もっとなんかこう恥ずかしくない技名がいいんですけど」

「恥ずかしくない技名って…じゃあ言ってみ?どんなのが恥ずかしくないの?」

「えーっと……あ、アンリミテッドストームとか…?」

「うわ、恥ずかしっ」

「私だったらそれはやだなあ…」

「俺もちょっと嫌かも…」

 JC三人がそれぞれちょっと引いたようなリアクションを返す。なぜなのか。

「私もちょっと…」

「さすがのわたくしもドン引きですわ」

「いやー、ないですねぇ」

 自分たちだって恥ずかしい技名のくせに、柚那達もドン引きする。

「エバーグリーン・プラントとスカーレット・サンダーとナックル・オブ・アズールには言われたくないんだけど!?」

「えー?柚那さんたちのは綺麗だと思うよ」

「三人共お兄ちゃんよりはましだと思うよ」

「すみません先輩。俺もそう思います」

 あかりにつづいてみつきちゃんと和希も同意する。

「あかりにはネーミングセンスないから仕方ないわよ」

 それが朝陽に『但馬はる』と名付けようとした人のセリフですかチアキさん。

「まあ、朱莉に期待するだけ無駄よね。じゃあ次の問題――」

 都さんが次の問題に行ったところで、俺は飲み物を持って狂華さんのところへ向かう。

「お疲れ様です。次のサービスエリアで代わりますんで、トイレ休憩がてら寄ってください」

 今このバスに載っている関東寮出発のメンバーで大型免許を持っているのは俺と狂華さんだけなので、代わりばんこで運転しようと前々から話しをしていたのだ。

 本当は都さんも持っているのだが、俺と狂華さんの予想通り出発前に酒をかっくらってたので、運転させることができない。

「え?いいの?まだ東京抜けただけだよ」

「むしろ、高速は俺が走らせるんで、降りてからの山道お願いします。大型免許は一応持ってますけどペーパーなんであんまり細かい運転できる自信がないんですよ」

 まっすぐ走る、車線変更するくらいなら問題ないと思うけど一般道を走ってて交差点で詰まって立ち往生なんてことになったら色々面倒だし都さんに大笑いされそうだ。

「ああ、そういうことね。じゃあ次のサービスエリアで代わってもらおうかな」

 ちなみに、愛純の彼氏である柿崎君は愛純とのことを知って嫉妬した先輩の命令で黒服のバスを抜けることができず。最近チアキさんといい感じらしいユキリンは護衛艦組の責任者なのでこっちに来ることができなかった。

 二人がいれば運転の負担はもう少し減ったんだけどなあと思うと、残念でならない。

「えっと……サービスエリアについたら代わってもらうから戻ってて大丈夫だよ」

「気が散るなら戻りますけど、後ろはもうなんか都さんの独壇場というかハーレム状態で居心地悪いんでこっちにいます」

「あはは、話し相手がいてくれるのは嬉しいからボクは別にいいんだけどね」

「よかったです。狂華さんに拒否られたら居場所がなくなるところでした」

「そんなことないと思うけどね。なんだかんだ言って今このバスに乗っている人たちは朱莉を中心に集まったんだからさ」

「それは買いかぶりですよ。もともと都さんがいて、狂華さんがいて。チアキさんがいて柚那がいたところに俺が入ってきただけなんですから。中心は都さんでしょ」

「元々はね。でも今の中心は間違いなく朱莉だよ」

 狂華さんにそんな屈託ない笑顔で言われてしまうと、ちょっと照れる。

「朱莉と柚那は正規の魔法少女になって、大体一年だっけ?」

「そうですね。訓練終了と最初の実戦が5月だったんで、正確には十ヶ月ですけど」

「最初の一年だったっていうのに、大変な一年だったよね。いきなり実戦に放り出されたり。それからもいろいろあったでしょ」

「そうですね。特にあかりについては申し訳ないとしか言い様がないですけどね。でもそのおかげで都さんが復活してみつきちゃんが復帰して。朝陽が仲間になってくれて、愛純が加わって、和希が入って……考えてみると確かに随分と詰まった一年ですね。毎日ただ仕事して家に帰ってっていう生活してた頃とは大違いですよ」

「あ…そういえばボク、あの時のこと謝ってなかったよね」

「あの時?」

「最初に君と柿崎君を巻き込んじゃった時のこと。ボクがあの時ちゃんと二人を守っていればこんなことに巻き込まれなかったのに……本当にごめんね」

「やめてくださいよ。そりゃあ確かにあの時はちょっと恨みはしましたけど、今はもう気にしてないですよ」

「そう言ってもらえると気が楽だよ。ありがとう」

「むしろ、こうして柚那と一緒にいれたり、仲間たちといられるのは狂華さんのおかげです。俺の方こそありがとうございました」

 そう言って頭を下げる俺をバックミラー越しに確認した狂華さんは、ちょっと驚いた表情をしている。

「どうしたんです?」

「……まさか、朱莉からそんな言葉を聞くことになるとは思わなかったからちょっとびっくりしてる」

「それはお互い様でしょ。俺だって最初の頃は狂華さんとこんな風に話をすることはないと思ってたんですから」

「ああ、それは確かにお互い様かもね。ボクはみやちゃんが帰ってきてから自分でも驚くくらい安定したし、朱莉も柚那や他の子との付き合いの中でだいぶ変わったからね……お互い、自分をいい方向に変えてくれた大切な子達を泣かせないようにしないと」

 そう言ってミラー越しに後部座席の様子を確認する狂華さんの顔はいつものふにゃふにゃしている顔とも、戦闘モードの時の厳しい顔でもなく、どことなく男性のたくましさと優しさを感じさせるような笑顔だった。

「そうですね……」

 今のところ最前線の教導隊の任務は、第一線で領海・領空に入ってくる宇宙人を輸送機で補給を行いながら撃退する役目で一番危険が伴う任務だ。だというのに、この人には余裕すらあるように感じられる。

「狂華さんは、4月の作戦、怖くないんですか?」

 俺は正直第二線でも怖くてしょうがない。

「怖くないよ。みやちゃんがいるんだから失敗なんてしないもん」

「狂華さんの都さんに対するその信頼って、いったいどこから来るんです?」

「みやちゃんに対する信頼っていうか、ボクはみやちゃんが不利になるようなことは絶対にしないことにしているんだよ」

「……強いですね狂華さんは。それに凄くかっこいい」

「そうでもないって。弱いからボクにはみやちゃんが必要なんだと思うよ。それにみやちゃんがいないと戦えないって凄くかっこ悪くない?」

「そんなことないですよ」

 個人的には誰かを守るために強くなれるっていうのは凄くかっこいいと思うし、俺も柚那やほかのみんなのために少しでも強くならなくてはいけないと思う。

「ねえ狂華さん。この旅行の後でいいんですけど、ちょっと大技の練習に付き合ってもらっていいですか?」

「大技?別にいいけど、朱莉の技を受ければいいの?」

「いや…受けてもらうというよりは…まだちょっと構想段階なんでうまく説明できないんですけど」

 どっちかと言えば考えているのは合体技なのだが、魔法を合体させる方法についてまだ上手い手段が考えられていないのだ。

「わかった。とりあえず予定は開けておくから大丈夫だよ。ちなみにボクひとりでいいの?」

「できればチアキさんにも来てもらえると嬉しいです。あと暇そうだったら精華さんとかひなたさんも」

 複数人での合体技を想定しているので、人数は多いほうがいい。

「了解。じゃあ二人にも声をかけてみるね」

「すみません、お願いします……と、そろそろSAですね」

「んー・・・ボクはもうちょっとくらい運転してても大丈夫だから次まで行っちゃおうか。ペーパーなら運転する距離短いほうがいいでしょ」

「いや、そのあの……ですね、俺にも予定というか、なんというかがありまして」

「予定?……ああ、そうか。ごめん、トイレだったね。結構やばい?急いだほうがいい?」

「いや、そこまでトイレに行きたいかっていわれるとそうでもないようなそうでもなくないような」

「わかった。急ぐね」

 狂華さんはそう言ってアクセルを踏み込むと制限速度ぎりぎりまでスピードを上げる。スピードメーターがへんなところを指しているような気がしないでもないが、気のせいだ。そうに決まっている。

 それにこのスピード感も大きくて開放的なフロントガラスのせいだ。決して狂華さんはスピード違反なんてしていない。

「ちゃんと座っててね」

 そう言って狂華さんは更にスピードを上げる。

「りょ、了解…あ、ちょっ、待っ……」


 結局、普通のスピードで行ってもらったほうが漏らさないですんだんじゃないかというようなスピード(もちろん法定速度内)でSAに到着した俺たちは、時間を15分くらいと決めて自由行動をとることにした。

「朱莉さん……さすがにその年でトイレに間に合わないっていうのはちょっと…」

「そうですよ。行く前に済ませておく。女子の身だしなみですよ」

 俺がトイレを終えて出てくると、ここまでにでたゴミやらなにやらの片づけを担当してくれた柚那が、おれが慌ててバスを降りたときと変わらずドン引きの表情をしていて、その手伝いをしてくれていた愛純にはやんわりと注意された

「ごめん……でもさ、俺は別に漏れそうだったわけじゃないんだぞ。なのに狂華さんの運転が荒くてだな……」

「え?荒かったですか?」

「途中ちょっと揺れましたけどそこまで荒い運転っていう感じはしなかったですけど……意外に酔いやすいタイプなんですね、朱莉さんって」

 柚那は首を傾げ、愛純はけらけらと楽しそうに笑う。

 二人は後ろのサロン席にいたからわからなかったのかもしれないけれども、あれは酔いやすいとか酔いにくいとかそういうレベルじゃないと思う。嘘だと思ったら前の席に座っていたらいいんだ。そうすれば人は目から入ってくる情報だけで漏らせるっていうことを理解できるはずだ。

「ま……もうその話はよそうぜ」

 正直言って俺にとっては、今朝寮を出た時よりもちょっと重くなったパンツと一緒に投げ捨てたい思い出だからな。

「みんなは?」

「チアキさんと都さんはバスで飲んでます。あかりちゃんたち三人はお土産コーナーで、朝陽は……」

 ため息交じりに柚那が指差した先では、両手いっぱいにフランクやらソフトクリームやらいか焼きやらを抱えて、さらにたこ焼きの売店に並んでいる朝日の姿があった

 まあ、予想通りといえば予想通りだ。

「狂華さんは?」

「コンビ二に行きました」

「コンビニ?売店とかいろいろあるのに?」

「ええ、誰かさんのせいで急きょ必要になったファブニールを買いに。本当は私たちが行こうと思っていたんですけど、それだと私たちの自由時間がなくなっちゃうからって」

「狂華さんって、ほんとうに優しいいい先輩ですよね

 そう言って二人は『ねー』と言い合った後、ピタっと黙って俺に冷たい視線を向ける。

「え…えーっと……迷惑かけちゃったし、二人になにかおごるよ。あと、狂華さんにもお詫びに何か買っていこうかな。見繕うの手伝ってもらっていい?」

「えー、別にいいですけどぉ、お漏らしの後片付けさせておいて、そのお礼がサービスエリアのB級グルメですかぁ?どう思います?柚那さん」

「愛が足りないと思うね」

「ですよねえ。恋人と弟子に対する愛が足りませんよね」

 君たち、それたかりだから。

 二人の顔とオーラが怖くて口に出せないけど、それゆすりたかりの類だから。

「しっかりといい感じのお店で奢ってもらわないとね」

「柿崎さんの分まで出してもらわないとね」

「そうだね、なんだったら朝陽の分まで出してもらわないと」

「なんでや!朝陽関係ないやろ!ていうか、朝陽にメシ奢るとかいくら掛かるんだよ!」

 とか何とかやっているうちに朝陽がこっちにむかって、いい笑顔を浮かべながら走ってきた。

「うふふふふ、朱莉さんのおごりと聞いてー」

 しっかり聞こえているだと!?

「あはははは……それは空耳だ!な?柚那、愛純」

 俺がそう言ってウインクで合図を送っているというのに、柚那と愛純は「さあ?」とか「どうでしょう?」とか言いつつ肩をすくめてみせたり、ヘラヘラ笑っていたりしている。

 この二人仲悪い時は悪い時で面倒臭かったけど、仲良く連携し始めるとマジで悪魔だな。

「柚那、愛純。さっきの件はOKだ。しっかりプランを立てて、しっかり二人に了承もらえるようにするから……たすけてくれ」

 おわかりだろうか。ちょっといい感じのお店に朝陽を連れて行くということがどれだけ無謀かということを。

 おわかりだろうか。その手の番組一回分くらいのお金が自腹で飛んで行き、しかもそれに対して別にギャラも出ないという衝撃を。

 真面目な話、朝陽を連れて行くくらいだったら、4人で普通に食事してその後カップル二組分のスイートルーム代を出したほうがまだマシだったりする。

「朝陽、朱莉さんはね。おごりっては言ったけど自分がいかに普段驕り高ぶった存在かという話をしていたの」

「そうなんだよ。私達がずーっと思っていても言えなかったことにやっと気がついてくれたんだよ」

 お前たち言っていることひどくないですかね。

「そうでしたの…ついに気がついてくださったんですね、朱莉さん」

 おおっと、これはまさかの朝陽もそう思っていたパターンか!?

「…ああそうだよ、どうせ俺は傲慢で驕り高ぶってて嫌なやつだよ」

 こうなったら半ばやけくそだ。

「だから俺は朝陽に奢ったりしないからな!」

「いえ、さすがに本気で奢っていただこうとかそんなこと思っていませんよ。今はちゃんとお給料頂いていますし、その中で食費や生活用品をやりくりするのは普通じゃありませんか。自分で稼いでいる以上、私ももう子供じゃありませんから、もし一緒に食べに行ってもちゃんと割り勘させていただきますわ。あ、でも私がうまく何かを出来たとか、そういう時にご褒美で缶コーヒーを奢っていただいたりとかは大歓迎です」

 言われてみれば2月にチョコの食べ歩きをしていた時も朝陽はほとんど自分で出していた。たまに俺が勝手に買ってきてその代金を俺が受け取らなかったことはあったが基本的にちゃんと自分で出していた。

 俺は朝陽が苦笑しながら言った言葉を聞いて、ムキになって奢らないとか言った事がちょっと恥ずかしくなった。

 だが、俺以上に恥ずかしいのはおそらく柚那と愛純だ。

 実際、二人は顔を紅くしてそわそわと視線が泳いでいる。

「大人になったな朝陽。俺なんかより全然大人だよ。もうなにか欲しい物はないか?クレープ食べるか?大人になったお祝いってわけじゃないけど、朝陽の成長がうれしいから奢らせてくれ」

「じゃあ、チョコバナナクレープをお願いしても?」

「ああ、まかせとけ!じゃあちょっと買ってくるから三人は先にバスに戻っててくれ」

 俺はそう言って、なんとなく清々しい気持ちでクレープ屋の列に並んだ。

「……あんた、本当にちょろいわね。一部始終見てたけど、朝陽にまんまと担がれているじゃないの」

「いや、いきなり登場するのやめてくれよ。心臓に悪いから」

 振り返るまでもない。今俺の後ろにはユウが立っている。

 俺がこのサービスエリアにこだわったのは、運転の件ももちろんあったのだが、予め都さんに相談してここでユウを拾う手はずになっていたからだ。

 ちなみに今日ここでユウが来るというのは俺と都さんだけしか知らない。

「遅刻だぞ。もうちょっとで置いていくところだ……おおう」

 振り返った俺の視界に飛び込んできたのすは、いつもの痴女痴女しいのとはちょっとイメージの違った日傘なんか差しちゃっている、いいところのお嬢さん風のユウだった。

 いつもはちょっとけばけばしく見える巻き髪も、全体的に丈の長いワンピースと相まって少女と女性の中間のような魅力がある。

「やればできるじゃん」

「は?何が?」

「いや、今日のユウはかわいいなって思ってさ」

「………またお世辞を言って。私はそんなにチョロくないわよ?」

「別にユウをどうこうしようなんて思っちゃいねえよ」

「あら残念」

「え?それってもしかしてそういうこと?」

「ばーか、本気にしなさんな」

 ユウはそう言いながら丸めたパンフレットでポコンと俺の頭を叩く。

「それより本当に私が一緒に温泉行ってもいいの?私はタダで温泉入れて食事ができるのは嬉しいし別にいいんだけど、そっちとしてはどうなのよ」

「まあ、なんだかんだでもう七罪もお前と後一人だけだし、むしろお前が一緒にいればその分敵が減るってことだしいいよ別に。…って都さんが言ってた。まあ、取引先を接待するようなもんだから気にすんなよ。…ああ、もちろん愛純と同様、ユウがこっちの仲間に入りたくなったらいつでも入ってくれていいんだぜ」

「ま、考えておくわ。でももしも私が加入するんならタイミングとしてはやっぱり4月の作戦の最中とかじゃないかしら」

「確かにそれは王道だな」

 そんな他愛もない話をしているうちに俺たちの順番になり、クレープを買った俺はユウを連れてバスに戻る。

「ぎゃああああっ!なんでユウさんがここに!?」

 俺と一緒にバスにやってきたユウを見て愛純が叫ぶ。

 まあ、なんだかんだ俺以外で一番最近までユウと連絡を取り合っていたのは愛純なわけだしいろいろ気まずかったりするだろう。

「サプライズゲストだよ。柚那とあかり。それにみつきちゃんは年末一緒にいたから知ってるよな、もちろん和希と朝陽も…都さんはこの間電話で話したから今更感あるし…あ、チアキさんと狂華さんは?」

 なんだかんだ七罪が現れるのって教導隊組がいない時が多かったし、二人とは接点がない気がする。

「私と狂華は何度か戦闘中に会っているわ」

「そうだね。この人、最近ボク達を狙っているみたいで、しょっちゅう出てくるから」

 ああ、それで最近実戦でユウを見かけなかったんだな。

「長野の時は激戦だったわよね。まあ、今日はそういうの抜きってことで呼ばれているんでよろしくね」

「そそ。ユウは今日のゲストだからみんな仲良くするように」

 都さんの言葉にみんなが『は〜い』と返事を返す。

 自分でユウを呼んでおいてこんなこと言うのはアレだけど、ホントにゆるいよなあ、この組織。


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