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魔法少女はじめました   作者: ながしー
第二章 朔夜編

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ex. 旗揚げ!ももねる団 破


 

 第二JC寮は当時芸能活動もしていたみつき専用かつ黒服寮という側面のあった第一JC寮とは違い、ものものしい警備設備のない普通のワンルームアパートを借り上げて寮としている。

 それが3棟並んでいて、ももねの知らないところで名前が決まった仮称『ももねる団』と彩葉には真ん中のアパートの2階が、詩子と東京Aには1階が割り当てられた。


「こんな風に一緒にアパートに帰ってくると、なんだか同棲しているみたいだよね」

「そ、そっすね」


 そんなとりとめもない会話をしながら階段を登ってももねの部屋へ。こんな状況は確かに同棲っぽいなと思いながら仁はももねの後について階段を登る。

 ・・・なるべく上を見ないように、目を伏せながら。

 この短い期間でもあまりスカートの裾に気を使わないももねのスカートの中が見えてしまったことというのは数度あったし、なんだったらももねよりも短い間しか一緒にいないどころか、初見だった苺のパンツ (パンツではない)も見たことあるし、今朝ももねを迎えに来た時などこの寮の入り口がオートロックで外廊下に目張りしているのをいいことに下着で外廊下をうろつくりのに遭遇するというToLOVEるもあった。

 早い話がこのアパート、というかももねる団 (仮称)は童貞の仁にとっては些か刺激が強く、ももねと一緒にいられるのは嬉しいがあまりここに近づきたくないとも思っている。

 一方の桃音はこの三年間稔や苺によって邪魔され続けた『彼氏が欲しい』という欲求に火がついていて、しかも稔の誤解は解け、苺は仁に対してボコボコにしたという負い目があるため強く出られない状況。

 なおかつ、仁自信も割と好みの顔で過去はともかく今の彼には目立った難点もないということで一気に勝負を決めるタイミングを計っていた。というか、蜂子にお膳立てしてもらった最初の出会いから数えて二人で出かけること数回、お部屋デートも4回目の今日この日こそがタイミングだと考えていた。


「今日も上がってくでしょ?」

「あ、は、はい。ももねるが嫌じゃなければ是非」

「嫌なわけないじゃん。ついでだし夜ご飯も食べてっちゃう?」

「いいんすか?」

「今日は私が当番だから、私の料理で良ければだけど」

「ももねるの料理食べてみたいっす」

「杏奈ちゃんほど上手じゃないけど大丈夫?」

「大丈夫っす!」


 みんなバラバラに食事を作るのも効率が悪いし、そもそも稔と彩葉それに火土水と蓮華はまともに料理ができないということで現在寮の夕食は日替わりで当番制になっている。

 そんな寮の夕食時、仁が桃音の部屋から帰ろうとしているところを見つけた杏奈が「どうせなら食べてけば」と言って仁に振るまった麻婆豆腐とチャーハンはそのへんのチェーン店なら裸足で逃げ出すレベルのものだった。

 それもそのはず、実は杏奈は地元ではそれなりに名のしれた中華料理屋の娘だったりする。桃音が言っているのはその時大絶賛しながら食べた仁と、上機嫌になった杏奈の「いっぱい食べなよ、桃音の彼氏ならあたしの彼氏みたいなもんだし」という杏奈にしてみれば悪気も下心もないのだろうが桃音からしたら疑念を生むには十分なセリフに対しての当てこすりだったりするのだが当然そういうことに鈍い仁が気づくわけもない。


「荷物持ってくれてありがとね。さ、上がって上がって」

「あ、お邪魔します」


 そう言って玄関で靴を脱いだ仁の鼻をほのかに甘い匂いがくすぐる。

 姉の部屋や何度か行ったことのある蜂子や凪沙の部屋の匂いとも違う、濃厚なももねの匂いだ。


「もう4回目なんだからそんなに緊張しなくてもいいのに」

「え?」

「いや、なんかホテルの時から毎回毎回部屋に入る時にすごく神妙な顔で深呼吸してるからさ」


 これはももねるの匂いを胸いっぱいに吸っていたんです!とは流石に言えず、仁はごにょごにょと「やっぱ女子の部屋って緊張するんで」などと言い訳をする。


「実家のほうなら女子の部屋って感じかもしれないけど、この部屋ってほとんど備え付けの家具だし私の部屋っていう感じはあんまりしなくない?」

「それはそうかもしれないんすけど・・・」

「けど?」

「生活感があるっていうか」


 そう言われて桃音は『もしかして洗濯物出しっぱなしだったか!?』と思いベッドの上を見るが、幸いにも洗濯物が出しっぱなしになっているようなことはなかった。


「ももねるがここで寝起きしてるんだなって思うとやっぱこう、なんか女の子の部屋って感じがすごくするんす」


 顔を赤くしながらそんなことを言う仁を見て、桃音は『仁君はかわいいなぁ』などと思いながらベッドに腰を下ろしてポンポンと自分の隣を叩く。


「ほらほら、こっちおいで~」

「し、しつれいしますっ!!」


 ガチガチに緊張した仁がそう言ってベッドに腰を下ろすと、桃音は仁の顔を覗き込むように体勢を変えて、仁の太ももに手を置く。


「それでね、仁くん。そろそろはっきりさせておこうと思うんだけど」

「はっきり・・・?」

「私のことどう思ってる?」

「え!?ええと・・・」

「私はね、仁くんのこと好きだよ」

「えっ!?でも俺なんかじゃ」

「前に病室でももぴょいしたいって話、してたじゃん?もし、仁くんが望むならしてもいいかなって思うくらいには本気だよ」

「ももねる・・・」

「仁くんは、ももねのこと・・・好き?」


 桃音に潤んだ瞳でそう問われた仁は黙って一度頷いた。









そう簡単にももぴょいできると思うなよ。

いやももぴょいはするけども。

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