番外 超時空旅館セクロス
タイトル通りの下世話な話な上に酷い話なのでそういうの苦手な人はブラウザバック推奨です。
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深夜、コツコツと窓をノックする音に私が目を覚ますと、部屋と広縁の間にある障子に人影が映っていた。
日下碧が戻ってきたのかと思った私が魔法を使って思念を読むと、その人影は朔夜だった。
広縁の窓を開けて彼を招き入れると、朔夜は私に抱きついて「ちゃんと守れなくてごめん」と謝ってきて――――
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まあなんやかんやあって。
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その
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しちゃった。
なんかすごかった。
以上。
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私は語彙力がある方だと思っていたのだけどなんというかこう、すごかったとしか表現できない。
もう少しがんばって表現するのであれば、私の肌の色と朔夜の肌の色。私の匂いと朔夜の匂い。私の声と朔夜の声、二人の息づかい。温度。
そういうものが渾然一体となってこのベッドの上でうずまき、うごめき、そして静かになった。
なんかそんな感じ。
私だって現代っ子なわけで、知識は本で読んだりネットで見たりして知っていたけど、知っていると識っているは違うんだなぁ、と、そんなことをぼんやり思いながら隣で横になっている朔夜を見るとタイミングよく目があった。
「・・・」
「なんでお前が顔赤らめるんじゃい!」
「だ、だってその・・・なんかすごかったから」
「いや、わかるけれども。わかるけれどもここは私が顔赤らめるとこでしよ!?」
ほんとそういうとこだぞと思いながら私は朔夜に背を向けるように体勢を替え――おおう・・・。
「お、怒った?僕のこと嫌いになった?」
「え・・・ええと、その、ね。朔夜」
「僕は蜂子のこと、今までよりもっともっと――」
「大丈夫よ、嫌いになんてなってないし、私も朔夜のこと今までよりももっと好きになったから・・・でもね、それはそれとして今ここに朔夜がいるのは非常によろしくない気がするのよ」
「え?」
「冷静になってみると、となりにはこころが寝ているし、このままここにいてうっかり寝落ちしちゃったりして、誰かに二人で寝ているところを見つかると色々とヤバいと思うの」
まあ、もう半分手遅れなんだけども。
「う、うん」
「だからごめん、ムードとか余韻とかぶち壊しで申し訳ないんだけど今日のところは部屋に戻ってもらっていいかな?」
「そうだな。うん。蜂子の言うとおりにするよ」
「ごめんね」
そう謝ってからキスをして二人で服を着た後、ドアの外で別れ際にもう一度キスをして朔夜が見えなくなるまで手を振ってから、私は改めて部屋のドアを見上げる。
私の戦いはこれからだ。
完。
東條先生の次回作にご期待ください。
ああ・・・完、とできたらどれだけよかっただろうか。
◇
みちゃった。
なんかこう、すごかった。
以上だ。
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いや、ホントなんというか。
情報量がすごい。
マジで意味がわからない。
私だってそれなりに・・・自分で言うのもなんだけどつい最近まで一人の時間が多かったこともあって、私はその手の情報を漁りまくって妄想にふけっていることも多かった。
多分そのへんの一般的な女子より・・・いや女子どころか男子より長かったかもしれない。
少なくとも風馬よりは長かったと思うし、風馬が時折語ってくる「お前いつの時代の少女漫画のヒロインだよ」と突っ込みたくなるような甘ったるい妄想よりも生々しい妄想をしていた。
だからふと目が覚めた時に隣のベッドが盛り上がっていたときも「よーし、いっちょ覗いてやっか」くらいの軽い気持ちで姿勢を変えてうっすら目を開けて覗いていたんだけど・・・こう
「こう・・・『すげえな、友達のセックス見んの』って、感じよ」
「頼むからハッキリ面と向かってそういうこと言うのやめてくんない?」
事後のピロートークの最中にバッチリ目の合った東條は部屋の入り口のドアを背にして、うつむき加減の顔を月明かりでもわかるくらいに赤くして、照れくさそうにそう言った。
「と、いうより大丈夫?」
「何が?」
「いやその、私が言うことじゃないかもしれないけど、あんた朔夜のこと好きだったりするじゃん?それにその、私もこの夏休みは愛純さんに対抗して共闘だーとか言ってたのに・・・致してしまったわけだし」
「しかも私の寝ているベッドの横でね」
「ごめんて」
そう言いながら東條は歩いてきて自分のベッドに腰をおろした。
「さっきはお楽しみでしたね」
「ホントすみませんでした・・・」
「おかげで脳が破壊されちゃったわ」
「・・・」
まあ、自分でもちょっと驚きだけど、実のところはそんな申し訳無さそうな顔をされるほどショックを受けてはいなかったりする。
「冗談よ冗談。まあ、見学させてもらって楽しんでたからOK。むしろ初体験を覗いちゃってごめんって感じ」
「・・・こころのハートが強すぎて救われるやら後が恐いやら」
「ま、こういうことは遅かれ早かれ起こることだと思ってたしね」
私が邑田朔夜を好きな気持ちは本当だけど、それでも東條から奪ってまでという気持ちはなかった。
だって考えてもみてほしい、今までまともに友達のいなかった私がようやくできた友達と男を巡ってバチバチのバトルをするなんて、そんなハードな展開に耐えられるか。答えは否。
まあ、そんなことする度胸がそもそもないというのもあるが、私はこう見えて平和な日常系マンガが大好きな超平和主義者なのだ。
あと、メインヒロインより負けヒロインのほうが好き。
「まあ、これがあんたじゃなくて邑田と他の女子とのを見ちゃったとかだったらショックだったかもだけどね。奈南とか西澤とか」
「なくはなさそうな組み合わせなのが本当にヤダ」
「まあ、これまでの選択肢次第ではありそうな話だしね」
「それな。朔夜って那奈ともちょっといい感じになりかけたこともあるし本当にそういうとこ油断できないのよ。詩子とも有り得そうな感じになってたこともあったし」
「ああ、話してくれた修学旅行のときの話?」
「それとか他にも色々。というか那奈とか詩子とかよりこころと朔夜がそういうことになるのを想像するほうが心穏やかなの不思議よね」
「は?安牌扱いってわけ?舐め過ぎじゃない?」
「いや、なんかこう、そうなってもこころは私のことも尊重してくれそうな感じがね。那奈なんて私が正宗に手を出そうものなら幼なじみの私でも容赦なく排除してきそうだし」
「ああ、そういう感じね。奈南は?」
「文句を言いに行ったら、謝られながらそのまま流れで抱かれそう。んで、混乱してるところをなあなあにされたまま朔夜共々ペットにされそう」
「短い付き合いなのにそんなことないだろうと言い切れないのが奈南の恐ろしいところね」
「でしょう?」
頭の中に『ボクそんなことしないよ!』と頬を膨らませている奈南の顔が浮かんだけどこの場では『奈南はそんなことをする』派が多数なのでスルーさせていただく。
「で、どうよ。してみて」
「なんかすごかった」
「そういうことじゃなくてね。やっぱ痛いの?」
「フフフ・・・・・・正直痛かったとかじゃなくて現在進行系でメッチャ痛てぇ・・・」
「なんで一回余裕ぶったのよ!大丈夫なの?」
「だいじょばないから横になっていい?座ってんの超辛い」
「いいから早く横になりなさい!クッション代わりに腰の下に枕とか敷く?」
「うう、それは大丈夫・・・心配してくれてありがとうお母ちゃん」
そう言って『ううう・・・』と唸りながらコテンとそのまま横に倒れる東條。
「って、誰がお母ちゃんよ!」
「あとごめん、もし持ってたらナプキン貸して。多分このまま寝るとパンツも寝間着もシーツもやべぇことになる」
「なんで持ってないのよ!ああもう、ちょっと待ってなさい!」
私は荷物をあさり、ポーチからナプキンと常備薬の痛み止め、それと軟膏を取り出し、部屋に備え付けの洗面台で手を洗ってから、コップに水を入れて東條のところへ戻り、痛み止めと一緒に渡した。
「はい、これ痛み止めとナプキンね」
「ありがてぇありがてぇ。痛み止めまでくれるとかマジお母ちゃん・・・」
「お母ちゃん言うな。じゃあほら、下脱いで」
「・・・え?いや、ほらナプキンくらい自分でやれるし」
「座ってられないくらい痛いんでしょ?変な切れ方してたらやばいだろうし一応見てあげる。軟膏もあるし」
「いやいやいや、それはさすがに大丈夫だと思う」
「別に今更照れる間柄でもないでしょ。こっちはあんたの初体験見てるんだから」
「う・・・まあ、それもそう・・・かな?」
「なっとくしたならチャキチャキ見せる」
「いやそのテンションはおかしくない?」
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?
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あれ?なんで私東條に組み敷かれてるんだっけ?
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夏の朝特有の刺すような日差しに目をさますと、窓の外からは蝉の鳴き声と小鳥のさえずりが聞こえてきた。
あれ?そういえばなんで閉めておいたはずの障子が開いているんだろう。
そこまで考えたところで、私はまだ鈍く残るおへその下の痛みと、自分の格好を見て昨夜のことを思い出した。
そうだ。
私は昨日の夜に朔夜と男女の関係になったのだ。
そして――
「お・・・おはよう・・・東條・・・」
――こころとも。
いや、こころとは一線は越えてない、越えてないんだけれども。
初体験の話をしているうちにふざけあっててちょっとだけなんかそういう感じになっちゃっただけで。
そんでもって、なんていうか、こころはこう、詩子とも朔夜とも違う、独特のしっとりとした肌の感じが・・・じゃなくて。
「あ、あのね。私、別にこのこと邑田朔夜に言ったりしないから」
「う、うん。私から折を見て朔夜にはちゃんとごめんなさいするから少しの間秘密でお願い」
「え!?私のために別れたりしなくていいからね?」
「そういうごめんなさいではなくてね」
「あ、うん・・・わかってる。大丈夫」
って、こころはなんでちょっとかわいい感じになってんのおおおおっ!?
どうしてこうなった。




