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魔法少女はじめました   作者: ながしー
第二章 朔夜編

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ex.JK夏の祭典 4 初動


 試合開始前、いつのまにか、私達と同様にチームを組んでいたらしい雅弓と火土水が思い切り挑発してくれた上に蓮華が堂々と連隊宣言をしてくれたおかげで最初から対策できたこともあって私達は初動のぶつかり合いで不意を突かれることもなく、こちらの被害はももねちゃんと彩葉ちゃんの脱落のみに対して雅弓、華音、彩奈ちゃんを撃破することができた。

 そこからはムキになって戦闘を継続しようとする火土水を蓮華が抑えて敵チームが撤退、初動から芋っていたこころの狙撃を、殿のコスモが刀で弾きながら森の中へ姿を消した。

 ・・・・・・いや、コスモのやってることおかしくない?お前中身楓さんかよ。


「とりあえず初動は勝ちって感じだけど、ここからどうしようね」

「まあ、安藤と合流してから追撃って感じじゃないか?」


 初動の戦闘があった場所から少し距離を取ったあとで詩子とナギサ先輩と私は今後の方針について話し合いを始めた。


「いや、こころ抜きでも人数は互角ですからこころは遊軍として勝手に動いてもらいます。そのつもりであらかじめ指示も出してありますし、そもそもこころはそのほうが強い」

「蜂子はあんころちゃんのこと信頼してるねえ」

「あたし的には安藤ってそんなに強い印象ないんだけどな」

「そりゃ訓練に使ってたような狭い室内とかじゃあの子の真価は発揮できないですから」

「あー、そういえばFPSうまいって言ってたっけ」

「それに加えてこころの噂を耳にした都さんが忙しい合間を縫って、一日だけとはいえ指導してくれたからね。さっきのコスモみたいなのは別として、スナイパーとしては相当なものよ」

「でも一人でそんなに当てられるものなの?なんかほら、映画とかだと観測手とかいるじゃん?」

「あの子の得意魔法は近未来の予知よ?狙ってから数秒後にどうなるかを予知すればスポッターなしでもどこに飛んでくかくらいわかるって」


 まあ弾丸の弾道は予知できても、予知できる範囲の外で起こること、例えばさっきのコスモのようなライフル弾の切り払いみたいなのは予知できないのであくまで弾がどこに飛んでくかの予知しかできないのだけれど。


「そう考えるとあんころちゃんとスナイパーライフルって恐ろしいくらい相性がいいんだね」

「そうなのよ」


 戦い方が戦い方だけにこころがネームド入りするようなことはまずないだろうけど、とはいえネームド相手でも相性がよい相手になら無双することも可能だ。

 例えばあかりとか、あとは精華さんなんかには相性がいいだろう。逆に魔法を含んだ風で弾道に干渉できる真白や野性の勘みたいなものが異常に発達しているこまちさん、コスモと同じことができそうな楓さんなんかには相性が悪そうだ。


「うーん、あたしもなんかそういう相性みたいなの考えたほうがいいのかな」

「いや、先輩はなんかこう、ピッタリって感じですよ」

「そうですよ。なんかこう、全部破壊するって意思を感じます」

「それって、褒めてるのか?けなしてるのか?」

「褒めてますって。強そうに見えるって大事ですよ、マジで」


 実際、視覚効果というか見た目から受ける印象というのは大きいわけで、ナギサ先輩のハンマーを見て正面から打ち合いたいと思うような相手というのはかなり少ないわけだ。少ないだけでゼロとは言わないけど。楓さんとかこまちさんとか楽しんでやりそうだし。


「まあ、ハッタリ効かすのも大事だよな。そういう意味じゃ奈南はいいとして東條はもうちょっと迫力だしてもいいかもな」

「私はそもそも前に出るタイプじゃないですからね。そういう意味じゃ私と違って前に出るタイプのももねちゃんが私と似た装備ってのはちょっとアレかなと思いますけど」


 近接戦特化で今の私の戦闘スタイルに多大な影響を与えている愛純さんなんかは迫力のある見た目ではないけど、逆に私やももねちゃんがつけているようなステークシールドもどきみたいな余計なものを一切つけないことで逆に強者感を出している。

 ももねちゃんは愛純さんじゃないのでそうすることが正解だとは言わないけれど、あくまで自分は自衛用の力を持っていればいい私と、チームの人数的に詩子なり彩葉ちゃんなりと一緒に前に出ていかなければいけないももねちゃんの装備が同じでいいはずはないのだ。


「まあももねはな、あいつのは心の問題だと思うから」

「ももねちゃんって、ナギサ先輩との特訓で習得した帯以外に何か隠し玉があるんです?」

「ある。けど多分あいつは使わないと思う。今日も使わずにあっさり負けてたしな」


 愛純さんとナギサ先輩とだけで数日特訓した後、ももねちゃんは肉体強化の魔法以外に謎の黒い帯を2本出して戦うということができるようになったけど、あくまでそれは手が2本増えたくらいのもので、いや相手の手が二本増えたら普通の人はそれだけで驚異なんだけど、魔法少女としてはちょっと弱い。その証拠にというわけではないが、ももねちゃんは帯を使ってもコスモと数合打ち合っただけで押し切られて負けた。


「って、今はそんな分析している場合じゃないんだった。どうも詩子がいると論点がズレるわね」

「えー、今のはボク関係なくない?」

「まあ、それは置いておいてだ。ここからどう攻める、東條」

「置いとかれたあ!」

「まあ、そうですね・・・さっきの感じだととりあえず火土水はそこまで警戒しなくていいと思うので、コスモと蓮華のどっちかを撃破して・・・できればコスモを撃破してKJKを全滅させた後、隙を見て東京Aのフラッグを回収って感じですかね。で、その後でこころにすかさず詩子を片付けてもらうと」

「片付けられちゃう!!」

「おいおい、それは流石に卑怯だろ。協力関係なんだし最後はフラッグをかけてタイマンにしようぜ」

「さすがナギサ先輩!」

「ああ、こころと詩子の距離無制限デスマッチですね」

「結局一方的に片付けられちゃうじゃん!」

「あんたのその剣は飾りなの?コスモにできるんだからあんたにもライフル弾くらい切り払えるわよ」

「そんなの一朝一夕でできるわけないよ!」





 クソッ!本当にうまく行かない!

 なんなんだこの状況は。そりゃあ確かに俺達が組んでいるのは蓮華のせいでバレたけど、それでも人数は互角なんだしもっとできると思ってたのに。


「火土水、落ち着いたか?」


 あんだけ一方的にやられて、そう簡単に落ち着くもんかよ。


「つーかよ、KJKってJK2と互角以上なんじゃねえの?なんで初動で二人もやられてんだよ情けねえな!」

「火土水!橘くんに失礼だろう!」

「まあ、御倉の言いたいことはわからんでもないけど、あれは俺達の知ってるJK2じゃないからな。詩子と東條はともかく、向こうチームの残りの4人は昨日が初対面だし、スナイパーがいるなんて知らなかった」

「だからあっさりやられたってか?」

「やめないか、仲間割れしてもしかたないだろう」

「あと、俺はお前らが何をできるかも知らない」

「知ってたらなんとかできたっていうのかよ」

「知っていたら雅弓が何も策を練らないなんてことはねえんだよ」


 単に怒っているのとは違う、それでも確かな迫力のある声で橘がそう言った。


「俺らも昨日会ったばかりだし、雅弓も開始早々後ろから撃たれないように警戒して深く打ち合わせをしなかったんだろうとは思うけどな。お前らも俺達が何をできるかは聞いてないだろ?」

「僕は今朝になってチームを組んだって話を聞かされただけだし聞いていない。火土水は?」

「・・・聞いてない」

「逆にどこまで自分たちのことを話した?」

「そういう事は話してない・・・」


 昨日の夜は死んだ目で「解釈違いであります・・・」とかなんとかブツブツ言ってる彩奈とキラキラした目の刑部と三人で恋バナしてただけだし。


「やっぱりな」


 いや、さも俺達がギスギスしてたからみたいな反応してるけど和気あいあいとしてたからね。刑部が一番積極的に恋バナしてたからね。


「俺の雅弓がなんの作戦もなしで挑むはずないもんな。本当だったら昨日の夜みんなで集まって話をするべきだったんだ」


 何かシリアスな顔して言ってるけど、お前の刑部は恋バナを切り上げて明日の話をしようっていう彩奈に対して『へーきへーき、私ら強いし、人数同じならよゆーっスよ』とか言ってずっと恋バナしてたぞ。


「橘くんの言う通りだな。出会ったばかりとはいえ僕らは今同じチームとして戦っているんだから、腹を割って話すべきだった。いや、今からでも遅くはないか。改めて、僕は紅林蓮華。元々の名前は蓮なんだが、手術で女性の姿になってからはクラスメイトからぐれんげちゃんなんて呼ばれていたりする」


 なにその世界に打ちのめされてたり負ける意味を知ってたりしそうなあだ名。チームメートなのに俺聞いてないんだけど。


「ええと蓮華でいいか?ぐれんげちゃんのほうがいいか?」

「蓮華で呼んでもらえると嬉しいな」

「じゃあ俺もコスモで頼む」

「わかった。よろしく頼むよ、コスモ」

「こちらこそな、蓮華」


 そう言って笑いあいながらガシっと握手をする蓮華と橘。

 なるほど、これが解釈・・・って違う違う。俺は彩奈とは違うぞ。


「ちなみに俺は日本刀での近接戦闘メイン、最近は宮本楓さんを参考にして二刀流にも挑戦していたりするんだけど蓮華の戦闘スタイルはどんな感じなんだ?」

「僕は棒だね」

「ボウってことは雅弓と同じ弓か?それともクロスボウとかそういうやつ?」

「じゃなくてロッド。古武術ベースの棒術だよ」


 蓮華はそう言いながら得物である棒を取り出して構えをとってみせる。


「じゃあ俺よりも少し距離をとって戦える感じだな。ってことはリーチ的には詩子の相手かな。ちなみに魔法はどんな感じだ?俺は魔力を乗せた剣撃と、あとは最近一定の間合いに入ったものを迎撃することができるようになったんだけど」

「なるほど、さっきのライフル弾を切り払っていたのはそれか」

「そういうことだな」

「僕はそういう器用なことはできないな。基本的には棒を少し伸ばしたり縮めたりできるのと魔力を乗せた打突だけだ」

「シンプルな戦闘スタイルってわけだな。で、火土水は?」

「俺はその――」


 話すかどうか迷って蓮華を見ると目があった。その後、橘の方を見ると橘とも目が合う。

 まあ、こいつはガチの敵になることはなさそうだし大丈夫か・・・


「――弱めの肉体強化と、あとは名前の通りだよ、たいして強くない」


 そう言って俺が火と土、それに水の魔法を使ってみせると橘は『なるほどな』と言って頷いた。







一応蓮華チームの三人のビジュアルも作ってあるんですけど需要ありますかね?

あればどこかに載せます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! 蓮華チームもくわわって更に面白くなりました(ノ◕ヮ◕)ノ*.✧ コスモも活躍してて嬉しいです(>ω<) 火土水は実は女のコで俺口調で胸をさらけ出しても恥ずかしがらなくて…
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