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魔法少女はじめました   作者: ながしー
第二章 朔夜編

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508/809

ex.修学旅行に行こう 一日目 夜 妄想Express 2

4/26 追記 妄想で話数だけ増えてもアレなので追記で更新。

一回とかウソ言ってすみませんでした。あと数回追記で終わる予定です。




 デート中、那奈の昔の友達に会った俺は、あとで那奈が俺の事について陰口をたたかれないよう社交的かつ爽やかに振る舞い、しばらく話しをして別れた。

 今思い返してみても特に問題になるようなしぐさや発言はなかったと思う。思うのだけど・・・


「・・・・・・」


 那奈は絶賛不機嫌中である。


「なあ、どうしたんだよ那奈」

「べっつにー」


 状況を改善しようと思って不機嫌の原因を尋ねても、那奈はそう言ってプイッとそっぽを向いくと、先に歩いていってしまう。

 もう次の交差点が俺の家と那奈の家に向かう帰り道の分かれ道なのに。


「はあ、じゃあもういいよ。また明日な」


 そう言って俺が交差点で立ち止まり、信号が変わるのを待っていると、後ろから袖を引っ張られた。

 振り返ると、少し頬を膨らませた那奈が俺の服の袖を少しだけ摘まんで睨んでいた。


「那奈・・?」

「・・・あーしの友達と楽しそうに喋るなし」

「え?」

「あんたはあーしの彼氏なんだから、あーしと喋っているときより楽しそうにすんなし」


 それだけ言うと、那奈は恥ずかしそうに目をそらした



「――――みたいなことだな?」


 一番手を買って出た左右澤先輩はそういって僕達の顔を見回した。


「っていうか、左右澤先輩普通に喋れたんすね・・・」

「蜂子から聞いたときは耳を疑ったけど普通にしゃべれたんですね」

「んで、結構那奈の性格をしっかりつかんでて、普通にありそうなシチュエーションなのがさらに驚きなんですけど」

「会心の出来だと思ったのだが半分以上が俺のしゃべり方の感想ということは路線が違っていたか?」

「いや、まさに今の話の感じです」


 正宗は左右澤先輩にそう言ってから僕達のほうに女子の名前を書いた紙が入ったビニール袋を差し出した。


「さあ、次はどっちがやる?」

「仰木行けば?」

「いや、邑田行けよ」

「じゃあ朔夜で」


 ええ・・・まあ、良いけどさ。





「お米持ってもらっちゃってごめんねー。いつもは正宗呼んで持ってもらうんだけど、今日は『艦』の集まりがあるって言われてたのを忘れててさ」

「いや、別にこのくらい構わないけどさ」


 夕飯買い物に出かけた僕は両手一杯の荷物を抱え、カートに乗せた20キロの米の前でおろおろしている村雨をみかけて米を運ぶのを手伝うことにした。

 軽そうな見た目とは裏腹にしっかりものの村雨がそんな確認をし忘れるというのは少し驚きだが、普段からあたりまえの習慣になっていればいるほどそういう確認を怠ってしまうものかも知れない。



「じゃあ僕はこれで」

「え、もう帰るの?お茶くらい飲んでいけば良いじゃん」


 米をシンクの下に置いたあと僕が帰ろうとすると、村雨はそう言って戸棚から取り出した茶筒を振って見せた。


「いや、これからもう一回スーパーに行って今日の晩ご飯買わないとだし」

「あ、やっぱり買い物に来てたんだ。ほんとごめんね、朔夜の買い物の前に荷物持たせちゃって・・・あ、そうだ。じゃあ今夜はうちで食べて行きなよ。正宗の分も買っちゃったから三人分作れるし」


 まあ、関もいるし、別に食べていっても蜂子や左右澤先輩から変に思われる事もないか。


「わかった。じゃあごちそうになるよ」

「うん。ごちそうするよ」


 そう言って村雨はにっこりと笑った。




「ストップ。朔夜の話はエリスと付き合ってるように聞こえない」

「だな。付き合ってるのに『村雨』なんて他人行儀すぎんだろ」

「いや、妄想とは言え彼氏の前であんまりなれなれしく呼ぶって、やりづらくないか?」

「さっき先輩はちゃんと那奈って言ってたろ。そんなこと誰も気にしねえよ」

「ああ、その通りだ。俺に変な遠慮はいらないから、ちゃんとエリスと呼ぶなり、エリりんと呼ぶなりしろ」


 そう言って三人がニヤニヤと笑いながら僕を見る。

 くそっ、三人とも僕が恥ずかしいだけだって解ってやってるな!?


「・・・わかった、わかりました。やりますよ!!」

「あと、蜂子や先輩に配慮するみたいな逃げ道はナシな。この話の中ではお前はエリスと付き合ってるんだから」

「わーったよ!じゃあ料理できたあとからな」

「華絵と三人でご飯食べましたみたいなヘタレ展開もナシだからな」

「わかったって!」





 リビングのソファに腰を下ろして、隣のキッチンで料理をしているエリスと話をしているとしばらくして良い香りが僕の鼻をくすぐった。


「そろそろごはんできるからハナを呼んできてもらっていいかな?」

「わかった」


 エリスに頼まれて関の部屋をノックするが中から応答はない。

 というか、部屋の中に気配がないので普通に出かけているのではないだろうか。

 リビングに戻って関がいないことを伝えると、エリスはおかしいなぁと言いながらスマホを取り出し「あーっ!」っと大きな声を上げた。


「ハナ、今日はこまちさんと食事行くって言ってたの忘れてた!」

「おいおい、じゃあ今日は二人っきりってことか?」

「・・・・・・そ、そうなるね。というか、これどうしよう。普通に三人分作っちゃったんだけど」


 そう言ってエリスはテーブルの上の唐揚げの山とポテトサラダを見る。


「サラダはともかく、からあげって一晩経つとあんまりおいしくないんだよね・・・」

「エリスが一生懸命作ってくれたんだ。関の分まで僕が食べるよ」

「え、でもからあげだとハナ結構食べるからそのつもりで作っちゃったよ?あ、ほら、今から誰か呼んでも良いしさ」

「せっかく二人っきりなんだから、僕は他の奴なんて呼びたくない」

「朔夜ぁ・・・」



「う・・・もう食べられない・・・」

「いっぱい食べたねぇ。こんなに食べてくれると作りがいがあるよ」


 そう言ってニコニコ顔のエリスは僕の前にお茶を置いてから僕の隣に座った。

 唐揚げは完食。添えられていたレタスは後半唐揚げが食べ進められなくなりそうになった僕を助けるために散っていき、ポテトサラダとご飯は盛られた分はなんとか詰め込んだ


「おいしかったけど、これだけ食べたらさすがにしばらく動けそうにないな」

「あはは、せっかく二人きりなのに残念だね」


 そう言って笑うエリスの笑顔は、ホッとしているような、それでいて彼女が言うように少し残念そうにも見える笑顔だった。


「食べたばっかりで行儀悪いけど、すこし寝っ転がっていい?」

「なら、膝枕してあげるよ」


 僕の隣に座ったエリスはそう言って自分の太ももをポンポンと叩いた。


「いいの?」

「良くなかったら言わないって」


 彼女の足に頭を乗せるとほどよい反発力と柔らかさが僕の頭を包み、女子特有の良い匂いが鼻をくすぐる。


「あ、朔夜ちょっと目を閉じて」

「え?ああ・・・」


 エリスに言われて目を閉じると、彼女の顔が近づいてくる気配がして。

 チュっという音と共に、何か柔らかいモノが口の端に触れる感触がした。


「お弁当ついてたよ」

「え、今のって――」

「こら。まだ目を開けて良いって言ってないぞ」


 そう言ってエリスは僕の目を手で覆う。

 そして――


「いっぱい食べてくれてありがとうね」


 ささやくようなエリスの声が聞こえた後、僕の唇に柔らかいモノが触れた。





「とか、そんな感じ?なーんて・・・」


 ちょっと妄想を爆発させすぎたかなと思いながら僕が三人を見ると、三人はいつのまにか持っていた小さなホワイトボードに何事か書き込んで――


『実質S○X』

『これが寝取られ・・・』

『朔夜は吹っ切れるとフェチがすごい』


「って、フェチがすごいってなんだよ!!!」

「いや、お前って太もも好きだよなって話だけど」

「なんで今ここで僕の性癖をバラしたんだ!?」

「良いじゃねえかよ別に。俺だって那奈の尻好きだし、風馬だって先輩だってなんかしらのフェチだろ」

「うむ。俺は胸だな」

「俺はおでこフェチだな」


 胸をはって何を言ってるんだこの二人。


「ということで次。風馬な」

「おう!」


 先ほどの先輩や僕のように仰木が袋に手を突っ込み、中から取り出した紙片を開く。


「うぉぉぉっ!関だ!」


 ガッツポーズを取りながら仰木が申告したとおり、紙片には『華絵』と書かれていた。


「じゃあ早速いくぜ」

「え?シンキングタイムゼロで大丈夫なのか?」

「もちろんだぜ。俺はいつでも関とのデートプランを考えているからな!」


 ・・・ここ数日で仰木のイメージが本当に変わったなあ・・・。




 駅を出ると、爽やかな日差しと潮風が俺達を迎えてくれた。

 

「気持ちの良い天気だねっ」


 華絵はそう言って、太陽のような笑顔で――



「ダウト」

「イメージが違いすぎる」

「誰だそれは」

「いや、誰って関だけど」

「華絵はそんなんんじゃねえよ」

「関はもっとこう、いついかなる時どこに行っても低血圧感すごい感じだと思うんだけど」

「うむ。少なくとも語尾が小さい「っ」になったり、ハートとか星とかついたりするしゃべり方はしないと思うぞ」

「う・・・わかったよ。確かにちょっと美化しすぎていたかも知れない」


 あれでちょっと・・・だと!?


「じゃあ水族館のある海辺の公園でのデートっていうシチュエーションで、続けるぞ」




 控えめな照明と水槽が織りなす幻想的な水族館の雰囲気に任せて、何度か手をつなごうとがんばったものの、すんでの所でするりと逃げられてしまい結果は全て失敗。

 俺は少し気落ちしながら海の見える広場にやってきた。


「どうしたの?元気ないじゃない」


 そう言いながら華絵は心配そうに首をかしげながら俺を見る。


「え?ああ・・・」

「やっぱり私とじゃ楽しくないよね。きっと、私みたいな子よりもっと明るくてニコニコしている子のほうが仰木に合ってるよね」

「そんなことねえよ!その・・・ほら、俺って幼なじみが口数少なくて慣れてるから、口数少ない子も好きだし」

「・・・・・・」


 突然、華絵の表情が険しくなる。


「どうした?俺、なにか悪いこと言ったか!?」

「デート中に他の女の子と考えてるんじゃないわよ・・・」


 そう言ってフンっとそっぽを向く華絵――



「すまん風馬。あんまりツッコまずにいこうと思っていたけど、やっぱり無理だ。それは華絵じゃない。華絵に似た何かだ」

「ああ。僕もそう思う。まず関が本気で仰木のコトを好きになって、付き合った上でデートしたとしたら、他の女の気配がでてきた時点で蹴りが飛んでくると思うぞ」

「ああ。そして、そのまま足蹴にされ踏まれた上で『あんた私のこと好きなんじゃないの!?』くらいのことは言ってのけるな」

「いや、みんなの中の関のイメージおかしくない!?」


 3対1なんだから、どっちかというと仰木中の関のイメージがおかしいんだと思うんだけど・・・。


「おかしくない!お前そんなんじゃ華絵と付き合っても1時間で別れるハメになるぞ」

「うむ。関に夢を見すぎるのはよくないぞ」

「ええ・・・じゃあ関には可愛いところがないってこと?」

「いや、なんとか死中に活を求めることはできるぞ」

「先輩の言う通り火中の栗を拾うくらいの覚悟があれば華絵の可愛いところも見えてくる」


 いや、さすがにそこまで難易度が高いわけではないと思うけどね。


「ちなみに仰木。今の話ってこの後どういう展開を考えてたんだ?」

「関と仲直りして、広場の芝生の上で関が作ってきてくれたお弁当を――」

「お前死ぬ気か!?」

「ええっ!?」

「華絵の料理を食べるって、那奈の料理より酷い料理を食べるってことだぞ!?わかってんのか!?」


 興奮しながらそう言って、畳をバンバンと叩く正宗。

 正宗も大変だよなぁ・・・ああ、うちの彼女は普通に料理できる彼女でよかった。

 僕の隣で得意満面の顔でうんうんと頷いている左右澤先輩も多分同じことを考えているに違いない。


「じゃ、じゃあお前らだったら関とどんなデートするんだよ!」

「そうだなあ、俺だったら――」




◆正宗の場合


 華絵からのリクエストでゲーセンデートをすることになった俺達は、最初は当たり障りのないプリを撮ったり、クレーンゲームでぬいぐるみやお菓子をゲットしたりして仲良く遊んでいた。

 しかし、その状況は華絵が配管工のレースゲームを見つけたことで一変する。


1ゲーム目


「ちょ、なんでこれまっすぐ走らないのよ!」


 ハンドルを目一杯切りすぎなんだよ・・・



2ゲーム目


「よし、ここで体当たり!・・・って、なんで私がスピンしてるの!?」


 甲羅くっつけている相手にぶつかるからだろ・・・



3ゲーム目


「アイテム、理解したわよアイテム。こんどこそ絶対正宗に勝つ!って、全然関係ない奴はひっこんでてよ!!」



「ええと、そろそろ他のゲームやるか?」


 7ゲーム目が終わったところで俺がそう言うと、華絵はうつむいたまま首を横に振った。


「・・・勝つまでやる」

「言うと思ったよ」


 続く8ゲーム目、華絵は5位まで順位を上げた。

 9ゲーム目、3位順位だけではなくテンションまで上がる華絵。

 10ゲーム目、ついに1位。


「やった!ついに勝ったわよ!どうよ正宗」

「おー、すげーな。今日始めたばかりのゲームで一位になるなんて」

「でしょでしょ?そうだコツ!コツ知りたいでしょ、教えてあげるわよコツ!」


 華絵はそう言って俺の座っている筐体の座席に潜り込んできて前に座ると、コインを入れてハンドルを握る。


「ここをね、こうして、こうして・・・こうするの、そうするとね、ああっクソっ、今ほしいのは甲羅じゃないのに」


 そんなことを言いながら華絵がエキサイトして左右に揺れる度、彼女の尻が俺の股の間で揺れて・・・


「やったー!ほら、見たでしょ!?私天・・・才・・・ふぁっ!?ちょ、な、なんか硬い物が当たってるんだけど――」



「それ以上お前の妄想で俺の関を汚すのはやめろ!!」

「華絵はお前のじゃねえよ」

「まあ、関が仰木の物でないにしても正宗のはデートというか、ただのセクハラであるがな」

「そうだそうだ!」


 安定の左右澤先輩ジャッジだった。

 というか、多分正宗も心の奥底では関を仰木に取られるの面白くないんだろうなあ。

 

「セクハラとかじゃなくて、俺が言いたかったのは別にこっちからなにもしなくても華絵は無自覚にそういうことしてくるぞっていう話で」

「まあ、それはわかるがな」

「うん、僕もわかる」

「三人とも今までどんなおいしい目に合ってきたんだ!?」


 その後、それぞれの彼女にバレた時のことを考えるとおいしいかおいしくないかは微妙な線なんだけどね。


「というか、一位取って喜んでる関って、俺の妄想の中の関と似てなかった?」

「大本は風馬のも間違ってはいない。だけどな、華絵は毎日テンションがリセットされるからデート開始時から徐々にテンションのゲージをためていかないと、可愛い華絵にはならないぞと、俺はそういうことを言いたいんだ」

「うむ」

「わかる」

「・・・一体今まで三人と関の間に何があったんだ・・・」


 色々だよ。色々。



4/26 この話のタイトル『関華絵攻略wiki』とかにすればよかった。

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