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魔法少女はじめました   作者: ながしー
第一章 朱莉編

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JCしゃべりば 1

※一部のキャラクターがキャラ崩壊…ではなくキャラ増大を起こしております


 放課後のクラブ・マガ部部室。

 可憐な?乙女たちの語らいが今日も始まる。



 JCしゃべり場 1 女装子の愛し方



 放課後の部室。

 彩夏さんからもらった同人誌を私が一人で読んでいると、みつきがドアを開けて入ってきた。

「おつかれーって、真白とタマは?」

「タマはわからないけど真白ちゃんは図書室じゃないかな。学校くるの3日ぶりだし、本返しに行ってるんじゃないかな」

 今日はえり達異星人組は定期会合の日で、例の薬の件で大事を取って休んでいた真白ちゃんが復帰する日、さらにはタマが本当に珍しくバスケ部ではなくこちらに参加するというイベント盛りだくさんの特別な日だ。

「で?みつきはどこ行ってたの?また裏庭?」

 私達のクラスのホームルームが終わったのはかれこれ30分も前で、みつきは私よりも先に教室を出て行った。だというのにこの時間ということは確認するまでもないだろうけど。

「ああ…完全に忘れてた。まあいいや。今日は真白が復帰でタマがこっちくるって話だったから、先輩らしいことしようかなって思ってコンビニでお菓子買ってきたんだ」

「お、みつきにしては気が利くじゃん」

「まあ私もいつまでも子供じゃないんだよ。あれ?それって彩夏の新刊?どんなの?」

 机の上にお菓子の入った袋を置いたみつきは目ざとく私の手にある同人誌に目をつけた。

「そ。彩夏さんの新刊。今回は女装子だよ」

「じょそこ?……あ!わかった、なんかこう人を呪うようなことばっかり言ってるみたいなジャンルでしょ!」

「それじゃ呪詛子だよ!」

 なんでこの子は肝心な言葉は知らなかったりするのに変な言葉ばかり知っているんだろう。

「ええ?ハズレ?てっきりあかりみたいな子が主人公の漫画なのかなって思ったんだけど」

 おいこら親友。どういう意味だ親友。呪うぞ親友。



 みつきから遅れること数分、部室にやってきたタマはお菓子をみつけると手早く三人分のコーヒーを淹れ、お菓子の袋を開けて貪り食べ始め、私はタマが来るまでの経緯を説明した。

「…と、言うわけで女装子について話してたんだ」

「なるふぉど」

 タマはひとごこちついたのか、お菓子を食べる手を止めて頷いた。

「ごめん、結局まだ良くわかってなかったりするんだけど、結局お兄ちゃんとか和希みたいな人を女装子って言うの?」

 みつきの質問にタマが首を振る。

「違う。簡単に言ってしまうと、高山とか高橋とかいるでしょう」

「うん」

「彼らがバッチリメイクをしてウイッグも被ってみつき先輩の変身後の衣装を着たとする。それが女装子」

「うん」

「で、お兄ちゃんとか和希はTS」

 みつきが納得してくれたようなので私が付け加えるとみつきはそこで首をかしてしまった。

「????」

「余計な情報は無いほうがいい。今はTSについては覚えようとかしなくていいと思う」

 タマはそう言うが、どうせならセットで覚えてもらったほうが話が早い気がするのだけれど。

「そもそも、TSって言葉がなんかしっくりこないんだよね。なんかの略なの?」

「え!?いやその…」

 言いづらいなあ。そういう意味じゃなくてもなんかこう、やっぱり言いにくい。

「教えてよ。あかりが言い出したんだから」

「その…トランスセッ…」

 うう…やっぱりちょっと恥ずかしい。

「トランスセ?」

「トランスセックス!」

 言った!言い切ったぞ!どうだみつき、聞いた方もなんか恥ずかしくなるだろう!

「…あかり先輩、それ違うから。正しくはトランスセクシャル」

 そうだったのか!っていうか、これじゃ恥ずかしいの私だけじゃないか!

「まあ、むっつりスケベのあかりは置いておいて、そのトランスセクシャルってどういう意味?」

「まあ、性転換とかそんな感じだと思ってもらえれば」

「つまりニューハーフがTSで女装子はおかまさん?」

 そう言ってみつきは首を傾げる。

「ちょっと違うけどだいたいそんな感じで良いと思う」

 ちょっとどころじゃなく違うけど、これ以上深く突っ込んで話をしても多分みつきには理解してもらえないと思うし、ここらで手を打とう。

「じゃあみつき先輩にも理解してもらえたということで―」

 タマはそう言って一度コホンと咳払いをしてから再び口を開く。

「罰ゲームで女装させられて恥ずかしがりながら出てきたら、周りの男子に『意外とイケてんじゃん』とか思われてなんか成り行きで迫られるのとか萌える!」

 そう言ってタマはなんでそんなポーズで立っていられるんだろうと思うようなポーズを取ってドヤ顔でこちらを見る。

「え!?何?急にどうしたのタマ」

 これは最近私とタマそれに真白ちゃんと里穂の中でマイブームになっている遊びだ。みつきには悪いが、タマと私を見てなんとかついてきてもらおう。

「意外にノリノリで女装したものの、慣れないスカートの感覚と短さに座り込んでスカート抑えて半泣きとか超萌える!」

 私がそう言い返してポーズを取ると、タマは何かにポーズを崩して何かに耐えるように顔の前で腕をクロスさせた。

「くっ…」

「ふっ…」

「えっと、何やってんの二人共。というかタマはなんでダメージ受けてんの?」

 むしろ私達の全力を受けてなんでみつきはそんなに冷静でいられるのか。

「いや、なんとなくわかるでしょ」

「……ええと、もしかして女装子をお題にして萌えるシチュエーションを言い合うとかそういうの?」

「そうそれ」

「ああ、なるほど…じゃあ…そうだなあ…女装して鏡の中に新しい自分を発見したのに、その鏡のせいでやっぱり自分は男なんだって実感することになっちゃってしょんぼりしているのとかちょっといいかも」

 私はみつきの言葉を聞いて、身体が飛ばされそうになるのを必死にこらえた。

 深い!初心者のせいか、まだまだ構成はたどたどしいけど、そのたどたどしさの中に高揚と消沈、揺れる男…いや、女装子心を見事に織り込むとは!

みつきめ、意外と多才だと思っていたら、まだこんな才能を隠していたのか。

私がみつきの才能におののきながらタマの方を見ると、タマも同じようにみつきの才能に驚いたらしく『こいつはすげえ新人が現れやがった』と目で語っていた。

 と、そこに真白ちゃんがドアを開けて入ってきた。というか本命キター!!!

「なんか楽しそうだけど、何の話をしていたの?」

「女装子の愛しかたの話してたの。真白もなんか考えてよ!」

 愛し方とはちょっと違うけど、まあ概ね間違ってないのでいいや。

「女装子…そう、女装子ね…」

 真白ちゃんはしばらく考えた後で「よし」と確認するように一言発してうなずいてから口を開いた。

「まず魔法を使って部屋に連れ帰るの。それでベッドの四隅に手足を縛り付ける。もちろんそこで服を脱がしたりはしないわよ、一晩そのままじっくりと眺めるの。遠くから、近くから、蔑むように、そして時に舐め回すように。朝方までそうしてじっくりと視線を浴びせて相手の心を削ったら、今度は褒めて褒めて気持ちを高めてあげるの。そうして相手が気持ちよくなってきたところで服を少し脱がせて今度は顔を近づけて体中の匂いを嗅ぐ。もちろん臭いとかそういう直接的に傷つけるような言葉は禁物よ。そうして相手が何も言わないこっちの行動を気にして半泣きになったところで耳元で囁いてあげるの『いい匂いね、いやらしい牝の匂いだわ』って」

 一息でそこまで言い切った真白ちゃんの話をみつきは真っ赤になって、タマは鼻息荒く聞き入っている。

 ちなみに私はドン引きしてるよ真白ちゃん。

 そしてそこで、ドン引きで終わると思った真白ちゃんの話には続きがあるらしく、彼女は大きく息を吸って再び口を開く。

「そしてそこで何かしてもらえると勘違いしちゃったいやらしい子を一日放置するの。もちろん放置って言っても時々言葉で攻めたり褒めたりしてあげながらね。それで二日目はおしまい」

 二日目は!?

「三日目はね、多分同級生とかでも流石にひげが生えてくると思うから、今度はそこを責める。髭とかムダ毛とか徹底的に貶した後にこれがなければ綺麗なのにって逃げ道を与えてあげるの。そうするときっとその子はおねだりしてくるでしょうね、そうしたらそこがチャンスよ『かわいい牝の声で懇願しなさい』って耳元で囁くの。そうしたらきっと可愛らしい声で鳴いてくれるわ。もちろんかわいい声で鳴いてくれたらご褒美が必要だから、目隠しをして綺麗にしてあげるの。それからね―」

「真白ちゃん!」

「どうしたのあかりちゃん。いきなり大きな声を出して」

「いや…なんか辛いことあった?和希とかお兄ちゃんとかその他の事でもいいんだけど、私にできることあったら力になるよ?」

 というか、顔が完全に魔白ちゃんなんだけど、ヘタすればまた羽とか生えてきそうなんだけど大丈夫かな。暴走とかしないかな。いや暴走ならある意味もう十分しているけれど

「え?別に無いけど……」

「そ、そう。それならいいんだ」

「続けていい?」

「ど、どうぞどうぞ」

 なんかもはや真白ちゃんの妄想がどこまで続くのか興味あるし、こうなったら覚悟を決めて全部聞こう。

「それでね、全部綺麗に剃れたら今度は――」


結局真白ちゃんの執拗な女装子責めの話はそこからさらに10分ほど続いた。

真白ちゃんとしては、最初の観察で視覚を、次の匂いを嗅ぐというところで嗅覚を、髭やムダ毛を触ったり剃った後を撫でるというところで触覚を、最後に全身をなめまわすというところで味覚を使ってといういった具合に、どうせなら五感すべて、全身全霊を使って相手を愛する以外無いということで最後まで話しを聞いたたタマは『真白先輩パネエ』とか言って拍手していたし、みつきはおそらくこの話を和希と真白ちゃんで想像してしまったのだろう。頭から湯気を出して目を回していた。

とは言っても私はタマのように真白ちゃんを絶賛することは無理そうだし、みつきほどウブでもないので、顔を真赤にして抗議するようなこともできない。いやできないことはないが、それは私のキャラじゃないと思う。

まあ…ただ、ただひとつ私から言うことがあるとすれば――




和希逃げてぇ!超逃げてぇ!


バレンタインに一体何やってるんだろう

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