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魔法少女はじめました   作者: ながしー
第一章 朱莉編

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タイガー&ドラゴン 3

 全く自覚なく真白と里穂の尾行を捲いたあかりと龍騎は、今まで乗って来た路線とクロスしている路線に乗り換えて少し乗った後、駅と直結している巨大なショッピングモールのアウトレット区画を抜けて人工湖のほとりへとやってきた。

「さて…この辺にいるっていう話だけど…」

 あかりは待ち合わせ相手を探して周りを見回すが、人工湖のそばまで降りることができるちょっとした足場には何組かのカップルと、20代くらいの男性、それと親子連れが何組かいるだけだった。

「どの人ですか?」

「いや、顔写真とかもらってないからちょっとわからないんだけど…あ、そうか。メールすればいいんだ。まだ来てないのかもしれないし」

 あかりがそう言いながらメールを打って送信すると、少しして20代くらいに見える男性が携帯を取り出した。

「あ……」

 さきほどまで湖の方をみていたせいで顔がわからなかったが、あかりはその男性に見覚えがあった。

 夏休みの合宿の最中、朱莉が和希と真白を連れて偵察に行ってきた男性型異星人の五人組、その中でもリーダー格と目されている虎徹斗真だ。

 一応虎徹は話のわかる相手という話は聞いていたものの、龍騎もいるということであかりは虎徹に見つかる前にコッソリその場を離れようと試みたが、時すでに遅し。振り返った虎徹はばっちりあかりに気がついて歩み寄ってきた。

「あれ?君はたしか、朱莉の妹の…」

「あ、はい。妹キャラのあかりです。いつも姉のほうの朱莉がお世話になっています」

 お世話になっているかどうかなんてこの際関係ない。とにかく龍騎に余計なことがもれないことだけを再優先にしなければ。あかりはそう考えて虎徹のセリフに自分のセリフをかぶせていく。

「今日はいったいどのようなご用件でしょうかっ!」

 差出人の名前が虎徹だったことから彼がメールの差出人だということを断定したあかりは切り替えてさっさと用件を聞くことにした。

「用件?」

「この間メールくださいましたよね?」

「え?…いや、俺は姉の方にメールしたんだけど……もしかして間違って届いちゃった?名前@あとはキャリアドメインって聞いていたんだけど」

 虎徹の言葉を聞いたあかりは、またかと溜息を漏らした。

朱莉のアドレスはmurata-akari。あかりのアドレスはmurataakari。なので、本当であれば朱莉は自分のアドレスを説明するときにハイフンの話をしなければいけないのだが、それをよく忘れるため、朱莉が新しく知り合った人から間違ってあかりのところにメールが入ることが結構ある。どうやら今回もそのケースらしい。

(というか、バカ兄貴はなんでこの人にメルアド教えているんだろう)

 とにかく一度切り替えよう。そう考えてあかりは龍騎を少し離れたところまで引っ張って言って顔の前で手を合わせた。

「ごめん、なんか私の勘違いで仕事関係の人だった。悪いんだけどアウトレットでちょっと時間つぶしていてもらっていい?」

「あ、はい。それはいいんですけど…」

 龍騎はそう言ってあかりと虎徹を代わる代わる見比べる。

「仕事関係ってどういう…」

「えっと…きゃ、脚本家さんなんだけど、なんかおに…朱莉さんに出すべきメールを私に出しちゃったと。そういうことみたい」

「あ…ああ、なるほど。名前同じですもんね」

「そう!そうなの!で、ついでだからちょっとあの人にお願いがあったりなかったり、あの人からお願いがあったりなかったりで、だから悪いけどその…」

「はい。じゃあ適当に見て回っていますんで、終わったら連絡ください」

 龍騎はそうって笑うと、アウトレットの中へ消えていった。

「…さて、たしか虎徹さん、で良いんですよね?男性型異星人…言い方が気に触ったらごめんなさい。他の言い方がわからないので。そのリーダー格だって聞いていますけど間違いないですか?」

 あかりは小声でも話ができるように虎徹の隣に移動し、さらに周りに声が聞こえづらいようにフェンスから湖に身を乗り出すようにしてそう尋ねた。

「ああ、大体そんなと感じだよ。君は田村…じゃないね。本名は邑田あかりちゃんでいいんだよね」

「はい。それで、一体兄にどういったご用だったのでしょうか。何か話したいことがあるとか書いてありましたけど」

 あかりの質問を聞いて、虎徹は少し顔を赤くすると、顔を背けて遠くに視線をやった。

「実はね、ある人の連絡先を教えてほしんだ」

「連絡先?というか、ある人って誰ですか?」

「彩夏ちゃん」

「彩夏ちゃんって…大引彩夏さんですか?メガネの?」

「そう、メガネの。連絡先知ってればでいいんだけど」

「一応知ってますけど………どういう用件で知りたいんです?流石に何に使われるのかわからないと教えるわけにもいかないんですけど。というか、そのくらいならそれこそ直接会ってとかなんとか言わずにメールで聞けばよかったんじゃないですか」

 あかりの言葉をきいて、虎徹は少し迷ったように視線を動かした後で、ゆっくりと口を開いた。

「いや、彼女に告白したいと思っていてね。それで、実際に告白する前に朱莉に相談に乗ってもらおうかと思っていたんだ」

「…えっと、なんの告白ですか?罪の告白とか、懺悔みたいなものが虎徹さんの星にもあるんですか?」

 彩夏さんってシスターとかっていう感じじゃないけどなあと考えながらあかりが首を傾げる。

「いや、俺がしたいのは愛の告白なんだけど」

(アイノコクハクってなんだ?)

 彩夏と朱莉の仲がいいこともあり、あかりも彼女とそれなりに付き合いがある。だがそれだけに余計に彩夏と恋愛が結びつかないあかりは虎徹の言った言葉の意味がすぐに理解できずに頭の中が?でいっぱいになる。

「すみません、アイノコクハクってなんですか?」

「いや、だから、私はあなたが好きですよって話をしたいなって」

「え!?虎徹さん私の事好きなんですか?」

「いやいや、そうじゃなくてね。えっと……難しいなあこの国の言葉って。俺は彩夏ちゃんのことが好きなの。ここまでは大丈夫かな?伝わっている?」

「………え?ごめんなさい。なんですって?」

「だから、彩夏ちゃんのことが好きなの。俺が。で、嫌がられたりしたらしつこくするつもりはないから、気持ちを伝えるために連絡先を教えてもらえませんかと、そういうお願いなんだ」

「はあ……って、はぁっ!?彩夏さんですよね?セナさんじゃなくて」

「うーん…セナちゃんも可愛いけど、俺は彩夏ちゃんかな」

 そう言って恥ずかしそうに笑う虎徹の笑顔は20代というよりは10代の純真な少年のような笑顔だ。

「いや、真面目な話、彩夏さんの何がいいんです?」

 真面目な話と言うだけあって、虎徹の笑顔に対してあかりは一切の表情を感じさせないほどの真顔でたずねる。

「確かに顔は整っていますけど、あんまりメイクもしないしおしゃれもそんなにしないし、髪も撮影の時以外はかなり適当ですよ」

 彩夏は元が整っているのでそれでも見れるし、メイクや髪は本人の方針しだいだとは思うが、メイクも髪のセットもわりとしっかりやるあかりとしてはちょっと納得行かない部分がある。

「うん、そういうところ、ナチュラルで素敵だよね」

「変にポジティブ!……いや、まあ本人が良いんだったら良いのかなって思いますけどね」

 彩夏や朱莉のメイクに対する考え方には一言あるが、だからといって別にあかりは彩夏の恋愛の邪魔をしてやろうとは思っていないので、これ以上言うのをやめた。

「じゃあ早速で悪いけど、彼女の連絡先教えて」

「いや、でも一応本人に確認を取ってからじゃないと…あ、でもそうすると私から先に虎徹さんの気持ちを伝えなきゃいけなくなるのか。というか、私が一人で虎徹さんと会ってるなんていう話が彩夏さんからお兄ちゃんに漏れでもしたら、この辺りの魔法少女全員に招集をかけて突っ込んできそうだしなあ…うーん…虎徹さん、この後時間あります?」

「特に急ぎの用事もないし、時間ならいくらでもあるけど」

「よかった!じゃあ今夜私が彩夏さんを呼び出しますから、虎徹さんはそこで直接告白するっていうのはどうですか?付き合ってくださいでもお友達からでも良いと思いますけど、やっぱりメールとかより直接言ったほうが良いと思うんです。もちろん私から先に気持ちを聞いちゃうなんて言うのは論外です!」

「な、なるほど。確かにそのとおりだ」

 得意満面のあかりを見て妙な説得力を感じた虎徹はそう言って頷く。

「ふふふ…ご理解いただけて何よりです」

「でもいいのかな…俺が呼び出したってことが先にわかってないと、彩夏ちゃんをだまし討するような感じになるし、そうなると、後々印象悪くなったりしないかな」

「こんな格言をご存知ありませんか?曰く、恋は決闘である。恋を成就させるためにはよそ見してちゃ駄目なんです。虎徹さんは多分異性とお付き合いしたことないですよね?恋愛はその後の事とか、あとあとの印象とかそんなこと考えている余裕なんて無いんです!大事なのはその場、その瞬間で勝負を決めるという決意と、相手を飲み込むインパクト!」

「お……おお…っ!す、すごい説得力だ。あかりちゃんは一体何者なんだ?恋愛の達人なのか?」

 心底感心したという表情の虎徹をみて、あかりはうれしくなって少し鼻がふくらみ、大して大きくない胸を得意気に張る。

「私などまだまだです。ですが私には彼氏がいます。つまり未熟者ではあるもののビギナーではない!…虎徹さん、不肖邑田あかり。未熟者ではありますが、恋愛道の先輩としてあなたを導きたいと思います!」

 恋愛の達人などと言われて完全に有頂天になったあかりはそんなことを言い出して虎徹の手をとる。

「夜までそんなに時間はありません、ぜひ私達のデートを見て勉強してください!…あ、ちなみに彼氏は一般人なので宇宙人とか魔法少女とかそういう話は無しでおねがいしますね」

 そう言ってあかりは、虎徹の手を引いて龍騎の待つアウトレットモールへと向かった。


あ、4話でおわらんわこれ。

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