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魔法少女はじめました   作者: ながしー
第一章 朱莉編

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ヒロイン≠ウザイン・チョロイン

 せっかく告白してくれようとした年下男子からの呼び出しをすっぽかすような形になってしまって凹んでいた私だったが、じつはタマがこっそり彼に明日にしてほしいと伝えてくれていたということを聞いて復活した。

 と、いうことでとりあえず今は私のことはいい。

 むしろ今は……

「えっと…私の顔に何かついてる?」

「え?んふふふふ、何もついてないよー」

 和希と衣装を取り替えてミニバンから出てきた真白ちゃんが怪訝そうな顔で聞いてくるが、私は自然な笑顔でやり過ごした。

 和希は初登場時の気合いはどこへやら。ヘタレたのか一応気を遣ってくれているのか、私達と一緒に着替えたりお風呂に入ったりすることを避けていた。にもかかわらずそんな和希を真白ちゃんは強引にミニバンに連れ込んで一緒に着替えをした。つまりここから導き出される答えは一つ!ズバリ真白ちゃんは和希の事が好き!これは二人の友人として応援しないわけにいかないだろう。

 でも意外に恥ずかしがり屋の真白ちゃんのことだ。私が彼女の恋心に気づいているということを知ったらきっとそんなことはないと言い出すに決まっている。つまりこの作戦は極秘裏に、絶対に真白ちゃんにだけは知られずに遂行する必要があるだろう。でも一人でやるのは自信がないし、ちょっと寂しい。こういう恋愛がらみの話は誰かとワイワイも利上がりながらしたい。

 そうだ!最近仲がいいみたいだし真白ちゃんのことをくるみに相談してみよう!あとは…。

「あ、私はパス」

 そうだった。タマは読心魔法が使えるんだった。

「え?なにがパスなの?」

「別に。あかり先輩がまた余計なこと考えてるだけだから」

 真白ちゃんの質問にそう答えると、タマはやれやれといったような表情で溜息をついた。

っていうか、またって言うな!


 四人で戦闘員を打ち倒し、怪人級と交戦をしている最中に現れたのはドラゴンの上あごのような兜を目深に被った少年だった。

「こいつが噂の敵幹部か…」

 最後の怪人級を倒して戻ってきた和希がそう言って肩を回した。

「狂華さんと朱莉さん。それに彩夏さんの三人がかりで撃退するのがやっとだったっていう奴ね」

「でも報告書と姿が違う気がする」

 そう、タマの言うとおり、確か三人が遭遇したのは白衣を着た敵幹部だったはずで、今私達の目の前にいるのはドラゴンの兜とがっちりとした鎧を着込んだ、RPGに出てくる竜騎士のような格好をしている。

「つまり、敵幹部は何人かいるっていうわけだ。七罪みたいに」

「うん。きっと七罪同様実力もピンキリで、私達でもなんとかなる可能性もあると思う」

 いつになくやる気充満々のタマが真白ちゃんと並んで敵に向かってステッキを構える。

「……一応言っておくと、俺はピンだったからな」

 誰も何も言っていないのに、何かが気になるのか。和希が私達の前に回り込み、顔を見回してそう言った。

「キリじゃない?」

「キリでしょ」

「『俺はピンだからな(キリ)』」

タマ上手い!座布団一枚。

「くそ…なんで俺がこんな朱莉先輩みたいなポジションに…」

「ごめんごめん。でもいいじゃない、みんなに弄られるってことはある意味みんなから愛されているってことなんだから」

 うんうん、真白ちゃんが今良いこといった。そう、愛だよね!愛!私は二人の恋を応援するよ。

「どうにもお前らからはそういう空気が感じられないんだよな。朱莉先輩よりも冷遇されているっていうか、愛がない気がする」

「あー、はいはい。愛してる愛してる」

「うん、愛してる」

「まあ、嫌いじゃない」

「おまえらなあ…まあいいや。とりあえず俺が軽くジャブ打ってみるか」

 和希はそう言って構えると、敵幹部に向かって突撃していくが、ツッコんでいった和希の攻撃はあっさりと敵幹部に受け止められてしまった。

「はぁ…やっぱりキリだ」

「キリね」

「キリ」

「キリじゃねえっつってんだ…ろっ!」

 そう言いながら和希は拳を支点にして飛び上がり、全力のドロップキックをお見舞いする。しかし

「痛ってえ!」

 そりゃあそうだ。堅い鎧に全力でケリを入れれば例えそれが足の裏からだったとしても相当な衝撃が返ってくることくらい想像できる。

「黙ってみてないでお前ら助けろよ!」

 と、言ってもまだ敵は何もしてきていないし、今の状況はただただ和希が自爆して足を痛めただけだ。

 というか隊長の私の指示もなく勝手に攻撃したんだから、少しは反省して欲しい。

「ねえ、そこのあなた。ちょっと話をしたいんだけど」

 私が話しかけると彼は黙ったまま、空いているほうの手で自分の顔を指さした。

「そうそう。名前は?」

「……」

 彼は何か言おうと口を開きかけるが、そのまま口を閉じて黙り込んでしまった。声を出すことができないのか、何らかの理由で、例えば声を出すとそれ自体が攻撃になってしまうとかそういう理由で声がだせないのかはわからないが、とはいえこれで彼にこちらの言葉を理解して貰えるということはわかった。それだけでも大きな収穫だろう。

「私達はあなたと敵対したいとは思っていないの。できれば仲良くしたいと思っているんだけれど、そういう事は可能?」

 彼は少し困ったように口を曲げる。どうやらダメであるらしい。

「それをあげるから侵略をあきらめて貰うということは」

 タマがそう言いながら和希を指さす。

 つい今さっき和希のことを嫌いじゃないとか言っておきながらなかなか酷い扱いだ。

「……」

 敵の彼はタマの言ったことに若干引いたような様子で口元を引きつらせると、パッと和希の手を離してぷるぷると首を横に振る。

 うーん……。ちょっとわからないな。狂華さん達のケースだと、狂華さんが嫁に行くって言ったら二つ返事でOKだったはずなのに拒否?

まあ、狂華さんは見た目も中身もかわいくて、対する和希は見た目だけは良いけど中身がアレっていう違いはあるけれど。

「じゃあ、和希が気に入らない?」

「………」

 私の問いに、彼は控えめに頷く。

「でも他の子をあなたに差し出す訳にはいかないの」

「ちょっとまて!その俺なら別にいいみたいなのはなんなんだよ!ってお前も一歩引いてんじゃねえよ!」

 和希は何が気に入らないのか、彼にローキックをお見舞いするが、案の定鎧を蹴ってしまい、足を押えてしゃがみ込んだ。しかし和希は涙を浮かべながらすぐに立ち上がると、彼を睨み付ける。

「ほら、お前らの大好きな女だよ!俺もちゃんと女だよ!なんだよ、なんでみんな俺に対してノーサンキューみたいなリアクションすんだよ!よく見ろ!ちゃんと魅力的な身体してるだろうが!美少女だろうが!」

 そう言って和希は上着の前をがばっと開いて彼に見せる。

 こちらからは和希の背中しか見えないが、多分彼からは和希の身体が丸見えだろう。

 実際、敵の彼は顔を背けつつ手を広げて顔の前に持っていってなるべく見ないようにしているし。というか、和希が仲間内で人気が出ない原因はこういう所にもあるんだけど、どうしてわからないのだろう。

「タマ」

「ほい」

 このままだと話が進まないと判断した私が顎で和希を指すと、タマが走って行き、和希を気絶させて連れ帰ってきてくれた。うん、優秀。

「真白ちゃん、和希のことお願いね」

「…いいけど、なんで顔がにやけてるの?」

「いいからいいから。ね、よろしく」

 ああ。私はなんて優秀なコマンダーなんだろう。隊員の恋愛ごとにまで気を回してあげられる隊長なんて全国探しても私くらいなものだ…やっぱりラブレターをもらった影響で恋愛力が上がっちゃっているんだろうか。

「さて、それでそこの君」

「……」

 再び彼は自分を指差す。

「そう。なんか呼びづらいから君の呼び名を決めようと思うんだけど、何か希望は…ってしゃべれないのか。うーん……竜騎士、リュウ、キッシー…うーん…リュウとキッシーなら?」

 私の問いかけに、彼は指を一本だけ立てて返事をする。先に言ったのがリュウなのでおそらくリュウがいいということなのだろう。

「じゃああなたのことはリュウで…って、ダメだ!リュウって呼び名は彼に使う予定だった!ごめん、あなたはキッシーで」

 一瞬『ええっ!?』という表情を浮かべた後、キッシーは渋々といった感じで頷く。

 キッシーの一体何が不満なのか。彼は全国の岸田さんや岸本さんを始めキッシーというあだ名の人に謝った方が良いと思う。

 それはさておき。

「キッシー達はさ、女の子を攫うのが目的なんだよね?」

 私がそうたずねるとキッシーは誤解だとばかりに手振りと身振りで否定するが、正直嫁取りだろうが、人さらいだろうがこちらからしてみれば大差はない。

「まあ、さっき戦闘員や怪人をけしかけてきたことはとりあえず水に流すとして、今後仕掛けてくるのをやめてくれないかなっていう相談なんだけどさ」

 キッシーは少しうつむいて考えた後で申し訳なさそうに首を振る。

「どうしても攫いたいの?今日はあなたたちの標的になりそうなか弱い子達はいないんだけど、いったい誰を攫うつもりなの?私達は万が一攫われてもあなたたちの星で暴れるよ」

 攫われようが捕虜になろうが、私達はいいなりになんてなるつもりはない。

「……」

 キッシーは、しばらく間を開けて考え込むようなそぶりをしてから、右手を挙げて指をさした……私を。

「いやいやいや。おかしいでしょう。中身はアレだけど、和希のほうが美人だし、真白ちゃんの方がスタイルいいし、タマのほうがかわいらしいでしょうが」

 どう考えたって三人の方がいいところがあるのに、このなかで私を指差すなんていうのはもはや馬鹿にされているようにしか感じない。

 しかしキッシーは首を振ると、もう一度強く私を指差す。

「いや、わかってる?私を指差しているんだよ?胸もたいしてなくて、身長も普通で、まあ多少美少女だとは思うけど、ただそれだけの人間だよ?」

 キッシーはわかっているとばかりに頷くが、なぜか真白ちゃんとタマが微妙な表情をしていた。

「自分で美少女って言ったよ…」

「まあ、確かにかわいいとは思うけど、ねえ…」

「ヒソヒソするならせめて聞こえないように言ってよ!…はぁ、まあいいや。でもね、キッシー。悪いんだけど、私、彼氏いるからついて行けないの」

「いつまで続くかわからないし、そもそもまだ彼氏じゃない」

「もう!タマはちょっと黙ってて!」

 ほら、タマが余計なことを言ったせいでキッシーが混乱してるじゃない。

「改めて整理するわよ。キッシーの気持ちは嬉しいけど、私は明日から付き合う予定の男の子がいるから、あなたのお嫁さんにはなれない。他の子がいいっていう話だったとしてもみんなそれぞれ好きな人がいるから無理!以上!」

「え…ちょ…あかりちゃん?もしかして気づいてたの?」

 私の言葉に慌てたらしい真白ちゃんが介抱のために膝の上に抱えていた和希の頭を地面に落っことした。

 こらこら真白ちゃん。好きな人の頭をそんな風にしちゃ、だ・め・だ・ぞ☆

「この恋愛マスターあかりが気づかないわけがないじゃない。あえてここでは言わないけど、私は真白ちゃんの味方よ」

「本当に!?」

 そんなに喜んじゃって。真白ちゃんったらかわいいなあ。

「恋…マスター…くくっ…あかり先輩がマスター…」

「タマうるさいっ!あんただって……あれ?タマの好きな人って誰?」

 真白ちゃんは和希で確定、和希は最近仲がいいみたいだから真白ちゃんかくるみのどっちかだと思うけど、そういえばタマのことってよくわからない気がする。

「…だと思った」

「う、うるさいっ!でもいるんでしょ!?誰よ相手は!」

「黒服の…というか、愛純さんの彼氏の柿崎氏」

「え?」

「彼が寮の夜警備の時に私がお菓子を買いにコンビニに行こうとすると、夜道は危ないからってお菓子いっぱいくれるし、優しいし、頭をなでるのが上手い」

 こいつ、お菓子とか、頭なでてもらうとかの為に死ぬ気か!?

「もちろん死ぬ気はない。私は愛純さんを倒して彼との未来を勝ち取ってみせる」

 おお、なんかタマがいい顔している。

「いや、死ぬわよ」

 真白ちゃんは容赦ないなあ。まあ、私も概ねそう思うけど。

「……とにかく、みんな相手が…恋人未満でも好きな人がいるからついていってもあなたたちを愛することはできないの」

 そう言ってキッシーを指差すと、キッシーはショックを受けたような表情で固まった。

「まあ、相手がいるとかいないとか以前に、個人的には中学生に恋愛は早いんじゃないかなと思うけどな」

「というか、仲間内の人間関係も正しく把握できないくせに恋愛マスターとか笑っちゃうよね」

 後ろから聞こえた聞き覚えのある声に振り返ると、変身したお兄ちゃんとみつきが立っていた。ちなみに夏樹さん曰くみつきを探しに行ったはずの霧香さんはいない。

「さて、そこの少年。俺は君が連れ去ろうとした彼女の保護者なわけだが」

「……」

「うちの子はまだ恋愛はしません!家族会議で決まりました!」

「ちょっ……お兄ちゃん何言ってんの!?っていうか千鶴は…」

「あれらは彼氏じゃなくて下僕なのでセーフだ」

「女子中学生がクラスメイトを下僕にしてる時点でアウトだよ!!」

「とにかく、うちの子に変なこと言ったりしないでいただこう!」

 ドーンと音がしそうなくらいに自信満々に腕組みなんかしながらお兄ちゃんがそう言ってキッシーを睨む。

「……」

「一応言っておくけど、キッシーは何も言ってないからね。ただ誰を連れて行きたいかって聞いたら私を指差しただけで」

「俺はあかりを初対面の男子をあだ名でなれなれしく呼ぶような子に育てた覚えはないぞ」

「前にも言ったけど、私は別にお兄ちゃんに育てられてないから!」

「まあ、その話は後だ。おい、キッシー少年。おとなしく引くなら見逃してやる。引かないなら、俺は今ここで君を捕まえてそのちょっとかっこいい兜を引っぺがさなきゃならない。さあ、どうする?」

「……」

 さすがに国内ナンバー6と8を相手にするのは厳しいと思ったのか、キッシーは両手の平をこちらに見せて軽くあげて降参の意を示すと、背中を向けて地面を一蹴りしてあっという間に見えなくなった。さすが竜騎士っぽい格好をしているだけのことはある。

「…一応言っておくけど、わたし、家族会議とか関係なしに告白は受けるからね」

「馬鹿。そんなことしたらなんかこう、妊娠とかそういう……」

 気づいたときには私の平手はお兄ちゃんの頬を打っていた。

 今までもふざけてお兄ちゃんに攻撃をしかけたことはあったけれど、これほど本気で殴りたいと思ったことも、実際思い切り殴ったこともなかった。

「最低…そういうことばっかりしている人にはそういうことしか考えられないのかもしれないけどね、私はただ私のことを好きだって言ってくれる人と一緒に遊びに行ったり、学校行事をしたいだけだし。それを変なことばっかり考えて、自分がしているから私もするとか思った?ふざけないでよ!」

「いや、でもなあかり」

「なれなれしくしないでよ!あんたなんか大っ嫌……い」

 言い終わる前にみつきに叩かれた。

「ふざけてるのはあかりのほうでしょ」

 こいつは…こいつはぁっ!

「あんたさっきも人のこと叩き逃げしておいて、また」

「あかりがまともになるまで何度でも殴ってやるよ!あかり、あんた今日はちょっとおかしいよ」

「おかしいのはみつきのほうだろ!」

「いや、あかりがおかしい!」

「みつきだ!」

「あかりだ!」

「じゃあ私の何がおかしいのか言ってみてよ!」

「その一緒にいろんなことをやる人は…一緒にいて、一緒にいろんな行事を楽しむ人は男じゃなきゃいけないの!?全然知らない男のほうが、私達よりもいいって言うの?どうしても男子じゃなきゃいけないの?なんで?そんなの、いくら詭弁を並べてみたってやることやりたいだけだろ!?っていうか、私達とできないことなんてそのくらいだしね。だからお兄ちゃんの心配だってまったく的外れでもないと思う。大体、一通だけしか来てないラブレターでヒロイン気取りで舞い上がって即決しちゃうような子は、どうせその男子に迫られたらまんざらでもないような顔して『えー、困っちゃうなぁ、でも君がそうしたいなら…いいよ(はぁと)』とか言ってホイホイ受け入れちゃうんだよ!……チョロすぎるんだよあかりは!」

「や…やることやりたいだけってあんたそういう…」

「っていうか、そもそも私はあんたといくところまでいって、やることやってんだ。あんたが男子のところに行くって言うなら、私にだって口出す権利はあるはずだ!あのときのこと言いふらそうか?それとも狂華に小説書いてもらおうか?」

「あばばばば…ちょ…ちょっとみつきちがうでしょそういうごかいをまねくようなちがうんだよおにいちゃんましろちゃんたまちゃんわたしとみつきさんはそういうんじゃなくてあれはただのまっさーじというかなんというか」

 ここでそれを持ち出すのかこいつは!あんなの…あんなのそういうことじゃなくてただ単に胸を大きくするためのマッサージをしていたらなんかそういう雰囲気になってちょっと悪ふざけが過ぎちゃっただけじゃないか。しかもみつきが途中からみつきさんとかになってどんどんエスカレートしちゃっただけだし。

「あ、いつものあかり先輩」

「うんいつものあかりちゃんね」

「さすがみつきちゃん。でも、あかりがあんなに恥ずかしがるなんて一体どんなマッサージしたの?」

「ん?お兄ちゃんにもやってあげようか?」

 そういってみつきがニヤニヤ笑いながらワキワキと指を動かしてみせるとお兄ちゃんは苦笑いして一歩後ずさりながら首を横に振った。

「ちょっと体験してみたい気はするけど、柚那に殺されそうだからいいや」

「…で、ラブレターをもらって舞い上がっていたところをみつき先輩にたたき落とされたあかり先輩、何か言うことは?」

 タマは最近本当に容赦ないな。

「みんなごめん。私ちょっと浮かれてた」

「ちょっと?」

「かなり…」

 タマは本当に容赦ない。

「…私も叩いたりしてごめんね」

 みつきがそう言って私の胸に飛び込んでくる。

「ううん、私の方こそごめん。心配してくれていたんだよね。気づかないでごめんね」

「あかりぃ…」

「みつきぃ…」

 私とみつきはお互いの名前を呼び合いながら強く抱きしめ合う。

「…やっぱりチョロい」

「チョロいわね」

「そういう事言わないでよ!」


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