魔法少女狩り 2
チアキさんと狂華さんの突然の異動から数日。つじつま合わせの脚本変更のために必要になったシーンの撮影を終えた俺は、柚那と一緒にひなたさんと桜ちゃん。それに精華さんの引っ越しの手伝いをしていた。
まあ手伝いなどといっても、実はもともとこの寮にいたひなたさんと精華さんの部屋はそのままにされていたので、大がかりな引っ越しになったのは桜ちゃんだけなのだが。
「で、今回のこの異動は一体何なんですか?」
俺は軽トラックの助手席でダッシュボードに足をのせてくつろいでいるひなたさんに訊ねた。
「自分の中で正解が出てるのに人に聞くのって失礼じゃないかニャ?」
「撮影の時から気になっていたんですけど、なんなんですかその語尾」
変な関西弁をやめたあとの新たなキャラ作りの一環なのだろうが、それにしても思わずツッコまざるをえないような語尾を聞き流すことができず、俺はツッコみを入れる。
「ニャにが?」
完全にわかって言っている笑顔でひなたさんが首をかしげる。
「はあ…もうツッコむのやめよう」
「そうそう。色々気ニャしてると胃に穴が開くニャよ」
「ニャの付け方が無理やりすぎます!」
「ニャハハ、ツッコまないって言ったばっかりなのに律儀だニャあ」
「それよりも、異動の件ってやっぱり魔法少女狩りの件が原因なんですよね?」
「まあニャ」
この人は本気でこれをずっと通す気なんだろうか。まあ、俺はもう突っ込まないと決めたのでスルーするが。
「この間も言ったけど魔法少女狩りはニャー達のニャかにいると思うニャ。ニャからニャー達は犯ニャンを探し出して捕まえなきゃいけないニャ」
ニャの使い方が適当すぎるにもほどがある気がするが、俺はもう絶対にツッコまないニャい。
「朱莉はこういうの嫌いかニャ?」
「だから嫌いとか嫌いじゃないとかじゃニャくて、話が―」
突っ込みはともかくこれでは気になって話が進まないのでやめさせるためにいったん車を止め、ひなたさんの方をチラリと見た俺は言葉を失った。
いや、失った直後に思わず本音が漏れた。
「かわいいし!」
なんでこの人ネコミミと猫手袋してんだ?どこから出したんだよそのネコミミと手袋!
あと、何?なんなのそのあざといの!軽く握った手の肉球側をこっちに向けるとか何なのそのポーズ!そしてなにその無駄に器用にかたどられた猫っぽい口!
柚那みたいなパッチリした目の子のネコミミもいいけど、細い目のひなたさんが少し目を開けてポーズをとると、もはやそれは芸術とも言える完成度になるんですけど!?
「いや、ちょ…あの、ひなたさん。なにそれかわいい」
芸が細かいことに耳も動いているし。正直、今すぐ頭撫でたい。
「はい、撮ったぁ」
「…え?」
「これでお前は実質的に俺の奴隷だ」
猫口になっていた口がニィっと吊り上がり、なまりのない綺麗な標準語でそう言ってひなたさんが俺を突き飛ばしてバックミラーに手を伸ばす。
するとミラーがパカッと外れて、下から一回り小さいミラーが現れた。
「これ、ドライブレコーダーな。カメラを内側にしておいたから、お前が俺にかわいいって言っているところもちゃんと撮れてる。…もし逆らったら柚那に公開しちゃうぞ」
「……」
迂闊だった。なんというハニートラップだろうか。
指一本触れていないというのに、俺は一番弱みを握られちゃいけない人に一番握られてはいけない弱みを握られてしまった。
「どうせ弱みを握られるんだったらこのままひなたさんを襲ってしまおうか」
付き合っている柚那が何にもさせてくれない割に、俺に禁欲生活を強いてくるので色々溜まっているのだ。
「おう、どんとこい。そのかわりお前にやられたことを三割増しで風紀委員に通報するけどな」
「……さっさと車返しちゃいましょう。柚那が待ってますし」
「ああ。桜に頼まれた買い物もあるしな」
しばらく見つめ合った後で俺はあきらめの溜息をもらし、ひなたさんはしてやったりという笑顔を浮かべてそれぞれ座席に座りなおして前を向いた。
「おっさん同士でなにやってるんですかね。俺ら」
「わかったらもう俺を襲おうとなんてするなよ」
結局俺の弱みが増えただけだった。
引っ越しに使った軽トラックをレンタカー店に返却し、桜ちゃんに頼まれていた買い物を終えた俺とひなたさんは、迎えに来てくれる約束の黒須さんを待つ間ショッピングセンターのフードコートにやってきていた。
「意外にバレないもんすね」
平日とはいえ、学校帰りの学生や小さい子づれの買物帰りの主婦がごった返しているショッピングセンターのフードコートだ。
俺とひなたさんの正体がバレたらパニックになるんじゃないかと危惧していたが意外に気づかれたりはしないものらしい
「堂々としてりゃ案外そっくりさんかな?くらいにしか思われないもんだ。もしバレてもコスプレだって言えばいいし」
そう言ってひなたさんがたこ焼きを自分の口に放り込んだ。
「まあ、私服ですしね」
「ああ、私服だからな」
ひなたさんはデニムのホットパンツにパーカー、俺は七分丈のシャーリングが効いた綿パンツにTシャツといった大分ラフな格好だ。
俺はともかく、ひなたさんは劇中ではかなりガーリーな恰好をしていることが多いので、今日のようにボーイッシュな格好にして髪をアップにすると大分印象が違う。
「それにしても、お前はもう少しまともな服ないのか?」
「何言ってるんですか、こんなにかっこいいTシャツないじゃないですか」
俺が今日来ているTシャツは黒地の生地で背中に白で「抜錨」と書かれたものだ。
海軍魂が背中に宿っているようでとても誇らしい。
「あのな…お前、服は柚那に選んでもらったほうがいいぞ。いや、まじめな話」
どうやらひなたさんは俺の海軍魂が気に入らないらしく険しい顔で眉間を抑えている。
「ひなたさんだって、手を抜いてパーカーじゃないですか。俺の格好に文句言うならもうちょっとおしゃれして見せてくださいよ」
「俺はパーカーの下はキャミソールだし、前開けたって、パーカー脱いだってお前のTシャツ一枚よりははるかにマシだって。だいたいお前、それ男物だろ?かなりダボダボだし」
「ダボダボがおしゃれなんです、別にいいじゃないですか。放っておいてくださいよ」
男性だった頃のTシャツなので、かなり緩いのは仕方ない。だが俺はこのデザインが気に入っているのだ。
「……まあ、おかげでサインやら記念写真でパニックが起こる心配はないだろうけどさ」
「完璧な変装ですよね!伊達メガネもかけてますし」
「バカ。たとえ本人だったとしても、そんな恰好したやつにサインだの記念撮影だの頼みたくないっていうことだよ」
「えー、かっこいいのになあ」
俺がそう言って背中の海軍魂を確認しようと体をひねると、視界に見慣れた顔が飛び込んできた。
「や、そのTシャツかっこいいね」
そう言ってダンディな笑いを浮かべていたのは、待ち人の黒須警視だった
「ですよね、さすが黒須さん。わかってくれますよね」
「ああ、流行のファッションとかはよくわからないんだけど、かっこいいと思うよ。今度ウチの娘にもプレゼントしたいから、売っている店教えてよ」
「やめとけって黒須さん。ただでさえ家で煙たがられているのに、ガチで娘さんに嫌われるぞ」
「そうかなあ…」
「かっこいいと思うんだけどなあ…」
「だったら、寮で柚那にでも桜にでも聞いてみろって。少なくとも俺はそれ着ている女子高生とかマジで嫌だぞ。ていうか、そんな女子高生いない」
実年齢はともかく、肉体年齢的にはここに一人いるんだけども。
「言っておくけど、お前の中身は完全におっさんだから、女子高生には入らないからな」
「心を読まれた!」
「顔に書いてあるんだよ『だがここにこのTシャツを気に入っている女子高生がいる』って」
その言葉を聞いて古典的というか、無駄だとわかっていながらもついつい俺は無意識に自分の顔をペタペタさわった。
「その顔に出やすい性質で捜査情報漏らしたりするなよ。とりあえず迎えもきたことだし寮に向かおうか。朱莉がさっき言っていた件も車の中で詳しく話すからさ」
ひなたさんはそう言って最後のたこ焼きを口に放り込み、トレーを返却口に返しに行った。
思わず『黒須さんなんでこんな車乗ってきたの?』と聞きたくなるような妙に車長の長い黒塗りの車に乗せられてショッピングセンターの料金ゲートを通って公道に出る。
その全長のせいでその辺のコンパクトカーや我が愛車のような軽快な旋回はかなわず、全体的に非常にゆったりとした動きだが車内の静粛性と飛行機のファーストクラスのような快適性は重要な話をするのにはもってこいだ。
「さて、魔法少女狩りの話なんだが」
「やっぱり今回の異動はそれが絡んでるんですよね」
「ああ。内部に工作員がいるという可能性を考えて、俺が指揮をとって、朱莉、桜、精華の四人で秘密裏に捜査を行うことになった。本当は狂華とチアキにも頼みたかったんだけど、人手不足だからな。二人には俺と精華の代わりを頼んだってわけだ」
当然のごとく自分が指揮官だと言い放つひなたさんだが、俺の中にはいくつかの疑問が生まれていた。
「質問いいですか?」
「ああ」
「なんで捜査指揮がひなたさんなんですか?こういう話なら、捜査のプロである黒須さんに頼むのが筋なんじゃないですか?」
「俺もプロだからだよ。元がつくけどな。もちろん捜査するにあたって黒須さんにも手伝ってもらうことにはなると思うけど、黒須さんは寮の中や学園内を好き勝手に動き回れるわけじゃないから俺が捜査の中心になる」
そう言ってひなたさんがバックから取り出して見せた写真には制服姿の男性警官と女性警官が並んで写っていた。
男性警官はおそらくひなたさん。女性のほうもなんとなく面影があるので予想がつく。おそらくこの女性は桜ちゃんなのだろう。
「…柚那が捜査から外された理由は?」
同じ寮に住んでいながら捜査からはずされたということは、柚那も容疑者ということなのだろうか。もしそうだとしたら、俺はこの捜査を外してもらわなければならないだろう。
俺には柚那を疑って調べることなどできない。
「別に柚那が容疑者とかっていうことじゃないから安心しろ。あいつは俺の指揮には従わないだろうから、捜査からは外そうってことになっただけだ」
確かに柚那は未だにひなたさんのことを敵視しているからなあ…。
「犯人の目星はついているんですか?」
「鋭意捜査中。桜の予知魔法が使えるかと思ったんだけど、あいつ自分に関係ない予知ができないからあんまり役に立ってないんだわ。まあ、地道な捜査は俺と桜でやるから、朱莉にはそれとなくみんなから噂を集めてもらって、もし万が一スパイが逆切れしてガチンコになった時に登場してもらうって感じかな」
「精華さんの立ち位置は?」
「精華はマイペースだし、あんまり社交性がないから捜査のほうは期待してない。朱莉同様逆切れされたときにできるだけ穏やかに捕まえるための要員だよ」
「でもそれだとひなたさんと桜ちゃんに負担が行きすぎじゃないですか?」
「まあ、犯人の目星はある程度ついているし、来週にはアメリカから応援の人員も来てくれるっていうから、捜査にかかりっきりっていうことにもならないだろ。俺たちの心配はいらないから朱莉は自分のやることをしっかりやってくれれば大丈夫だ。もし手伝いが必要な時はこっちから声をかけるからさ」
そう言って笑うひなたさんに、俺はずっと気になっていたある疑問をぶつけてみることにした。
「ちなみに、ひなたさんが犯人なんてことは…」
戦闘狂なんていう風評が流れるくらいのバトルマニアなひなたさんのことだ『宇宙人相手に無双するのに飽きた』なんて理由で裏切っている可能性もゼロじゃない。
しかしひなたさんは一瞬きょとんとした表情を浮かべた後、腹を抱えて笑い出した。
「さすがにそれはねえよ」
「ですか」
これだけはっきりきっぱりと否定してくれると、それが本当であれ嘘であれ気持ちはスッキリする。
俺はひなたさんを信じて協力することにした。
「ああ、それと捜査情報は柚那にも漏らすなよ。別に柚那を疑っているわけじゃないけど、何がどこからスパイに漏れるかわからないんだからな。万が一漏らしたらさっきの動画見せるからな」
「その事なんですけど、柚那がひなたさんの指揮下でちゃんということを聞くっていう約束をさせたら柚那も使ってもらってもいいですか?」
「本当に柚那に言うことを聞かせられるならそれで構わないぞ」
「それでその…柚那を説得できたらあのデータは消去っていうことで、柚那を使えれば人手も増えますし、その人手を増やした功績ってことで一つ」
「ああ……まあ、事件が解決したらな」
ひなたさんはそう言ってメモリーカードを取り出すと、わざと俺の目の前で見せつけるように振った。
「ああ、はい。別にいいですよ」
ひなたさんと桜ちゃん、それに精華さんの歓迎会の後、俺の部屋に遊びに来ていた柚那に捜査の話をすると、柚那はあっさりうなずいた。
「概要は桜ちゃんから聞いてましたし、お仕事ならだれが上でも別に文句を言うつもりはありませんから」
ていうか、俺が漏洩するとかじゃなくて、桜ちゃんが先にあっさり漏らしてるし。
まあ、柚那はアイドル時代の経験からか、こういう仕事は別みたいなところは意外に割り切れているというか、サバサバしてるんだよなあ。
「プライベートでも仲良くしろっていうなら話は別ですけどね」
「お前、どんだけひなたさんの事嫌いなんだよ…」
取り繕った表の表情以外の素の表情を見せてくれるのはうれしいが、その表情はやめておけ。心の闇がダダ漏れだ。
「だってあいつ、朱莉さんと飲みに行ったり妙に仲がいいし」
「それはチアキさんだって黒須さんだって同じだろ」
「チアキさんはいいんですよ。チアキさんが朱莉さんにまったく興味ないのがわかってますから」
それはそれでショックなんだけど。
「黒須さんも、ちゃんと家族を大事にしてますし、信用してます」
チアキさん的には複雑だろうけどな。
「柿崎は朱莉さんが相手にしてないのは明白なので別に眼中にないです」
『柿崎さん』な。
「狂華さんは?」
「え…仲がいいつもりだったんですか?」
「言ってること酷くないか!?」
「いや、でも狂華さんは最近すっかり牙を抜かれた子犬みたいになっちゃってますし、そういう心配はしなくていいかなと」
「こらこらこら、流すなよ。俺と狂華さんが仲良くないっていうところ!俺と狂華さんは仲いいだろ。それとも狂華さんが俺の事を何か言っていたのか?」
「……」
「何か言ってよ!」
無言で目をそらすのとか本当にやめてくれ。
「みつきもあかりちゃんも恋愛っていう感じじゃないですし」
どうやら狂華さんの事はどうあっても話すつもりはないらしい。
「みつきちゃんはともかく、あかりとなにかあったら大問題だろ」
「…みつきと何かあったんですか?」
俺の言葉から何かを感じ取ったのか、柚那の顔から表情が消える。
「怖いって、その顔」
「あったんですか」
少し離れたところに座っていた柚那が無表情なまま立ち膝でこちらによって来る。
「いや、だから顔怖い。あと近いって」
「あったんですね」
「なんにもねえよ。一緒にお風呂入ったくらいだよ」
「うわあ…」
俺の言葉を聞いた柚那は無表情ではなくなったものの、今度は汚いものを見るような目でこちらを見てくる。
「なんでだよ!寮の大浴場も学園の大浴場もみんなと一緒に入るだろ!?それと変わらないだろ!?」
「それはいいんです。でも、いまの話の感じだとみつきと入ったのって、多分部屋のお風呂ですよね」
「そうだけど」
「みつきと二人で部屋のお風呂に入ったって、あかりちゃんに言えます?」
「……」
言えませんな。超キレられそうだし。
「わかってくれて何よりです。さて、罰は生爪剥がれるのと、今夜二人で一緒にお風呂に入るのどっちがいいです?」
選択の余地がないのは選択肢とは言わないと思う。
あと生爪剥ぐのはもうヤンデレとかじゃないぞ。なんとか症候群並みの狂気だぞ。
「…お風呂で」
選択の余地がないとはいえ、もちろん柚那とお風呂に入るのが嫌というわけではない。むしろかわいい恋人とお風呂に入れるなら望むところだ。
難点と言えば柚那と二人でお風呂に入ると丹念に丹念を重ねて体を磨き上げてくれるおかげで、最後はのぼせちゃうというところだろうか。
それにこっちからのおさわりは厳禁なのも不満な点だ。
「じゃあ、今晩は身体の隅々まで洗ってあげますから楽しみにしていてくださいね」
「お、おう…じゃなくて。ひなたさんともう少し仲良くできないか?プライベートでもさ」
「私は朱莉さんが絶対に浮気しないっていう誓いを立ててくれるなら、ひなたさんと友達付き合いするくらいは大丈夫ですよ」
「浮気って…俺もあの人も元はおっさんだぞ。むしろひなたさんが手を出すとしたら柚那じゃないか?あの人女好きだし」
「私は桜ちゃんにシメられるのはゴメンですからどんな手を使っても全力で回避しますよ」
「そっか、万が一ひなたさんと何かあったら桜ちゃんと柚那の二人からシメられるのか」
「私は朱莉さんをシメるなんてことしませんけど、桜ちゃんはあれで結構えげつないですから気を付けてくださいね」
柚那にここまで言われるなんて桜ちゃんはいったいどれだけえげつないことをしてくるのだろうか。いや、それより
「ひなたさんと桜ちゃんって付き合ってるの?」
一緒に写っている写真なんか持っているからもしかしたらとは思ったけど。
「いいえ。ひなたさんが逃げ回っててはっきりしないらしいです」
「付き合ってないのにそんなに束縛されてるの?」
「桜ちゃんは本人には何もしないんですよ。それこそ束縛もしません。でも、相手には色々やる。みんなそれを知っているからひなたさんについてはスルーすることにしてるんです」
「みんな?」
俺はそんな話全然知らなかったんですけど。
「朱莉さん以外のみんなは大体…まあ、狂華さんとか精華さんみたいな古参や海外の連絡将校の人たちは桜ちゃんじゃどうしようもないですし、あっちも桜ちゃんの事なんて気にせず好きに遊んだりしてますけど、朱莉さんは桜ちゃんにかなりマークされてますから気を付けたほうがいいですよ」
…ひなたさんとは仕事以外ではあんまりかかわらないようにしよう。少なくとも桜ちゃんとひなたさんの関係が落ち着くまでは。
「さて。じゃあ、部屋に戻ってお風呂の用意を取ってきますんで、戻ってきたらお風呂入りましょうね」
柚那はそう言って立ち上がるとうきうきとした足取りで部屋を出ていき、それを見送った俺は静かに鍵をしめてチェーンロックをかけた。




