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私の邪悪な魔法使いの友人  作者: ロキ
シーズン1 魔法使いの塔
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第七章 11)バルザの章11

 その後、バルザは最後の戦いに赴くため、この塔のナンバー2、シャグランに会いに行った。

 塔の主に重要な話しがあるから取り次いで頂きたいと言うと、彼は驚いたような表情でバルザを見つめて言ってきた。


 「ここを去るおつもりなのですか?」


 「相変わらずお察しが早い。あなたには大変お世話になりました」


 バルザは丁寧に頭を下げた。

 確かにこの塔に来たときと同じ、自前の鎧を着こみ、背中には大剣を背負った、完全武装した姿でいるが、それだけでバルザの心の内がわかるとは、彼は以前から何かを察していたのかもしれない。


 「出来れば蛮族が求める女神の謎を解き、それからこの塔を去るべきでしょう。せっかく建築資材を集めようとして頂いたのに、砦の建設に取り掛かることも出来ませんでした。何もかも半ばで放棄して、この塔から逃げ出すなど、騎士にあるまじき男と思われることは覚悟しています」


 「いいえ、そんなこと滅相もない。きっと、何か深い理由があるのでしょう」


 「私が去ったあと、部下たちには蛮族と無理に戦わないように書置きをしておきました。このまま戦いが続けば、いずれ部下たちが敗れること間違いありません。シャグラン殿、彼らが逃げることがあっても責めないで頂きたい。出来ればそのとき、あなたから塔の主に口添えを」


 「わ、わかりました、確約は出来ないかもしれませんが、努力しましょう」


 「有難い、あなたと出会えたことを神に感謝します」


 「なんて勿体ないお言葉」


 バルザはこのまま一礼して、彼の前から速やかに去るべきか迷った。

 しかしこの男を見捨てるのも忍びなかった。バルザは親近感を抱くこの青年に、邪悪な魔法使いの、その邪悪さを教えておきたかった。恐らく彼も被害者なのだ。


 しかし彼が、自分と同様の目に遭わせられているのか確信は持てない。

 確信の持てないことを言って惑わすのは心苦しい。


 「これはあなたにとって、これは余計なお世話なのかもしれないが・・・」


 とはいえ、見過ごすことも出来ない。バルザは躊躇しながらも、懐から手紙を取り出した。


 「もし何か、自分の記憶に深刻な不安が生じるようなことがあった場合、この手紙を読んで下さい。もしかしたらあたなを救うことが出来るかもしれません」


 「き、記憶に不安ですか?」


 「はい、以前、あなたもおっしゃっておられましたよね? 自分の記憶の中に妙な空白があると」


 「はあ、確かにそんなことを言ってしまいました。でも実は、たまにそんな気がするというだけで、それほどたいしたことではないと思っているのですが・・・」


 「何も不安がなければ、この手紙を読む必要はありません。きっとあなたを無暗に惑わすだけですから。しかし自分の存在に何かに疑問を感じたり、周りの人間たちが一切信じられなくなったとき、もしかしたらこの手紙が何かのヒントになるかもしれません」


 「い、いったいどういうことなんですか?」


 シャグランという男は困惑した表情で尋ねてきた。。


 「私も確かなことは言えません。自分のことですら、まだ確信が持てないのですから。とにかくこの塔の中で信じられるのは自分だけだと覚悟されたほうが良いと思います。たとえご友人が相手であっても、心から信頼してはいけません。私から言えるのはそれだけです。それでは失礼」


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