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私の邪悪な魔法使いの友人  作者: ロキ
シーズン1 魔法使いの塔
30/91

第四章 4)憧れのルーテティア

 何だか割り切れない気分を抱いたまま、それから予定通り、何件かの古道具屋に入った。

 しかしどの店にもあまり良い品がなく、というよりも、少なくともプラーヌスが欲しくなるような家具はなくて、私たちは買い物をさっさと切り上げることになった。


 彼は初めから、そのような予想をしていたようで、少しもがっかりした表情も見せなかった。

 だけどこっちにすれば、かなり残念だった。

 確かにこの街の古道具屋には、私の住んでいる港町にもあるような、有り触れた品物しかなかったことは事実だ。

 しかしこういう店はウロウロしているだけで楽しめるものである。

 それなのにプラーヌスは品揃えが悪いとわかるや、さっさと店を出て行ってしまうのだ。


 そういうこともあって、まだ旅が始まって間もないというのに、もう私はうんざりした気分になってしまった。

 まだバルザ殿の件で心は引っ掛かっている。それに何より、プラーヌスのこの我儘さ、それに引き回されるのは、たくさんだっていう気分なのである。

 まあ、いわばプラーヌスと付き合うようになってから度々感じる、絶望感といえば言い過ぎだけど、彼と友人になったことを後悔したくなる、あの何とも言えない気分に陥ったのだ。


 友人だと言っておきながら、私の意見など構いもしない。

 まるで私を手下のようにしか扱わない。

 そもそも私が彼の仕事を手伝うようになったのも、彼の強引さが理由なのである。


 とはいえさっきから私も、彼と友人であることを誇りに思ったり、まるで逆の感じのことを思ったりで感情の振幅が激しい。

 まあ、でもそれがプラーヌスという人間と付き合うということなのかもしれない。

 それを証拠にそのあと、私はまたプラーヌスのちょっとした言葉で、沈んでいた心が一気に浮き立ってしまったのだから、間違いないだろう。

 プラーヌスにしてみれば何てことないことだったろうけど、最後に見つけた古道具屋から出る間際、彼はこう言ったのだ。


 「やはりアンティークものの家具を買うなら、ルーテティアまで行く必要があるね。日を改めて、何もかも落ち着いてからルーテティアに行こうではないか、シャグラン」


 「ルーテティアだって?」


 私がどれだけルーテティアの街を憧れているのか、プラーヌスが知っていたかどうか知らない。

 しかし芸術や工芸品などに関して、ルーテティアは最も有名な街である。


 ルーテティア、そこは世界中から様々な種類のアーティストが集まる自由都市だ。

 画家である私がそこに憧れを抱かないはずがない。

 かねてから、絶対に死ぬまでにはいつか行ってみたいと思っていた場所なのだ。


 だけど自分で行くにはルーテティアは遠過ぎた。

 船に乗って、遥かなる大洋を渡らなければいけない。私の財政状況では到底手の届かない場所。

 しかしプラーヌスと一緒なら話しは別だろう。

 魔法なら一飛びである。正直言って、プラーヌスと友達でこんなに良かったって思ったことはなかったかもしれない。


 「今から楽しみにしているよ、プラーヌス!」


 私はさっきの憂鬱も忘れ、蝋燭売りの少年のように、今にプラーヌスに掴みかからんばかりに興奮しながら言った。


 「ああ、必ず行こう。しかしそういう長旅のためにも、バルザという優秀な番人が必要なのさ、わかるだろ、シャグラン」


 彼にしては珍しく、まるで私に理解を求めるような口調で言ってきた。プラーヌスもさっきのやり取りが気になっていたようである。


 それでまた一瞬、我に返ったけれど、もうこれで何もかも納得したように頷いてしまった。


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