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瑞穂、会長からお呼び出しの巻
図書室の扉を開けると、藤村さんと橋野先生がカウンターにいた。
「古川が遅れるなんて珍しいわね。でも大丈夫、橋野先生がひまそうだったからカウンターに座らせといた」と藤村さんがニヤリとカウンターに目をやる。
おお~、カウンターに白衣姿の橋野先生。岡崎ちゃんがいたら「ひょほーい」と心の中でガッツポーズしそうだ。私もだけど。
「橋野先生、すみませんでした。交代します」
「助かった。どうして私のところに女子ばっかり並ぶのかなあ。ところで藤村さん、私はそんなにヒマじゃありませんよ。たまたま資料を探しに来てつかまっただけです」と言い、橋野先生はカウンターから離れた。
並んでいる女子の皆さん、すみません。あなたたちからの「なぜ、もう少し遅れてこない」という怒りのオーラを感じてます。ええ、そりゃもう。早川くんに押されてる岡崎ちゃんもこんな感じなんだろうか・・・。
並んでいる人たちの貸し出しをすませ、図書室は少し静かになった。
「今日は、なんだか女子生徒の貸し出しが多かったですね。」
「短期間で、あんなに女子を集めるなんて。ねえ古川、橋野先生って「憧れの先生」ってやつ?」
「まあ・・・確かに人気のある先生だとは思います」・・・私は憧れてます・・・・
「へー。それなら時々カウンターに座らせようかな。図書室が活性化しそうだ」
「・・・私は客寄せパンダですか」
「おおっと。まだいたんですね、橋野先生」
「カウンター手伝ってくれたら、探すの手伝ってあげるからさーって言ったのは藤村さんですからね。さっさと手伝ってくださいよ」
いつもと変わらないように見える二人の会話だけど、やっぱりどこか違うんだよなあ。そして悔しいけど藤村さんも私好きだし、お似合いだよなあ・・・・
「これ貸し出し」と目の前に孝一郎が本を片手に現れた。
「はい・・・っと、学生証出して。」学生証のバーコードと本のバーコードを読ませると貸し出し完了。
「図書委員長。図書の件で話があるので、あとで生徒会に来るように。」孝一郎が会長仕様で告げた。
なんだ?もしかして、この間の購入書籍リストに不満があるのか?
あれは、藤村さんと図書委員たちがせっせと頭ひねって作成した努力の賜物なんだ。孝一郎にとやかく言われる筋合いはない。
「わかった。あと30分くらいで終わるから」というと、孝一郎は手をひらひらさせて図書室から出て行った。
図書室の受付時間が終わり、私は生徒会に向かった。
「失礼します」と入ったものの、いるのは孝一郎だけだ。孝一郎はパソコンを見ていたが、私に気づくと「そこに座れ」と椅子を勧めてきた
「孝一郎、あんたのしもべ・・じゃなくて他の役員は?」
「今日は生徒会の仕事はない」
「は?じゃ、なんの用なのさ」
「とりあえず、紅茶でも飲めよ。」と孝一郎は紅茶を出してきた。
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視点がくるくる変わる作品なので、いささか分かりにくい作品だとは思いますが、引き続き楽しんでいただければ幸いです。