番外編:クリスマスはどうすんの?-藤村 恵理子&橋野 誠介Ver.-
クリスマス番外編のラストを飾るのは
藤村恵理子と橋野誠介の番外編です。どうぞ。
(藤村サイド)
今日はデートのはずだった。
が!!誠介は今日、急ぎの仕事が入ったとかでデートの予定が潰れた。
ま、仕方ないよね・・・と思いつつ面白くない私は、今日のために用意した鍋を一人でつつきつつTVを見ている。
残りの野菜とお肉は誠介が来たら出してあげよう・・・・「よし。まずはお風呂・・・・そして、飲みだな」TVは止めて、最近密かにはまっている乙女ゲームでもやろう。私は段取りを考えて、行動に移す。誠介は私がゲームをやっていても、別に何も言わないのは知っているけど、やっぱり隣にいるとやりづらいもんね。ある意味、今日はチャーンス!!
この間はコンプリート狙いのイケメンからの愛の告白までもう少しっていうところで終わってしまったから、このままいけば告白してイベントまでいけるかもしんないっ。
しかし、図書委員たちから教えられた当初は「しょせんゲーム。子供騙しよね~」などと思っていたんだけど・・・・・少女マンガのような展開に思わずはまってしまった。
とはいえ、現実に糖度の高い言葉なんて言われちゃうと、きっとドン引き。ゲームの中だと「おお~~~い」と身もだえするものの、受け入れてしまうのはなぜか・・・・きっと、それは生身の人間に言われてないからよね。
全ての準備を終えた私は「うふふふ~」とゲームのスイッチを押した。
ゲームがイベント→ハッピーエンド→エピローグとなった頃、誠介から「仕事がそろそろ終わるから、家に行くよ」とメールが入った。
(橋野サイド)
今日はクリスマスなのに、俺は学校の職員室で仕事をしている・・・・今日が冬休み当番予定の同僚が奥さんが急に産気づいたため出勤できなくなってしまった。本来なら恵理子の家でいちゃつく予定だったのに。
電話で話したときの恵理子は「そっかあ・・・・でも、遅くなっても来てくれるよね?」とかわいく残念がってくれた。でも、絶対俺のいないときにゲームやってそうだ。
図書委員たちに教えてもらったと言っていた、いわゆる「乙女ゲーム」。これに恵理子はハマっている。彼女いわく「現実には聞かないセリフと展開が甘くてすごい」らしい。
「現実に言われたらかなり引くけど、ゲームってすごいよね。主人公のコマンドを自分で進めていくと、受け入れちゃうんだよ?こんな少女マンガな展開ありえないのにね~うはははは。」と言いつつ、俺は恵理子が「なんかときめく~」とゲームをしながら時々独り言を言っているのを知っている。
ついてないよなあ・・・・俺はカバンの中に入っている小さな箱を取り出した。自分の中で段取りつけてた計画が、自分の仕事で頓挫するとは。でも、もうすぐ当番も終わる。そしたら恵理子の家に行こう。俺は恵理子に「仕事がそろそろ終わるから、家に行くよ」とメールを入れた。
(藤村サイド)
パジャマ姿で二人でくつろぐ。
誠介は「ごめんな、クリスマスに仕事になっちゃって」と改めて謝ってきた。
事情を聞いてる私は怒るどころか、自分のところに来てくれただけでうれしいのにね。
わかってないなあ。
「誠介。これ、クリスマスプレゼント」
「お。ありがとう。中を見てもいい?」
「どうぞ。気に入ってくれるといいんだけど」
誠介は箱の中身をあけて、ぱあっと顔が明るくなった。「これ、欲しかったんだ。なんで分かったの?」それは、腕時計だった。前に二人でデートをしていたときに誠介が眺めていた時計で、私は密かに予約しておいたのだ。
「じゃあ・・・俺はこれ」と誠介が小さな箱をとりだした。
「恵理子、開けてくれる?」
「うん」箱の大きさから、なんとなく中身がわかった私はドキドキしてしまう。
それは指輪。プラチナのシンプルなリングに誕生石とダイヤモンドが光ってる。
「はめるのは左手の薬指」と誠介が私の左手を取る。
「あ、ありがとう」指、ぴったりなんだけど・・・どうしてサイズを知ってるの?
「どうしてサイズを知ってるの?」
「俺の隣で寝てるときに紙テープで測った。」
い、いつの間に。
「さて。プレゼント交換も終わったし。もういいよね。」と誠介はニヤリと笑って、私は誠介に寝室に連れ込まれて食べられてしまった。
読了ありがとうございました。
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「乙女ゲーム」って楽しいですよね。
『図書委員会』のクリスマス番外編、なんとか更新することができました。
本編のみならず番外編まで付き合ってくださった皆様、本当にありがとうございます!!
今後の予定は・・・とりあえず新作の構想を練って年末年始でストックを書き溜めたいなあ、と思っています。