番外編:クリスマスはどうすんの?-古川 瑞穂Ver.-
古川瑞穂と平田孝一郎の番外編になります。どうぞ。
昨年までの私のクリスマスといえば、家族と過ごすか友達と女子会。ところが、今年はちょっと違う。
なぜなら、いつの間にか私が孝一郎の「彼女」になっていて、二人で一緒に勉強三昧の毎日だからだ。お互いの部屋を行ったりきたりしてるんだけど、ちなみに今日は孝一郎の部屋だ。
「孝一郎と勉強してたら、前の志望校よりレベルの高いところでも行けそうだって先生にも言われたし。ありがとう、孝一郎。」
「そっか、よかったな」そういって、孝一郎は私の手をにぎってきた。
「ほえ?」驚いて孝一郎を見ると・・・・いつのまにか至近距離に孝一郎が!!
「こ、こういちろ?」ち、近いんですけど・・・・。
「瑞穂、こういうときは“ほえ”とか間の抜けることを言うなよ・・・」
慌てて目をつぶったら、孝一郎がキスをしてきた。
ときどき・・・いや、ほぼ毎日孝一郎は、勉強の合間に私にキスをしてくる。私は、いつもちょっと恥ずかしくなってしまう。
「瑞穂、今日は孝一郎くんとデートとかしないの?」
今年のクリスマスは、休日と重なったため家族全員が揃っている。
のんびり朝食をとってる私にお母さんが聞いてきた。
お父さんは「菜穂子」と言って渋い顔をしてお母さんを見てる。
「おかーさん、何言うのよ。私、受験生なのっ。デートなんてしてる場合じゃないのっ」
「受験生だって、デートしたっていいじゃないの。お母さんだって、彼氏と1日くらいはデートしたわよ」
その彼氏って・・・お父さんじゃん。当のお父さんは「・・・・瑞穂はまだ彼氏なんかいなくていい」と仏頂面だ。
「和史さんったら。私の父みたいなこと言っちゃって。」
「・・・お義父さんには、いろいろ邪魔されたからなあ・・・」と今度は娘をスルーして二人で思い出話を始めてしまった。私の両親は、仲がいい・・・・でも、いちゃつくのは二人きりのときにしてくれないだろうか。
私がやれやれと思って二人を見ていると、インターホンが鳴った。画面を見ると、外に孝一郎が立っていた。
玄関を開けた私に、孝一郎は「瑞穂、都合がよかったら息抜きに出かけないか」と誘われ、私は断る理由もないので出かけることにした。
「もー、誘うときは事前に言ってくれないかなあ」
泰斗の最寄り駅にあるショッピングモールの巨大ツリーを前に、私は孝一郎に文句を言った。事前にデートだって分かってたら服を考える余裕があったのに。
「悪かった。クリスマスを味わえるところに瑞穂と出かけたくなったんだ」そういって孝一郎は照れくさそうに頭をかいた。
「それにしても、大きなツリーだね。昨年まではなかったよね」
説明書きによると、この巨大ツリーは夜になるとライトアップもするらしい。見てみたいけど夜まではいられないもんなあ・・・・。
「夜のライトアップまで、見ていくか?俺はかまわないけど」
「えっ。いいの?・・・・でも、勉強しなくちゃ」
「決めた。ライトアップを二人で見るぞ」そう言うと孝一郎はわたしの手を握って歩き出した。
巨大ツリーのライトアップが始まる時間帯になると、ツリーの周囲はカップルだらけになっていた。さまざまな色のライトで光るツリーは昼間とはまた違った感じで、迫力がある。
「ほわー、きれいだね~、孝一郎」
「そうだな。瑞穂、受験が終わって卒業したら・・・・」
「ん?」
「あのさ」
「うん。」
「・・・俺、ほしいものがあるんだ。瑞穂からもらえるとうれしいけど・・・俺にくれる?」
「ん~?いいよ。」そんなにほしいんなら、その場で私がプレゼントしてあげようかな。そう思って何の気なしに返答した。
「・・・・よし、言ったな」そういうと、孝一郎はにこやかに私をみた。
なぜか身の危険を感じるのは、どうしてだろう・・・・?気のせい??
読了ありがとうございました。
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・・・・瑞穂の勘は正しい。
次回は恵バージョンです。