古川 瑞穂Ver.-1
瑞穂と元カノ。の巻(その1)
長くなってしまったので2つに分けました。
私は今、なぜか孝一郎の元カノと向かい合って座っている。
どうして、泰斗祭でこんなことになっているんだろ。話は30分前に遡る。
結局、孝一郎は会長としての仕事が目白押しで、泰斗祭を一緒に回ることはできそうもない。そこで、後夜祭“あとのまつり”の花火を一緒に見る約束をしていた。
私はハセちゃんと見て回った後、図書室の読書カフェで“あとのまつり”まで当番として働くことにした。
「古川 瑞穂さんだよね」カウンター越しに声をかけられて、見ると泰斗の近所にある女子高の制服を着た女の子が立っていた。
「あの、どなたですか?」
「私は佐々木 里奈。あなたのまえに平田くんと付き合ってたの」
私の後ろにいた図書委員の子が“えっ”って感じで見て、読書カフェでまったりしていたハセちゃんがそっと外に出て行くのが見えた。孝一郎でも呼びに行ったかな。
それにしても・・・この人が孝一郎の元カノかあ。彼女がいたのは知ってたけど、孝一郎って彼女を家に連れてきたことないから見たことないんだよなあ・・・・。
それにしても・・・・孝一郎って面食い・・・・どうみても、この人のほうが“いけてる女子高生”なんだけど、どうして私を選んだのかな。
「ねえ、古川さん。単刀直入に聞くけど、平田くんと本当に付き合ってるの?」
「え、うん」
「ふうん。ねえ、古川さん。よかったら、ちょっと話をしない?」
「でも、今は仕事中だから・・・・」
「いいじゃない。どうせもうすぐ一般公開時間は終わりでしょう?」
確かに、お客様はもういなくて、残っているのはこの人だけだけど・・・。
「平田くんのことで、古川さんに話があるの」
佐々木さんは、私が話しに応じるまでカウンターの前を動くつもりがないようだった。
私は、心配そうな図書委員の子に“大丈夫だから”と断って、佐々木さんとテーブル越しに向かい合わせで座った。
そして、現在。
佐々木さんは、黙って紅茶を飲み、話をする気配がない。
「あの、佐々木さん?」
いつまでも後輩を一人にしておけないので、私は席を立とうとした。
「ねえ、古川さん。私、平田くんに別れを言われたとき、理由を聞いたら“君とは価値観が会わないようだから。”って言われたの。ま、その理由じゃしょうがないかな、と当時は納得したんだけど・・・」と佐々木さんが私を見る。
な、なんか顔についてるのかな。私は思わず顔をさわって確かめてしまった。
「あなたが平田くんの本命だというのが納得いかない」
「えーっと、それはどういう・・・」
うーん、そういう話なら孝一郎に直接言ってほしい。
「俺も瑞穂だと納得いかないという佐々木さんの理由が知りたいな」
後ろから孝一郎の声がした。振り向くと孝一郎がいて、その後ろにはハセちゃんがいた。
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まさかの元カノ登場です。