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橋野、ベタな状況で邪魔されるの巻
「ぎゃおおお!!」とおよそ色気のない声で、僕は目が覚めた。
昨日、藤村を僕のアパートに連れ帰って(彼女の家はちょっと遠いのだ)、自分のベッドに寝かせた。僕は、ソファで寝た。手を出すなら両者合意のうえじゃないとね。
「ここは、どこ??」とベッドでごそごそしている音がする。
そろそろ顔を出したほうがいいかもしれない。
「おはよう。藤村。ここは僕の部屋で、ちなみにそれは僕のベッド」
「ひゃおおう!!橋野!!な、なんですと、橋野の部屋?」
「色気のない叫び声だなあ。そう、きのう藤村が酔っ払ってたから僕の家に泊めたんだよ」
「そりゃ~~~、すみません・・・うーん、やっちまったか」頭を抱える藤村。
「服は・・・着てるけど・・・・」
「酔っ払いに手を出す趣味はないよ」
「は~~~~、そっか。じゃあ、私帰るわ。悪いけど、洗面所貸してくれる?せめて髪の毛をどうにかしないと、帰れないわ」と即ベッドから出ようとした藤村を思わず押し戻す。
冗談じゃない。僕はこのチャンスに自分の気持ちをきちんと打ち明けるつもりなんだから。
「あのさ、藤村・・」
「ん?」押し戻されたことに驚いているようだ。
「僕は藤村が好きだよ。藤村はどう思ってる?」
藤村は一瞬固まったものの口を開いた。
「私ね、外見と性格にギャップがあるらしくてさ、いい感じになった人とも「なんか違う」て言われて。もー、恋愛面倒って思ってたんだ。自分自身を見てくれる人なんて、いないんじゃないかと」
「それで?」
「でも橋野はさ、私の性格が分かっても変わらないじゃない?それがとてもうれしかったんだよ、橋野」
「今の藤村の気持ちを教えてくれないか?」
「橋野のこと、すきよ」
「いま、しらふだよな」
「酔っ払って告白なんかしないわ」と顔を赤らめる藤村。
じゃあ、こういうことをしてもいいかな。両者合意のうえで・・・・と僕は藤村を押し倒してキスをした。藤村もキスに応える。
そのまま、藤村も抵抗しなかったので、僕は藤村をいただこうとしたら・・・・・・
ピンポーン。インターホンの音が室内に響いた。
これで、僕たちは我にかえった。あわてて身づくろいをし、藤村は洗面所へ。僕は玄関へ。
結局、この日は藤村と一緒に彼女の部屋へ行き、そのまま健全なデートをして、初めて「恋人同士」として過ごしたのだった。
早く彼女を食べてしまいたいけど、片思いが成就したからとりあえず理性を保ってる僕。
でも、そんなに待てないかもしれない。
「今度、白衣着て迫ってあげようか。」
「ばっ・・・ばかじゃないの??・・・ちょっと興味あるけど・・・・」
読了ありがとうございました。
誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。
橋野の「忍耐」が実ったのと、「忍耐」を試された話になりました。
次は違う人の視点で、その人の恋愛事情です。
涼乃の章に、ちょっとだけ名前がでた人です。