-3.古川 瑞穂Ver.
ジェラシー孝一郎。の巻
夏休み前に、私は幼なじみの孝一郎と付き合い始めた。
今まで幼なじみだったのが、「彼氏と彼女」になるって、変な感じ。
図書委員会の後輩で、2年生の岡崎ちゃんとめぐちゃんにも彼氏ができていた。しかも、彼氏は2人とも校内の有名人ときた。
岡崎ちゃんの彼氏はテニス部の早川くん。これに関しては「王子、頑張ったんだなあ。」という感じだったんだけど・・・・めぐちゃんが土屋くんと付き合いはじめたのには驚いた。
土屋くんは、いい人なんだけど何考えてるか分からないところがある。私は、めぐちゃんに「本当に土屋くんと付き合って大丈夫なのか」と確認しようかと何度も思った。
だけど、孝一郎から「信康は信用できる男だから心配するな」と言われたことと、土屋くんのめぐちゃんに対する様子を見てて、心配するのをやめた。
私は孝一郎に現在の進行状況を聞きたいと生徒会室に呼ばれ、今年の準備は早川王子と土屋くんが、図書室の準備を手伝ってくれたおかげで早く進んだと説明した。
ところが、孝一郎からすると、自分が来た頃には作業が終わっていたため若干面白くなかったらしい。
「信康も早川も・・・自分の部を優先しろよな~」と今もブツブツ言っている。
「私は助かったよ。昨年も一昨年も、生徒会ってこの時期忙しいのに孝一郎が抜けてきて手伝ってくれるのは助かったけど、やっぱり心苦しかったもん」
「ふーん。瑞穂が、そう言うなら、ま・・・しょうがないか」
最近、孝一郎は変わった。前なら「瑞穂は甘い」とか言ってたのに。
やっぱり、二人が彼女持ちなことが関係あるのかな・・・いやいや、単にそのときの気分だろうな。
「テーブルのセッティングが終わったら、次は何をやる予定?」
「蔵書の中から、本をピックアップするよ。毎年、一番気を使う作業だけど、とても楽しいよ。」
「それ、俺もやりたい」
「どしたの?孝一郎。いつもテーブル準備だけなのに」
「・・・・面白くない」
「へ?」
「俺も、瑞穂を手伝いたいのに。信康や早川に先を越された。やっぱり面白くない」
えっとー、子供か?孝一郎。理路整然としてるいつもの姿はいったいどこへ・・・。
「孝一郎、子供みたい。」
私に指摘されて、孝一郎は自分の言動が恥ずかしくなったらしい。珍しく顔を赤らめている。
「最後の泰斗祭は、どちらかの日に一緒に回れるといいね」
「そうだな。」
「・・・瑞穂は、あとは帰るだけか?」
「うん。今日の作業分は終わったからね。孝一郎に呼ばれたときに荷物も持ってきたよ」
「そうか。もう少し待てるか?一緒に帰ろう」
「うん。いいよ」
私の返事を聞いた孝一郎は、「よかった」と言って笑った。
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瑞穂と孝一郎のほのぼのカップルです。