第14章:それぞれの文化祭(準備編)-1.岡崎 涼乃Ver.
涼乃、圭吾の行動に困惑。の巻
2学期の中間テストが終わり、泰斗は一気に文化祭『泰斗祭』モードに突入した。
泰斗祭の中心は1、2年生。3年生になると、クラス単位では参加せず部活動のほうで参加するのみだ。
今年、うちのクラスは茶店をする。粉末の緑茶だとゴミが出ないし、クラスに県内でも老舗の和菓子屋のお嬢様がいて、そのお店の和菓子を安値で提供してもらえることになったからだ。ちなみに、そのお嬢様は唯ちゃんだったりする。
唯ちゃんは「その代わり、わたしゃ都合のつく休みの日と繁忙期には店の手伝いだよ~」とぼやいていた。
ちなみに図書委員会は調理部との合同で、昨年好評だった読書カフェを今年も執り行う。
図書委員が接客と販売で、調理部がお菓子と飲み物の提供という役割も同じ。文化祭で歩くのに疲れた人が結構立ち寄るため、なかなかの盛況だったのだ。
クラスの茶店では裏方のお茶入れと菓子盛り付け、委員会のほうでは会場準備と販売。
でも、今年の読書カフェの準備はちょっと昨年と状況が変わっている。
昨年までは、図書室の準備を手伝ってくれる男の人は、橋野先生と平田先輩だけだった。
それぞれ藤村さんと瑞穂先輩が仲がいいので、皆、納得していた。
それが、今年は・・・・
「圭吾くん・・・・テニス部の準備は?」
「ん?大丈夫。俺の分まで高田が働いてくれるよ。図書委員は女子ばっかりで大変だろうから、男手が必要でしょう?」
なぜ、テニス部の圭吾くんが、図書委員の準備を手伝っているんだろう・・・・?
しばらくして、テニス部の高田くんが現れて「圭吾~、いい加減戻れ。俺だってこれ以上はごまかせないぞ」と渋る圭吾くんを引っ張って帰っていった。
やっぱり、高田くんに頼み込んでこっそり来てたのか・・・・
「王子ってば、彼女思いよね~」と藤村さんは笑うけど、こっちは高田くんとテニス部の皆さんに申し訳ない思いだよ。
「岡崎ったら、真面目なんだから。今年は人手が増えてラッキーくらいに思っておきなさいよ。おかげで、準備が効率よく出来たじゃない。それに、松尾も似たようなものだし」
そうでした・・・私は、さっきの私たちと同じような問答を繰り広げている様子の、めぐちゃんと土屋先輩のほうに目をやった。
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第14章は、それぞれの登場人物たちの文化祭までの話になります。
第15章の「文化祭編」でこの連載を一区切りさせる予定です。
苑子の話は、この作品で収まりそうにありませんので、長さは分かりませんが、独立した話にしようと思っています。