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信康と孝一郎。の巻
恵ちゃんとデートの約束♪と浮かれていたものの、俺はふと疑問に思った。
“高校生ってどこでデートするんだ?”ネットで調べてみると・・・遊園地、映画、水族館、ショッピング、美術館・・・“お互いの家”なんてのもある。
そういえば、俺、逆ナンしてくる女の子と適当にその場付き合いばっかりだったので、ちゃんと好きになった女の子って、恵ちゃんが初めてかもしれない・・・・。
翌日の放課後。俺は生徒会室にいる孝一郎のところに顔をだした。
「なー、孝一郎。」俺は生徒会室でパソコン使って仕事中の孝一郎に話しかけた。
「・・・・・信康、化学部の活動はどうした」孝一郎はパソコンの画面から目を離して俺を見た。
「ちょっとさぼり。お前に聞きたいことあってさ」
「なんだ」
「孝一郎ってさ、古川さんとどこでデートしてんの?」
「はあ?それ聞いてどうすんだよ」孝一郎は俺の意外な質問に驚いている。
「お前、知ってるだろ?俺が告白してデートしてっていう段階踏んだ男女交際したことないの。もー食い散らかしてばっかりで」
「あー、確かうちの学校の子には手を出さないんだっけ・・・・今は出してるよな。まったく、松尾さんと知り合う前の、学校外のお前の行動は褒められたもんじゃなかったな。」
「ふん。お前もたいして・・・」
「俺は、告白されて付き合ってみて価値観の相違を感じて別れるというのを短期間で繰り返してただけ。逆ナンされて適当に食い散らかすお前とは違う」
「う・・・それで、質問の答えはないのかよ」
「お互いの家。受験勉強してる。」
「・・・・・・どこも出かけないのかよ。」
「近所の公園で勉強の息抜きに散歩。息抜きにデートしようと言ったら散歩でいいと言われた。まあ・・・お楽しみはこれからだな。」
孝一郎が、古川さんの話をするときの顔を、俺は鏡で孝一郎にそのうち見せてやろうと思う。
夏休みになり、今日は恵ちゃんに物理を教える日だ。課題を終えたら直接聞いてみよう・・・そう思って、俺は待ち合わせ場所の図書館に向かった。
図書館でひたすら勉強する恵ちゃんを見ながら、俺も自分の勉強をこなす。
どうやら説明文がよく分からないみたいで苦手意識を持ってしまい、つまずいたらしい。
公式の使い方とか、法則などを俺が持参した参考書なども見せて、少し教えてみたら「先生より、分かりやすいです」と、とても感謝されてしまった。
「化学の橋野先生は、物理を教えるのも上手だよ。俺が在学中は俺が恵ちゃんに教えるけど、卒業したら橋野先生に質問してごらん。図書室に来たときでも。」
「いいんでしょうか。担当科目以外のこと、聞いても」
「他の先生は知らないけど、橋野先生は大丈夫だよ。むしろ喜ぶと思う。」
「分かりました。土屋先輩が言うなら間違いなさそうですね」
「恵ちゃんは今度のデート、どこか行きたい場所ってある?」
「えっと、映画は趣味の合う人か一人で楽しむのが好きだし、遊園地は絶叫系がダメなので・・・・この間新聞で見た美術館の企画が面白そうだったので、行ってみたいです。土屋先輩は?」
「美術館、いいね。俺もけっこう見るの好きだよ。実は、俺も絶叫系が苦手でね~。あと長時間並ぶのがつらいから遊園地もあんまりなんだ~。じゃあ美術館にしよう。俺がチケット用意しておくね。」
「ダメです。おごってもらうなんて悪いです。割り勘で。」
俺はおごると何度も言ったのだが、恵ちゃんは譲らず・・・結局折れたのは俺でした。
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信康と孝一郎は、今の彼女と付き合うまでの女性との付き合い方が微妙・・・。いい加減さではどちらもいい勝負。