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土屋先輩、棚からぼたもち。の巻
結局「土屋くん」と呼ばれないまま、季節は1学期の期末テストを終えてもうすぐ夏休み。
今日は恵ちゃんが放課後当番で、俺は化学部が休みのため図書室で恵ちゃん待ち。
付き合って最初の頃は「悪いから待ってなくていいです」と言われていたけど、今は終わる前に俺のところにきて「あと15分くらいで終わりますから」とか言っていく。
うんうん。こういうところは進展してるよなあ~。
恵ちゃんと帰り道を歩く。たまにチラチラと見ていく生徒がいるけど、恵ちゃんは気にしてないみたいだ。
「もうすぐ夏休みだね、恵ちゃん」
「そうですね。」
「恵ちゃんは、夏休みどうするの?」
俺が質問したあと、なぜか恵ちゃんが急にもじもじし始めた。
「・・・土屋先輩って理数系、特に物理が学年トップだと前に瑞穂先輩に聞いたことがあるのですが・・・」
「ま~、好きな科目だし、そっち方面の大学行きたいし・・・どうしたの?」
「じ、実は・・・・先輩、私・・・物理がすごく苦手で期末もギリギリだったんです・・・・勉強の邪魔をしてしまうので、どうしようかと思ったのですが・・・できたら、教えてほし・・・」
・・・・・・・物理が得意でよかったじゃん、俺!!
「恵ちゃん!!ばっちり教えてあげるよ!!一緒に勉強しよう!!」
「は、はいっ。ありがとうございます」
「じゃあ、俺も恵ちゃんにお願いしていい?」
「え・・・・」恵ちゃんは若干引き気味。俺はそんなに「えげつないお願い」をするタイプに見えるのだろうか。
「俺の勉強の息抜きにつきあってよ。」
「息抜きに、ですか?」
「そう。デートしよう、デート♪」
「だって・・・・先輩、受験生・・・」
「受験生だって、息抜きしたい!ね?」
恵ちゃんは、しばらく無言で考えた後、「そうですね。息抜き必要ですよね」と笑ってOKしてくれた。
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土屋先輩がちょっとだけ報われています。