-3:武内 聡太の思惑2
聡太の尋問。の巻
内藤にケーキを持ってきたときの苑子は、とてもわかりやすかった。
あんなにギクシャクして、よくこぼさなかったなあ。もっとも、苑子は見てないかもしれないけど
内藤も同じくらいギクシャクしてた。
それにしても、さっきの内藤の大笑いには驚いた。あいつも、大口あけて笑うんだな~。
二人でラーメンを食べつつ、思わず「さっきの、内藤の大笑いには驚いたよ。」
「すみません。なんか先輩と妹さんのケンカがほほえましくて、つい」
「あれが、ほほえましいかねえ。」
「先輩も知ってるとおり、うちは父の赴任先にに母親が付いて行ってるので、男ばっかり3人の兄弟暮らしです。手作りのお菓子なんて縁ありません。」
「妹はないけど、彼女ならあるんじゃないのか?」
「彼女、ですか」
「お前、昔からもてるじゃんか」
「・・・・」そこは黙殺かよ、内藤。
「あのさ・・・・すんげえお節介かもしれないんだけど、一つ聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「うちの苑子・・・どう思う?」
ガチャン。内藤が使っていたレンゲを落とした。そして何か考え込んでいる・・・こりゃ、まさか。
「妹さん、ですか?・・・えーっと、そうですね・・・・」
そのまま内藤は、俺の質問を黙殺して、ひたすらラーメンを食べていた。
「ま、ムリには聞かないよ。」
俺も黙ってラーメンをすする。
「先輩。妹さんですけど、たとえがどうかと思いますが、小動物みたいで面白いです。」
「小動物・・・ハムスターとかうさぎか?」
「そうです。昔、うちの弟が飼育してたハムスターを思い出しました」
苑子がハムスター・・・・確かにそうかもしれない。俺は思わず笑ってしまった。
「今は、見て面白いだけですけど・・・・先輩、先のことは誰にも分かりませんから」と内藤は笑った。
確かに、内藤は苑子のことを嫌いではないらしい・・・。「面白い」って理由は苑子には明かせないが。
「ま、うちの小動物は内藤なら大事にしてくれそうだから、譲ってもいいけどな」
「そうですか。そのときは大事にしますよ」
「そうか。俺はその言葉、忘れないからな」
俺たちはラーメン屋を出て、そこで別れた。
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聡太の尋問は不発なんだけど、内藤が含みのある発言をしてます。
次回は土屋先輩視点の話になります。