表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/58

第12章:武内 苑子の邂逅-1

聡太のサプライズ。の巻

「苑子、今度の日曜日に俺の友達が来るから、なんかお菓子焼いてくれないか?」

 今日は金曜日。朝、顔を合わせた聡太お兄ちゃんが、いきなり頼んできた。

「日曜日に?・・・急だね」

「その日しかお互いの都合が合う日がなくてな。悪いっ!頼めないか?」聡太お兄ちゃんにおがまれてしまった。

 日曜は何の用事もないから、家にいる。朝早く起きれば作れるから聡太お兄ちゃんの頼みを聞いて、恩を売っておくのもいいかもしれない。

「いいよ。なんか作るよ。」

「おお~~。ありがと。楽しみにしてるよ」聡太お兄ちゃんは笑顔になった。

 うーん、何を作ろうかな。家にあるレシピから考える。こういうこと考えるのって楽しいから好き。


 日曜日、両親は「二人でデートしてくるからね♪」と言い残し、出かけていった。

私はキャロットケーキを作り始めた。パウンドケーキ型で何本か作って、あした樹理ちゃんや図書委員会のミーティングで食べよう。

「おはよ~」と焼きあがった頃に聡太お兄ちゃんが顔を出した。

「おはよ~、そうくん。友達は何時ごろに来るの?」

「あー・・・確か午後。そうだ、苑子、悪いけど今日は部屋まで持ってきてくれない?」

「そうくんや、おりくんの友達が来ると私には顔を出すなっていつも言うくせに。変なの」

「今日は頼むよ~。後で勉強みてやるかさ~。お前、また数学詰まってんだろ?」

「・・・なんで知ってるのよ」

「昨日の夜、「わかんなーい」ってぶつぶつ言ってただろ。自分の部屋に入るときに聞こえたぞ」

 私は、負けた。


 お昼が過ぎ、インターホンが鳴った。「お、きたきた。苑子、お茶とお菓子よろしくな」と聡太お兄ちゃんが友達を迎えるために部屋を出て行った。こっちに聞こえない程度の声でなにか話して、二人は聡太お兄ちゃんの部屋に入っていった。

「そろそろ、持って行ってもいいかな」私は充分に冷ましたケーキと紅茶を持ってお兄ちゃんの部屋に向かった。

「そうくーん。ケーキ持ってきたよ」

「おー。入れよ、苑子」と言われたので、私は扉を開けた。


そこには、私服姿の内藤さんがいて私に「おじゃましてます」と頭を下げた。

私は、びっくりして聡太お兄ちゃんを見た。お兄ちゃんの顔は・・・まさに「してやったり」だった。

「こ、こんにちは」と挨拶をした私が、ケーキもお茶もこぼさずに置けたことは自分を褒めたい。

そのあとは、そそくさとお兄ちゃんの部屋を出て・・・居間で座り込んでしまった。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


ちなみに苑子は聡太のことを「そうくん」、伊織のことを「おりくん」と呼んでます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ