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恵とタラシの爆弾発言。の巻
時期的に第11章は、第1章-3の後から第4章ー2の前までの間くらいです。
2年生になってしばらくしたら、涼乃が“話題の人”と化していた。
同じクラスの女の子から「ねえねえ、松尾さん。1組の岡崎さんと同じ図書委員だよね。岡崎さんって、どんな人?」と言葉は違うけど、同じことを聞かれていた。
涼乃・・・「地味で平和な高校生活」がモットーのはずが、何をした?
「涼乃、あんた何やったのよ」当番で一緒のときに、私は思わず聞いてしまった。
「私は何にもしてないよ、めぐちゃん。早川王子のせいだよ・・・・」涼乃の気力のない答えに、私はいささか心配になってきた。
「私でよかったら、聞くよ?」
「うん・・・・唯ちゃんとも待ち合わせてるから、一緒に話、聞いてくれる?」
唯ちゃんは、涼乃の友達で私も涼乃に紹介されて仲良くなった。帰りに3人でお茶して帰ろう、ということになった。
委員の仕事を終えて、私たちは唯ちゃんと合流して涼乃の話を聞くべく駅に近いカフェに立ち寄った。
「王子に、付き合おうって言われて断ったら、強引にメルアド交換させられたんだよ・・・。そしたら1日1回メールが来てさ、すっかりメル友。私、断ったのに、どうしてこんなことになったんだろ・・・」
は~~~~と涼乃は長いため息をついた。
私は、明るくて可愛らしいクラスでも人気者ポジションにいる子じゃなくて地味な涼乃の良さを知ってるというので“王子って結構見る目あるじゃん”とちょっと感心した。
唯ちゃんも同じだったらしくて「あのさ、涼乃。私は王子が、見た目に惑わされない感じで結構気に入ったな。めぐちゃんは?」
「私も唯ちゃんと同じ。涼乃、王子って見た目はああだけど、きっと中身は違うと思う。とりあえずメル友してみたら?」
「そういうもんだろうか・・・・確かに王子って悪い人じゃないんだけど・・・なんつーかキラキラでまぶしすぎるんだけど。」
「確かに・・・キラキラだよね」
「うん・・・あれは地味な私らには直視できないね・・・」
「なんで、こんなことになったのかなあ~。王子の好みって変だよ~。」
それから涼乃のグチをとことん聞いていたら、涼乃も気が楽になってきたらしく「わかった。とりあえずメル友してみる。話聞いてくれてありがと・・・また、何かあったら聞いてくれる?」
私たちは快く了解して、この日は解散となった。
涼乃たちとは駅で別れ、私は改札口へ向かっていたときに「松尾じゃないか?」と声をかけられた。
そこには、元彼と彼女らしき女の子がいた。
元彼とは中3になって付き合い始めた。高校が別になってから二人の間に溝ができて、高1のときに彼に好きな女の子ができたのがわかって、私から別れを告げた。
そういえば、そのときの彼のセリフ・・・泰斗に行ってる私に引け目を感じてるときに、同じ高校の女の子と遊んだら話が合って楽しくてズルズル、だっけ。
まさか、自分の通ってる高校の最寄り駅で、ばったり会うことになるとは・・・。
「元気そうだな」なんだか、すっかりチャラくなったなー、元彼。
「この駅、そっちの高校の最寄駅じゃないよね?どうしたの?」
「ちょっと、この辺に用があって」
「そう。」
「ねえねえ、この人がモトカノ~?」と彼女らしき人が私をジロジロ見る。
「そう。泰斗に通ってんだ」
「へ~。頭いいんだぁ。」なんだか感じの悪い女の子だなあ・・・・。
「めーぐみちゃん、お待たせ」後ろから聞こえた声・・・・見ると、土屋先輩が立っていた。
「あ、土屋先輩。」
元彼と彼女は、突然現れた土屋先輩に驚いた。
「誰だよ、あんた」
「ん?俺は恵ちゃんの彼氏だよ?」さらっと土屋先輩はとんでもない発言をした。
何ですと?何を言ってる・・・・この人?
読了ありがとうございました。
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不本意ながら、早川くんとメル友になってしまった後の涼乃の様子を恵視点で書いてみました。このあと、名前呼びをするはめに(笑)。