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王子は意外と強引だったの巻
その夜、メールではなく電話してきた唯ちゃんに私は、あの出来事を話した。
あとは寝るだけなので自分の部屋でパジャマでごろごろしながら話す。
「ひゃー、なんだか私が帰ったあとにビックリな展開だね。」
「当事者の私は、もっとビックリだよ」
「涼乃。あんた、逃げたのはまずかったのでは」
「うぉ・・・やっぱり・・・・だめ?」
「だめでしょう。明日、学校行ったら早川王子に謝りな」
「え~。早川王子にどうやって接触すればいいのさ」
「どう返事をするにしたって、はっきりさせないと早川王子が気の毒でしょうが」
確かに、あんな呆然とした早川くんは初めて見た。
次の日、「はー、どうやって早川王子と接触すればいいんだ・・・・・。」と気が重くなる。
教室に入りクラスメートと挨拶をしながら、自分の席へ。
あー、どうしようかなーと机で頭を抱えてため息をついてると「おはよう、岡崎さん」と上から声がする。
見上げると、早川くん。今日も爽やかオーラが満載だ。
「おはよう、早川くん。」これは謝罪のチャンスなのでは!!
「あ、あのさ、早川く「岡崎さん、今日の帰り、また教室に残れる?」早川くんは、もしかして謝罪のチャンスを作ってくれたのか。なんていいひとだ、早川くん!!
「うん。大丈夫。」と私が言うと、ほっとしたのか「じゃあ放課後」と自分の席に戻っていった。
さっそく、お昼に唯ちゃんに報告。
「唯ちゃん、今日の放課後に謝罪ができそうだよ」
「よかったね。ちゃんと謝るんだよ」
「うん」私は、朝のどんより気分がすっかり晴れて、爽快だった。
ああ、お弁当が美味しい。やっぱり食べるときには気分がよくないとね。
授業が終わり、私は約束どおり教室に残っていた。
早川くんは部長に断りでもいれに行ったのか教室にいない。私は誰もいない教室で読みかけの文庫本を読みながら待つことにした。
「ごめん。待った?」と早川くんが教室に入ってきた。
「んー、そんなには。ちょうど読みかけの本が読めてよかったよ。」
そうだ、ここで謝ろう。「早川くん。昨日は、いきなり帰っちゃってごめんなさい」私は頭を下げた。
「あ・・・あー、いいよ。驚いたんでしょう?いきなり聞いて」早川くんが言う。
「でも、中途半端に帰っちゃったから、悪いことしたなあと思って。どっちにしろ、昨日聞いたことは断るつもりだったし」
「・・・理由、教えてもらってもいいかな」
「まず、私と早川くんの間に接点ないし。話したこともないのに、いきなりのあれは驚くよ。それに、早川くんって華やかで気後れしちゃうし。私、平和かつ地味に高校生活送りたいんだよね」
「俺個人のことは、どう思ってる?」
「んー、よくわからない。さっきも言ったけど話したことないし。」
「じゃあ、よく分かるようになったら、考え直してくれる?」
「はい?」
「まずは、友達からだな。メルアドの交換しようよ。携帯は?」
「ええっ」
「ほら、赤外線で交換しようよ」
これは、イヤだといえない雰囲気じゃないか。私は渋々携帯を出した。
「アドレス交換、完了。俺はあきらめ悪いよ?覚悟してね」
にっこり笑った早川くんは、王子じゃなくて魔王に見えた。
ど、どうしてこんな展開になったんだろう・・・・。
読了ありがとうございました。
誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。
王子のとった行動は涼乃を「困惑」させました。とういうことで「困惑」と題名につけてみたのですが・・・
次は違う人の視点で、その人の恋愛事情です。
涼乃が萌えだった「彼」です。