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彼の名前。の巻
駅で2番目の兄、聡太お兄ちゃんを見かけた。兄は専心館高校の制服を着た人と一緒にいたようだった。私は声をかけようかどうか迷ったけど、ここで兄が気づいてて私が無視すると後が面倒なので声をかけた。
「そうくん、今帰り?」一緒にいた人は、気をきかせたのか少し後ろに下がってしまったため、私には見えなかった。
「苑子?おまえ、帰りがいつもより遅いじゃないか。今日は委員会活動だけなのに、なんでこんなに遅く・・・」うわっ。聡太説教モードか?だいたい聡太お兄ちゃんだって遅いときあるのに。遅くたって、まだ夕方6時過ぎたくらいじゃんか~。
「まだ、夕方6時すぎじゃない。今日は全員ミーティングで話がちょっと盛り上がっちゃったんだもん。全く、そうくんは心配性だよ。」
「当たり前だ。妹を心配して何が悪い」
「先輩。俺、そろそろ。」聡太お兄ちゃんに、一緒にいた人が遠慮がちに声をかけてきた。
「お、すまん。・・・苑子、こいつは俺の後輩で内藤 駿介。3年生で、剣道部の主将なんだ。内藤、これは妹の苑子。泰斗高校の1年生。」
私は兄に紹介されて、初めて顔をみた。
うそ・・・・「あの人」だ!!短い髪にキリッとした顔つき。絶対間違いない。電車で助けてくれた人だ。私は動揺が顔に出ていないことを祈った。
「はじめまして、内藤です。」
「た、武内 苑子ですっ。あ、兄がお世話になってます。」
はじめましてか・・・そうだよね。覚えてないか・・・でもっ、知り合えたんだからラッキーだよね?
内藤 駿介さんか・・・・よしっ。名前覚えた。私は彼の顔を、もう一度見ようと顔をあげた・・・・が、私の前に聡太お兄ちゃんが立つ。ちょっと~、顔が見えない!!
「内藤。また話はあとで聞くから。苑子、帰るぞ。」聡太お兄ちゃんは、私の手をつかみ、さっさと内藤さんに別れを告げた。
「はい、先輩。またよろしくお願いします。」内藤さんは、お辞儀をして改札に向かって歩いていった。
内藤さんって、無口な人なんだなあ。顔には出してなかったけど、私とお兄ちゃんの言い争いみて、あきれられたどうしよう・・・。聡太お兄ちゃんのバカーっ!!
読了ありがとうございました。
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名前を知るのにまるまる1章使ってしまいました。
苑子のテンポはちょっとのんびりです。