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王子、映画に集中できずの巻

 夏休み、今日は涼乃と会う日だ。

 最寄り駅に到着したのは5分前。涼乃は既に待っていた。


 ふんわりした紺色のブラウスにロールアップしたカーキ色のパンツをはいた涼乃は、ちょっと大きめのバッグを肩からさげて、文庫本を読んで俺を待っていた。

「ごめん、遅れた」

「そんなことない。私が早く到着したんだよ。」

「じゃ、じゃあ、行こうか。映画は何か見たいのある?」

「いちおう、パソコンでこれから行くところのスケジュールをプリントアウトしてきたよ」と、涼乃は俺に紙を渡す。

 でも、題名だけ見てもさっぱり見当がつかないな。うーん、どうしよう・・・と考えていたら、涼乃が「私ね、いちおうスケジュールはプリントアウトしたものの、内容見てこなかったの。バカだよね~。だから、圭吾くんがよければ、実際に行ってプログラムをもらってから決めない?」とテヘヘと笑った。

「いいよ。実は俺も内容がさっぱり分からなかったから涼乃が提案してくれてよかった」と俺も彼女の笑顔に釣られて笑った。


 お昼を食べた後、映画館で検討した結果ハリウッド系アクション物にしてみた。

 映画が始まったけど、隣に涼乃がいると思うと画面に集中するのが難しい。シートにちょっともたれて姿勢を変えたりとかそういうのが伝わってくると、どきどきする。

 女の子と映画を見に行くなんて初めてじゃないのに、どうしちゃったんだろ、俺。

 そういえば、涼乃は夏休みの課題終わったのかなあ・・・・などと俺は映画と関係ないことをぼんやり思っていた。

 映画はちゃんと目では追っていたんだけど、ストーリーがよく分からないまま終わってしまった。


「映画、結構おもしろかったね~。圭吾くんは、どうだった?」

「なかなかの迫力があったね。車を使ったアクションとか」涼乃が気になってあまり見てませんでしたなんて言えないので、確かそういう場面があったよな、と思って口にする。

「あ~、確かに。すごかったよねえ!あと私、主役のマッチョな捜査官よりも相棒の博士に目がいっちゃったよ。熱くなりがちな主人公に対してコンピューターの天才で冷静な彼!!いいよねえ」

 そういえば、そんなキャラクターいたなあ。・・・確か白衣にメガネだったような・・・。

「涼乃好みの白衣メガネだったね」

「そうだね~。外見もだけど、キャラクターがツボだったよ。彼はなんという名前なんだろう。帰ったら調べてみよ」なんだかうれしそうな涼乃。


 なんか面白くないなあ。俺が涼乃に気を取られてる間、彼女はしっかり映画を楽しんでる。

「あのさ、涼乃」

「はい?」

「俺、今日デートのつもりだったんだけど・・・・」

 涼乃はそれを聞いて顔が赤くなった。「そ、そっか。えと・・・そうだよね、デートだよね。」

 二人の間に、沈黙の時間が流れた。


 恥ずかしくなった俺は、急遽話題を切り替えた。

「あ!そうだ、涼乃は夏休みの課題どこまで終わった?」

「数学と物理のテキスト以外はメドがついた・・・・でも一番苦手なものを残しちゃったよ。」と涼乃はげんなりした顔をした。

 俺はチャンスと思って「あ、じゃあ。今度、図書館で待ち合わせして一緒に勉強しない?」

「へっ。でも、圭吾くん部活は?」

「8月になったらテニス部は午前中だけになるから午後はあいてるよ。都合がよければ、どうかな」

「えっと・・・・」

「俺、数学と物理のテキストはメドがついたんだけど、古文と英語が全然だめなんだ。涼乃に文系の科目を教えてもらえると助かる。俺が涼乃に数学と物理を教える代わりにどうかな」

 涼乃には、交換条件を持ちかけるとわりとOKが出ることが多い。どうやら彼女は、無条件で人に「してもらう」ことが苦手みたいだ。

「・・・お互い、助け合うってこと?」

「そうそう。」

 こうして、涼乃と一緒に図書館で課題をすることが決定した。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。


王子の奮闘第2弾。

涼乃は映画をしっかり楽しんでいた模様。

次回は第9章で涼乃視点です。


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