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瑞穂、俺様に落ちるの巻
瑞穂はカフェラテを一口飲むと一息ついた。
「私、片思いだったけど橋野先生が好きだったの」
「うん」
「だけど、あの日、孝一郎が優しくて流されそうになった」
「うん」
「でも、それは孝一郎に悪いと思ったから、ちゃんと考えようと思った」
「うん、それで?」
「今までも孝一郎には彼女がたくさんいたけど、でもいつも孝一郎は私のそばにいた。だけど、いつかそうじゃなくなったらどうしようって思ったら、橋野先生に失恋したときより、すごく辛くなったの。」
「そうか」
「うん。私、孝一郎とずっと一緒にいたい。・・・・私、孝一郎が好きかもしれない」
好きかもしれないってなんだよ。自分の気持ちに自覚がないのか。告白にしか聞こえないのは俺の拡大解釈か?
「おまえ、俺のこと好きだろ」
「違うよう!!好きかもしれないって言ったでしょう!!」顔を赤くして否定するなよ・・・・
「ずっと一緒にいたいなんて、瑞穂・・・・そりゃプロポーズか?」
「は?何言ってんのよ!」
「プロポーズは、俺が瑞穂にするから、先にするな」
「はあっ?なんで、そこまで飛躍するの??」
「まずはお互いに希望の大学に合格しなくちゃな。俺、院にも行きたいから、その後就職して・・・そうだな3年後くらいで瑞穂を養えるようにならないとな。待ってろよ。」
「待て?・・・・どんだけ俺様。」
「今は・・・・そうだな。一緒に“いろいろ勉強”しなくちゃな」とニヤリとする俺。
「勉強・・・・そうだね、受験勉強しなくちゃ。」お、こういうのには引っかからなくなったのか。
いつの間にか、夕方になり少し肌寒くなってきた。
俺たちは公園から家に戻ることにした。めでたく「恋人同士」に進展したらしいので、俺は瑞穂と手をつないでみた。
瑞穂と手をつなぐなんて、どれくらいぶりだろう?俺の手も背も大きくなって、瑞穂の手だって子供から大人の女性の手に変わりつつある。
「ちょっと!なんでいきなり手をつなぐのよ。恥ずかしいじゃないの!」手を振り払おうとしてるから強く握って逃がさないようにした。
「彼氏と手をつなぐ彼女だぞ。ほほえましいじゃないか」
「それ自分で言う??ねえっ!」
手をつなぐだけで、この狼狽ぶり。腕をからめたり、その先へ行くたびにどれくらい瑞穂は狼狽しまくるんだろう。なんだか楽しくなってきた。
「瑞穂の初めては、みーんな俺がもらうからな。今まで彼氏いなかったのは知ってるし、これからも俺以外いないから」
「な、なななな・・・・・」
「なんだ、ナスでも食べたいのか」
「なんてこと、言うのよ!!」
「誰も聞いてないよ。大声出すと目立つぞ」
あーあ、ここでキスでもしたいけど、したら確実に口を利いてくれなくなる。
ま、これから先いくらでも機会はあるからな。まずは変化した二人の関係を楽しむか。
「お前、夏休みはどうすんの?」
「え~~、学校の補習授業と夏期講習うける。」
「そうか。俺もそれに付き合う」
「あんた・・・・T大確実って聞いてるけど」
「講習のあとにデートして息抜きすんの。な、瑞穂?」
「・・・・わかった。」
瑞穂は、どう脳内解釈をしたのか「孝一郎はレベルが高いから、一緒に勉強すると成果がありそうだね。」とボケた発言をかました。
読了ありがとうございました。
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瑞穂&孝一郎がメインの話は、これで終わりです。
第6章は久々(第1章「困惑」いらいです)の涼乃視点になります。