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始まり

早瀬(はやせ) (とおる)

澤野(さわの) 璃乃(りの)

これは、普通?の女子高生二人の学校生活のお話……


どうでもいい奴の相手はしない。そんなことしたって疲れるだけ。

私はただ、この高校を卒業したという肩書きがもらえればそれでいい。大学受験、入学、卒業そして就職。その後……


その後は、何があるんだろうか。


『門前払いフレンドシップ』

私は今年からこの女子高に入学した。理由は二つ。ここの偏差値が高かったこと、もう一つは男子がいないことだ。教師は普通に男性が多かったがそれは仕方ないとしよう。教員にも色々あるのだ。

男子を避けているのは、ただ私の性格の悪さも考えずに顔だけで判断して寄ってくる虫たちが嫌いなだけである。女子の中にもそういう子はいた。でも比率で考えたらやっぱり女子高だ。

実家から離れたこの学校には電車と徒歩で通学しようとしていた。しかし受験が終わる頃には既に親から離れたいという気持ちが芽生えていて、そんな親の協力を経てここに来たわけだ。

親からすればこんなふざけた話、他には無いだろうな。

入学式が終わった後、廊下の騒がしさを通り抜け教室に入る。初めこそ新鮮に思えたが実際は中学の頃とほぼ同じだった。当たり前と言われればそれまでかもしれないが、同じことを2度繰り返すような気がして正直腹が立つ。

大きな笑い声が端から聞こえてくる。既に席に着いてる人たちの中で和気あいあいとしたグループが出来ているらしい。そいつらは私に気付くと目配せし、頷き合い、そのうち二人が私へと歩み寄る。面倒な予感がしたので、すぐさま断ることにした。

「仲良くするつもりはないよ。私は一人が好きなんだ」

教室が静まり返ると、私に視線が集まっては、離れて、生徒達は互いに視線を合わせあう。

この空気、私に近付きたがる奴はもういないだろう。それは私にとってむしろ好都合だった。

黒板に貼られた一枚の紙には、各席に名前が割り当てられている。早瀬徹という名前を見つけ、それに従って私も席に着く。

空気はまだ続いていて、小さな声が教室中に響いている。

なにも私は絶対に近付くなと思っている訳ではない。学校に求められる必要最低限の集団行動はするつもりだ。長い目で見た時に、私が輪に入って損をするのはあっちなのだ。

担任と思わしき人物が教室に入ると、溢れていた囁き声がすぐに途切れる。

先生は名乗った後に学校生活について軽く説明をし、次は皆さんで自己紹介してみましょうと言った。

1番手は黒板手前窓側の生徒。その人が終わると、次は後ろの人の番。お馴染みというやつだろうか。

聞く価値がなかったからか、それとも私が人の話を聞くのが苦手だからか、気付けばもう私の番だ。

「早瀬徹。さっきも言ったが馴れ合うつもりはない。一人で居させてくれ」

先生がポカーンとするが構わず座った。教室の空気はますます冷える一方だ。次は私の後ろの奴か。同じことの繰り返しだ。そう思って机に目を向け、考えるのをやめようとした。

「澤野璃乃です。前の人ちょーかっこいいから私も同じ感じで!」

思わず目を見開く。今ので全てだったらしく、後ろを見ると既に座っていて、目が合うとニコッとした。

視線を机に戻し、口から出たのは……ため息。これはため息だ。開幕早々私と並ぶほど変なのが真後ろにいるだなんて、先が思いやられる……

そんなこんなで1限目が終了し、今日は帰宅していいらしい。配られた資料を鞄にしまい、席を立つ。

教室出口へ向けて足を踏み出そうとしたが、前に立ちはだかったのは澤野だった。

「ねぇねぇさっきのやつ!私は1匹オオカミなんだァみたいなやつ!もっかい聞かせてよ!」

何を言っている……?

捏造された記憶を繰り返すよう私に要求する。

「そんなこと言ってないけど。どいてくれる?」

横にずれて、前へ歩……

「やだ」

ずれて、前へ……

「やだやだ」

前……

「やだやだやだ」

「君、鬱陶しすぎない?」

「よく言われるかも?」

あーもう滅茶苦茶だ。明日からの授業に出席するのがもう既に嫌になってきた。

澤野は私の腕を掴み、強引に引っ張る。

「一緒に帰ろ!」

「やめてくれ」

すぐに振り払うと、そいつの頬がぷくーと膨れた。このままだと一生帰れなさそうなので隙をついて走り出す。

「あっ!!逃げるなー!」

初日から廊下を走らなきゃならないなんて……階段あたりではこらー!と叫ぶ声が聞こえていたが、昇降口まで来たところでそいつは立ち止まり、追跡は途絶えた。

入学一日目。これが最悪の幕開けだろうか。

はぁ……

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