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逆さまわり

 よう、俺はローランド。騎士だ。

 騎士といっても実家が金貸しで儲けた金で、王様から爵位と領地を買っただけなんだけどな。

 今日はそんな俺の一日を紹介するぜ。


 朝は日の出とともに天蓋付きのベッドで目を覚まして、メイドが持ってきた水で顔を洗って身なりを整える。

 本当は朝早いのが苦手なんだけど、ママが食事を作って待ってるから起きざるをえないんだよな。そんなのメイドにやらせとけばいいのに。こっちも気を使っちゃうよ。

 で、食事が終わったら朝の政務。政務っていうと偉そうだけど、ほとんどは執事がやってくれてるから、俺は書類を斜め読みしてサインするだけだけどね。

 それが終わったら腹ごなしに運動する。木剣を振ってさわやかに汗を流す俺。最高にイケてるぜ。


 家でお昼ご飯を食べたら、今度は領内の視察に行く。

 働いている農夫たちをのんびり馬上から眺めると、優越感を感じるんだよな。

 たまに手を振ってやると喜ぶんだぜ。こっちは納税マジ感謝って感じなんだけどな。

 俺の領地は辺境にあるせいかモンスターが結構出るから、村とか被害が出る前に定期的にパトロールするんだ。まあ、モンスターが出ても俺は従者や冒険者どもに適当に指示するだけで戦わないけどね。


 視察中、宴にお呼ばれすることも多いんだ。

 庶民の食べ物はあんまり口に合わないし、帰ったらママが食事用意してるしで、本当は断りたいんだけど、なんか悪い気がしていつも行っちゃうんだよな。

 そんで夜はお腹パンパンにして中々寝れないんだよ。


 いつもだいたいこんな感じ。

 騎士ってもっと楽しそうだと思ったんだけど、なんていうか普通だよな。



 よう、また会ったな。俺だ、ローランドだ。

 聞いてくれ、マジびっくりなんだけど、王様が変わったら爵位を取り上げられちまった。それどころか稼業の金貸しも廃業になっちゃって、マジ勘弁なんですけど。

 いまは冒険者として、新しくやってきた領主の下で毎日汗水たらして働いているよ。あごで使う身分だったのにあごで使われる側になるとは。ほんとトホホだぜ。

 少し前まで貴族の令嬢と結婚してたんだけど、俺が騎士じゃなくなった途端、あっさり出ていきやがった。いまは俺が没落してもずっとついてきてた物好きなメイドと結婚して、小さな家で両親と一緒に暮らしているよ。「糟糠の妻は堂より下ろさず」っていうけど、俺は毎日家から叩きだされるように仕事へ行くんだ。

 というか金貸しは廃業したのに、いまだに俺のところに金を借りにくる奴らがいるんだ。そんな金ないってのに親がお人好しだからすぐ貸しちゃうもんで、暮らしがちっとも楽にならないよ。



 お、久しぶりだな。俺だよ、ローランドだよ。

 いや~、情けは人のためならずっていうけど、親が貸してた金のほとんどが利子を付けて返ってくるもんだから、かなり生活は良くなったよ。

 家も騎士だった頃と変わらないくらい大きいのを建てて、メイドも雇っているよ。

 近頃は領主も俺に頼りっぱなしでさ、政務のほとんどを俺がやってるよ。まっ、昔やってたからそれをそのままやってるだけだけどね。

 そうそう。いま村が発展して町になったから、冒険者ギルドの支部を作ろうって話になってんの。そのギルド長候補になぜか俺の名前があがってんだよね。こっちは忙しいのにほんと勘弁してほしいぜ。


 どうだい。家に寄っていかないか?

 妻が母と一緒に毎日山ほど食事を作るから、家族だけじゃ食べ切れないんだ。いつもはメイドたちと一緒に食べるんだけど、今日は村でご馳走になっちゃって。歳のせいかあんまり食べられないんだよね。

 そうだ。話してなかったよな? 実は子どもがひとりできたんだが、こいつがまたやんちゃ坊主で、


「僕、騎士になる!」


 って言って聞かないんだ。俺はやめとけって言っているんだけどなあ。

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