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凄腕の

 魔王軍来る。各国の軍と冒険者が集結し、熾烈な戦いを繰り広げる。


「左翼軍。押されてます」

「後詰めの部隊を救援に向かわせろ」


 連合軍総司令部。将軍や冒険者が忙しくする中、ひらひらのドレスを着た可愛らしい女の子がいる。


「あわわ、大変です~」


 ドレスの裾をはためかせ、忙しそうに、けれどなにかをするわけでもなくクルクル回っている。


「右翼軍、魔王軍を撃破。陣地を奪還しました」

「よくやった」


 吉報に司令部は沸き立つ。


「やりました~」


 女の子も胸元で小さく拍手しながら跳びはね、喜ぶ。


「左翼軍に死傷者多数。至急、救護部隊を向かわされたし、とのこと。いかがなさいますか?」

「……いまはどこも手一杯で、人員を割く余裕がない」


 総司令と参謀が頭を悩ませている。と、


「わたし行ってきます!」


 女の子が小さな手をあげた。


「頼めるか?」

「まかせてください!」


 女の子は両手を広げて、トットットッと走り出す。



 左翼軍前線。


「俺たちは前線を押し上げる。君はここで生存者を探し、必要なら救護してくれ」

「了解なのです!」


 そう言って兵士たちは魔王軍に突撃していった。

 凄惨な戦場にひとり女の子が残る。

 

「これはひどい状況です~」


 足の踏み場もないほどに死体が横たわっている。


「でも、わたし負けません!」


 それでも女の子は「えいえいおー」と握りこんだ拳を天に突き上げた。


「いきますよ~。リザレクション!」


 女の子は、呼吸の止まった冒険者に魔法をかける。すると、


「ああぁ……」


 冒険者は息を吹き返したのか、おもむろに上体を起こした。


「わわ、まだ寝ててください。大丈夫ですから」


 女の子は冒険者を横にして、また別の冒険者のところへ。


「はわわ。こっちは大変です~ 手足があんなところに」


 その冒険者は手足がもがれ、四方に散っていた。


「ひとりで集めるのは大変です~。そうだ!」


 女の子は胸の前で手を組み、


「ようせいさん。どうか力を貸してください……」


 祈りを捧げる。すると翼の生えた毛むくじゃらの生物が「ポンッ」とあらわれた。


「ようせいさん。この人の手と足を集めてくださいです~!」


 ようせいは指示どおり、パタパタ飛んで手足を集める。

 女の子はそれを元あった場所に並べ、


「いきますよ~!」


 魔法を唱える。

 巨大な魔法陣が形成され、天に光の柱が昇る。と、


「ううぅ……」


 手足がひっつき、冒険者はむくり起き上がった。


「ふぅ。この魔法は魔力消費がえぐいです~」


 と、女の子はすぐに両手で両頬をぱちぱち叩き、


「でも、わたしがんばります! そうだ。こんなときのためにとっておきのものが……」


 内緒のポッケから小瓶を取りだした。


「じゃじゃ~ん。おばあちゃん特製のポーションです!」


 女の子はふたを開け、腰に左手を当て、


「お行儀がよくないけど、仕方ないです。おばあちゃんには内緒です~」


 ぐびっと飲み干す。


「ふぅ。まずい……」


 べえっと舌を出して、


「でも、これでまだまだ魔法使えます!」


 ふたたび冒険者の死体へ駆け寄るのだった。



 しばらくして作業を終えた女の子は、


「じゃ、みんなでお家に帰りましょ~」

「……」


 冒険者たちを連れて帰還する。

 味方の拠点まであと少し。

 すぐに見張り台が見えた。


「もどりました~」


 女の子は手を振る。

 見張りが気づき手を振り返そうとしたところで、なにやら目を凝らすと、


「アンデッドの大軍だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 悲鳴をあげた。


「えっ、アンデッド?!」


 女の子はびっくりする。さらに、


「羽の生えた悪魔もいるぞぉぉぉぉおおおおおお!!!!」


 見張りはガンガン鐘を打ち鳴らす。


「なにごとだ!?」

「敵襲~~!!」


 兵士たちが続々と出てきた。


「はにゃ?」


 女の子はひとり人差し指をあごにあてて首をかしげた。

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