迷わないで
この汚れた心で
怪我したきみに触れるのは
だめだと思ったから
ぼくは迷って
迷った挙句手を引っ込めた
真っ黒のインクが
少しだけでも混ざったなら
純粋な心を持って生まれても
もう取り戻せないから
手についたインクが乾く前に
机に触れたら
汚れてしまうように
きみに黒をつけたくないから
それでも
触れたらよかった
きみの心に
かけたらよかった
きみに言葉を
弱虫なぼくが
あの空に手を伸ばせたなら
前に進めたのだろう
またうずくまって
心を閉ざしたきみ
ぼくは頭から
思いきり水をかぶった
これで黒が洗い流せるだなんて
そんな魔法はないけれど
薄めることくらいできるだろうから
今度は──
迷わない
ご覧いただきありがとうございました。
もう迷わない。
誰かに届きますように。




