白き影(後編)
軽くキャラ紹介
シュヴェル
孤独で歩み続けてきた狙撃手
持っている小型ナイフには何度も命を救われた
実は2枚のしわくちゃの紙切れを持っている
実は戦争で唯一の帰還者
ライト
割と信頼と人望がある町の人気者
影響力があり、頼ったり頼られたりもする
実は友達の中で一番身長が低い
実は死に敏感
軽く世界観紹介
オオカミやキツネ、ドラゴン、オーク、スピリットといった、多種族が多く存在する。
全てではないが、多くは人間に敵対的。
種族の中にも個体差があり、温厚な個体もいる。
全ての個体が戦いを望むわけではない。
ライト「んん...朝か。」
夜が明け、陽が大地に顔を出し始める。
シュヴェル「おはようございます。」
ライト「あぁおはよう、起きるの早いんだな?」
シュヴェル「そう...ですね。」
少し後ろめたそうに言う
ライト「...?もしかして寝てない...?」
指摘されたシュヴェルは恐る恐る理由を聞く
シュヴェル「えっと...なぜそう思うんですか?」
ライト「いや...服も髪も乱れてないし、寝た形跡とかも無いからな...」
シュヴェル「えっと...はい。寝てないですね...」
ライト「眠れなかったのか?」
心配そうに尋ねる
シュヴェル「いえ、普段から寝ないので...周囲の警戒をしてました。」
ライト「おいおい...まぁ...警戒をしてくれてたのはありがとな。ただちゃんと寝たほうがいいぞ?パフォーマンスに影響するかもしれないしな。」
シュヴェル「はい...すみません...」
少し静寂が訪れた
ライト「...まぁ...行くか。村までもう少しだ。」
シュヴェル「はい。そうしましょう。」
再び草原を歩き始め、村へ向かう
ライト「なぁ、そう言えばお前のそのでっかい銃、いつから使ってるんだ?」
シュヴェル「ガルディアンのことですか?これは...僕が元々住んでいた国が戦争を始めた頃からですね。」
背中にかけてある銃を軽く見ながら答える
ライト「戦争か...自衛のために買ったのか?」
シュヴェル「いえ...兵士として、国から支給されたものです。」
その言葉を聞いて、少し驚く
ライト「兵士として?そういうのって大人とか、訓練積んだ兵隊とかの役目じゃ無いのか?」
シュヴェル「本当はそうですが...おそらく兵士が足りず、一般の人や僕のような子供も兵士として出されることになったので...」
ライト「...ってことは戦争経験者ってことか...」
前を向き、少し考え事をするかのように辺りを見渡す
ライト「ん、ここら辺見たことがある。おぉ、見えた!あれが俺の村だ!」
とても遠くに村が見える
シュヴェル「あれですね......?
突然シュヴェルが銃を構える
ライト「どうした?なんかあったか?」
シュヴェル「何か様子がおかしいみたいですが...」
ライト「マジ?」
シュヴェルがスコープを覗き、遠くにある村の様子を見る
シュヴェル「...!早く行きましょう!!」
急にシュヴェルが銃を抱えながら走り始める
ライト「え!?おい!何があった...って早えぇな!?」
銃を抱えているとは思えないほど早い速度で村に駆けて行く
ライトも全力で走り出し、なんとかシュヴェルに追いつく。
2人で全速力で走りながら会話する
ライト「なぁ!何があったんだ!?」
シュヴェル「村が襲撃を受けているようです!武器を持っているゴブリンの群れが見えました!」
ライト「はあっ!?マジかよ!!」
ライトも事の重大さが分かり、全力で村に向かう。
村に着くと、ちょうどゴブリン達が村の襲撃を始めようとしている所だった
長い隊列を作り、村の入口へと向かっている
シュヴェル(被害を抑えるためには...!)
シュヴェル「ライトさん!すぐに村人達を避難させてください!!」
ライト「ゴ、ゴブリンの群れはどうすんだよ!?」
シュヴェル「僕が1人で抑えます!早く行ってください!」
ライト「無茶だ!...が、それしか道がなさそうだな...頼んだ!」
シュヴェル(数は...20以上いますね...)
大群になって村に入ろうとしているゴブリンの前にたった1人で進路に出て立ち塞がる。
シュヴェル(この量じゃ...ガルディンは得策では無い...ナイフで応戦しましょう。)
ガルディアンを背中に掛け、小型ナイフを取り出して戦闘に備える。
同時刻、村の中
ライト「おーーーーい!!みんなーーーーー!!」
「おぉライトじゃないか!」
「あら!おかえり!」
「やっと帰ってきたのか」
「おぉ!ライト!おかえり!」
ライトが帰ってきたことに気づき、温かく出迎えてくれる
ライト「今すぐ家の中に隠れてくれーーーっ!!」
そんな雰囲気も一瞬で消え、辺りは緊張に包まれる
「え..隠れ...?」
「何かあったのか?」
「いきなりどうした!?」
「何か来るのか!?」
ライト「ゴブリンの襲撃だーーっ!!隠れろーーーっ!!」
「しゅ、襲撃だと!?」
「早く隠れないと!」
「襲撃!?」
村の人たちもその異常さに、家の中へ隠れ始める。
村の中を駆け足で周り、隠れてない人がいないかを確認する
ライト「...よし!みんな隠れたな!待ってろよ!今援護に行く!」
いないことを把握し、シュヴェルの援護にすぐさま向かう。
シュヴェル(くっ..!流石に多いですね...!)
ゴブリン達は剣だけでなく弓を持っている者や斧を持っている者が居た。そのため、多様な攻撃に対応しなければならなかった。
シュヴェル(ふっ!)
剣の攻撃をナイフで弾き、矢をナイフで落とす。斧をナイフで止める、相手の猛攻を全て止める。そんな中でシュヴェルが攻撃する暇は無かった。
ライト「待たせた!」
シュヴェル「ライトさん!相手は近距離だけでは無いので気をつけてください!」
ライト「全部防げばいいんだろ!?」
ライトがシュヴェルの前にすかさず入り、代わりに攻撃を弾く。
その隙にシュヴェルは下がり、少し角度を変えて位置をとる。
ライト「はぁっ!」
ライトが攻撃を弾き続ける
バァン!
攻撃した後隙を狩るように、無防備なゴブリンの頭に一発、また一発と撃ち込んで数を減らして行く。
ギリギリギリ....
離れた位置から弓を撃とうとしているゴブリンもシュヴェルは見逃さない。
バァン!
放たれる前に頭を撃ち抜き、矢はあらぬ方向へ飛んでいった。
ライト「くそっ!数が減らねぇ!」
剣や斧兵は減ってきたが、弓兵の数が減らない。
飛んでくる矢を全て剣で切り落としたり、はたき落とすがキリがない。
シュヴェル「ライトさん!大丈夫ですか!?」
ライト「矢は結構遅ぇから問題は無ぇ!」
シュヴェルがガルディアンを撃ち続け、弓兵の数も減らして行く。
このままいけば順調に勝利する筈だった。
突然、シュヴェルの後ろから声がした。
少女「何が...起きてるの...!?」
外の様子が気になってしまい、少女が家から出てきてしまったようだ。
シュヴェル「!?危ないです!下がって__」
1匹のゴブリンが少女の存在に気づき、ゴブリンらしからぬ反応速度で矢を少女に向け放つ。
ライト「っあ!?」
放たれた矢を、咄嗟にライトが弾こうとしたが、届かず真っ直ぐに少女へ飛んでいく。
グサッ!
シュヴェル「っ!」
少女にあたる前にシュヴェルが腕を出し、代わりに矢を受けた。
腕に深く刺さり、矢尻の形状的に簡単に抜けるものではなかった。
しかし、矢を抜いて仕舞えばそこからさらに出血してしまう。
ライト「バカ!家から出るなって言っただろ!!」
少女は慌てて家に戻る
ライト「シュヴェル!無理だったらもっと下がれ!」
腕に刺さった矢のせいで腕が上手く動かない。力無く垂れ下がったままだ。
シュヴェル「ライトさんをお守りすると約束したんです!!このまま下がるわけには行きません!!」
シュヴェル(しかし、これでは銃が使えない...ならば...)
シュヴェルはまだ無事な方の腕でナイフを握り、ガルディアンを置いて弓兵の軍に突撃する。
ライト「!?バカッ!お前っ!...クソっ!俺も行く!」
矢の雨の中、単騎突撃するシュヴェルを追ってライトも突撃する
利き手では無い片手でナイフを器用に振り、障害になり得る矢だけをはたき落として突撃する。
途中何発かの矢が体を掠め、その度に傷ができて血が流れる。
そんなことも気にせず突き進む。
シュヴェル(弓ならば近距離には対応できない!ましては群の中に入ってしまえば誤射する可能性もある!)
臆せずゴブリンの群れに突入して、シュヴェルから距離を取ったゴブリンたちの群れの中でナイフを再び構える。
シュヴェルめがけて放たれた矢を避け、避けた矢が別のゴブリンに当たる。
1匹の弓をはたき落とし、体を掴んで盾にし、他のゴブリンに突撃する。
人数不利の中でも着々と数を減らす
ライト「オラァァァァァア!」
ライトも剣を振り回し、弓兵を掃討する
グギャッ!?
最後の1匹を倒し終えて、襲撃を抑え切った。
ライトは慌ててシュヴェルを探す
ライト「シュヴェル!!」
違うポジションでゴブリンを掃討していたシュヴェルに駆け寄る。
ライト「大丈夫...か...!?」
シュヴェルは肩で呼吸しながら空を仰いでいた。
シュヴェル(体が...動かない...あたまも...うまく...はたらかない...)
バタッ
突然その場に倒れてしまった。
ライト「シュヴェル!?おい!しっかりしろ!シュヴェル!!」
声をかけても返事がない。前髪で少し隠れている目は、朧げなまま焦点が合わない。
ライト「おい!大丈夫...か...?」
ふと一つ目に入る
落ちている一本の矢先を見ると、少し緑色に染まっていた。何か矢に細工されていたようだ。
ライト「まさか...毒か!?」
腕に直接刺さっている矢の他に、体を掠めた幾つもの傷にも毒が入り込んでいるのだろう。
シュヴェルの体は呼吸のたびに少し震えている。
今にも消えてしまいそうな浅い呼吸の音が聞こえる。
ライト(早く、早く手当しなければ!)
ふと、村に一般的な解毒剤があったことを思い出した
ライトはシュヴェルをおぶって、すぐに村へ戻る。
ライト「おい!!誰かぁ!!襲撃はおわった!!助けてくれ!!」
大声で助けを求める
その声を皮切りに、家からゾロゾロと人が出てくる
「終わったのか!?」
「まさかあの量を返したのか!?」
「おい!その子はどうした!?」
「負傷者か!?おい!医者を呼べ!」
ライト「コイツを助けてくれ!!おそらくだが毒にやられてる!!」
医者「こっちだ!状態を見せてくれ!」
ライトはシュヴェルを医者の前で寝かせ、医者に診断させる。
それと同時に、持ってきた矢を見せる
医者「これは...あの毒草の毒か!おい誰かあの解毒薬を持ってきてくれ!一刻を争うんだ!」
村の1人が慌てて解毒薬を持ってくる。
医者が布に薬を付け、傷口に当てる
医者「酷い怪我だ...特にこの矢は...抜いてすぐに止血しなければ...」
シュヴェルは完全に目を閉じているが、明らかに顔色が悪く、表情もどこか苦しそうだ。
手当が終わり、目に見える怪我は全て処置された。
しかし、シュヴェルは眠ったままだ。
ライト(俺ばっかり守られて...クソッ...!)
傷を受けて一部赤く染まってしまった髪、
ボロボロになった服、
包帯の巻かれた腕、
それを見るたびに胸が痛くなった。
村の人たちは家にいた時も窓から2人の英姿を見ていた。
村人は全員無事だった。シュヴェルの判断と、ライトの行動によって怪我を受けたのはシュヴェルのみだった。
「真っ白な髪の毛だね...」
「獣のみみ?...」
「すごい武器だなぁ...」
「獣人か...初めて見たな...」
「まだ子供なのに...」
「起きても襲ってこないよな...?」
村の子供達や、村の人たちは皆、寝ているシュヴェルを不思議がって見ていた。
その隣でずっとシュヴェルが目を覚ますのをライトは待っていた。
シュヴェル「ん...」
「おぉ...起きたぞ!」
「良かったわ...」
「大丈夫かな...」
ライト「シュヴェル!?シュヴェル!!起きたのか!?」
シュヴェル「ライトさん...すみません...ご迷惑を......?」
シュヴェルが動こうと、上体を起こし腕を動かそうとした。
シュヴェル「...やはり動きませんか...」
矢を受けてしまった方の腕はまだ動かない。
分厚い包帯が巻かれ、普通の怪我ではないことを物語っている。
ライト「腕なんだが...骨折だ。骨まで響いちまってたみたいだ。だが、治るみたいだから心配するな。」
シュヴェル「そうですか...なら良かったです。」
動かない腕を庇いながら立ち上がり、シュヴェルはそそくさと荷物をまとめ始めた。
ライト「おい...どうしたんだ?荷物まとめて...」
シュヴェル「いえ...ライトさんも無事でしたし、村にも着いたので...僕はここでお別れしようかなと...」
慌てて止めに入る
ライト「バカ!せめて怪我が治ってからでいいじゃないか!」
シュヴェル「いえ...そういうわけにもいきません。このまま僕が村に残っていたら迷惑なので...」
さも当たり前のことを言うかのように話す
ライト「迷惑って...お前がいなかったら間違いなくこの村は滅んでた!!俺だって死んでた!なのに迷惑だって!?ふざけるな!!」
シュヴェル「...ライトさんは十分強いです。僕がいなくてもライトさんならこの村を守れていたと思います。」
ライト「そんなわけねぇし、そうだったとしてもお前が邪魔者な訳がねぇ!むしろ英雄だ!」
シュヴェル「あはは...英雄だなんて、僕には勿体無いです...ライトさんの方がよっぽど似合ってます」
少し微笑みながらも、荷物をまとめ続ける
ライト「っ...どうせ俺が止めたってお前は出て行くんだろ?」
シュヴェル「はい。僕はこの村の住民じゃないので...」
荷物を抱え、部屋から出る。
ライトは、村から出ようとするシュヴェルを追いかける
ライト「なら、俺の村にまた必ず来いよ!ずっと待ってるからな!お前は俺の村の英雄だ!」
シュヴェル「...ありがとうございます。」
シュヴェルは銃を背中に掛け、村から出る。
ライト「シュヴェル!!」
シュヴェル「はい、なんですか?」
ライト「改めていうぞ!本当にありがとな!!」
シュヴェル「...いえ、こちらこそ、」
シュヴェルはライトと村の人に見送られながら、村を後にする。
巻かれた包帯の下の痛みも気にせずに、また1人で歩き始めた。
村ではしばらくライトとシュヴェルの英雄譚が語り継がれていた。
その場を見た人達の中には、彼のことを「白き影」と表す人もいた
終わり
これで白き影は終わりです。
シュヴェルの物語はまだまだこれからも投稿しますので、
もし興味を持った方は楽しみにいただけると嬉しいです。
前書きに、世界観の説明を加えてみました。
読んでも読まなくても特に支障はないので安心してくだちい
コメントとかも気軽に待ってます!




