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冒険者ギルドへ

 金貨を受け取って店を出ようとした時、初老の男が声をかけてきた。


 「エルフのお方、俺はこの街の冒険者ギルドで、ギルドマスターをやっているアントーニオ・タルティーニだ。少し俺の話を聞いてくれないかね。」


 「私はエルフのエミーリエ・レヴァンドフスカ。」


 少し警戒はしたが、杖を買ってくれた店主とは顔見知りのようなので話を聞くことにした。アントーニオさんは、私の名前を聞いて少し驚いたような表情をした気がしたが、気のせいだろうか。


 「結論から言おう。あんたに冒険者ギルドの出資者になって欲しいんだ。もちろん無理にとは言わないが、ギルドの出資者の一人が故郷の国に帰ることになって、新たな出資者が必要なんだ。」


 「話が読めない。もう少し丁寧に説明して欲しい。」



 アントーニオさんは謝ると、冒険者ギルドの仕組みや出資金が必要な理由を説明してくれた。


 冒険者ギルドは、都市の住民や商人から依頼を受け付け、冒険者に斡旋する組織だ。依頼は多岐にわたり、都市間の護衛、貴重品の運搬、オークや魔物の討伐など危険なものから、作物の収穫や荷運び、煙突掃除といった雑用まである。


 冒険者には様々な背景を持つ者がいた。地方領主の三男・四男は、土地を相続できず都市に出てきて冒険者になることが多く、彼らは識字率が高く、武術にも優れているため、難易度の高い依頼をこなしていた。そのほかにも、元猟師や魔法使い、オークや魔物の襲撃で故郷を失った者たちが冒険者として生きていた。彼らは単独ではなく、基本的にパーティーを組み、ギルドに登録する必要があった。


 ギルドの収入源は、依頼の受付料、報酬の手数料、冒険者登録料などだ。そして、ギルドの運営は「組合員」と呼ばれる出資者たちによって支えられている。組合員は、ギルドマスターを選ぶ権利を持ち、出資比率に応じた利益を受け取る。職員には、出資者である組合員と、雇われた一般職員の二種類がいた。


 冒険者ギルドの事務作業は多い。冒険者の登録を受け付ける際は、技術や経験の確認、冒険者名簿への登録などを行う。依頼を受け付ける際は、依頼主に依頼内容の詳細を確認し、報酬額、支払いの条件などを調整する。受け付けた依頼は、依頼の特性や難易度に応じて冒険者パーティーに仕事を斡旋する。依頼主と冒険者間のトラブルの解決も冒険者ギルドの仕事だ。



 そして、アントーニオさんが出資者を探している理由は、ギルドへの出資と利益の分配は毎年行われており、ここ3, 4年は同じ組合員が出資をしていたが、出資者の一人が故郷に帰ることになったため、来年からはギルドに出資できないからとのことだ。


 「話は分かった。どのくらい出資してほしいのかと、今年はどのくらいの利益が見込まれているのか教えてほしい。」私は、杖を売って手に入れた資金を眠らせておくものもったいないと思い、もう少し話を聞いてみることにした。


 「故郷に帰ることになった組合員は、毎年、帝国金貨700枚を出資していたから、同じだけの金額を出資してくれると助かる。今年の利益は、目下計算中だが、例年、出資金の2%くらいだ。」


 来年も同じ利益が見込めるかはわからないが、悪くない話だと思った。なにより冒険者ギルドという名前にそそられるものがある。「冒険者」、その言葉から感じられる自由な雰囲気に私は惹かれたのであった。


 「その話、のった。」


 「感謝するよ、エミーリエ・レヴァンドフスカ。早速ではあるのだが、明日の午前にギルド会館で、今年分の利益の分配があり、午後には出資金の徴収がある。」


 こうして、私は冒険者ギルドの出資者となることになったのだ。

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