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いわゆるワルい子発動回
次の日からミシェルの快進撃が始まった。
とりあえず、面倒なやつは片っ端から弾き返した。魔法で。
いつも絡んでくる生徒と目が合いこちらに向かう前に目に見えない壁を作り通れないようにする。
絡まれている魔法科の生徒を瞬間移動させるなど、不可解な現象を起こした。魔法で。
生徒が不安がって騒ぎ出すので教師たちも仕方がないと王宮に連絡し、魔力を判定する球体のクリスタルを借り受けた。そして、その不思議な事が起こったあとに駆けつけ魔力判定をすると
「黒ですね。」
「…。そうですね。黒です」
2人の教師が青ざめながら魔力の色を学園長に報告に行った。
魔法が使用出来た頃でも自分の魔力の色を教えることはなかなかなかった。プライベートな内容だったからだ。なので、入学試験時に魔相環を見せるのも学園長と限られた教師のみだった。
魔力判定の結果は黒だったということは機密事項という話になったが生徒に漏れてしまった。
ミシェル達は、食堂でお昼ご飯を食べている時、ケイトが目の前にやってきた。
ジェフはギョッとしたが他の者たちは知らぬ顔をして昼食を食べ続けている。
「ごきげんよう。バイヤーズさん」
優しく微笑むケイト。それを無視するミシェル
「ねぇ~。噂はご存じですか?この前教師の皆さまが不思議な現象が起こった後、魔力判定をしたら『黒』と識別されたそうですわよ」
ケイトは嬉しそうに話しかける。
そして、ミシェルをチラリと見ると
「......そういえば、バイヤーズさんはずいぶんとお綺麗な黒髪ですこと。あら?これって魔力と関係があるのかしら?」
嬉しそうに話しかけるケイト。まるで、ミシェルの魔力の色なのではと魔法科以外の生徒が思うように誘導しているようにみえる。
ミシェルは心の中でケイトを軽蔑していた。
この世で黒の魔力を持っているのは魔王様のみ。そんなことも知らないのかと
ミシェルは、ケイトを見つめてニコリと微笑む。
「そうなのかもしれませんね。」
そういうと、ケイトの持っていた昼食用のトレイを木端微塵に壊した。
その破片で誰も傷つけないように結界を張りながら…。
「きゃぁ~」
ケイトはその現象に驚き、思わず尻もちをつく。それを鼻で笑うミシェル
そのとき
「ケイトさん、大丈夫ですか?」
ケイトをそっと起こしたのはセオドア第三王子だった。
ケイトはセオドアを見ると顔を赤くしながらそっともたれかかる
「セオドア様ありがとうございます」
そして、ミシェルを見ると少しだけ口角を上げると
「バイヤーズさんも申し訳ございません。このように乱れてしまって」
ケイトはまだセオドアにもたれたままだった。
ミシェルも微笑みながら
「ええ大丈夫ですよ。とてもお似合いでうらやましいですこと」
と言うと自分が食べていたトレイを持ってその場を離れて行った。
「怪我がなくて良かったです」
ニコリとケイトに微笑むセオドアをみたレベッカが
「ちょっとやりすぎだと思いますぅー」と棒読みした後ミシェルの後を追った
エリックは
「俺はイマイチ分からんが、それはないと思うぞ」と言いながらレベッカの後を追った
ジェフは
「しっ失礼します」と言いながらエリックの後を追った。
ミシェルは後を追いかけてきた三人をみて小さく溜息をつく
「あんまり、私と一緒にいるといい噂をされないよ」
三人の前では以前のままのミシェルそれを聞いたレベッカは
「私はいつでも貴方の傍にいるから、そうゆうこと気にしない」
「俺の居場所はレベッカの隣だ!」
「僕もお供させていただきますね」
三人の対応も全然変わらないのでミシェルは思わず笑ってしまった。
そして、そっと目元をぬぐうと
「ありがと…。」
ちいさくお礼を言った。
そんなしんみりムードを
「ミシェル・バイヤーズ!!学園長室まで来なさい!」
その場にいた全員に聞こえるように魔法科の主任教諭に叫ばれたのだった。
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