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ミシェルは気を取り直して教室に行こうとしたとき
「ミシェルさん!」
振り向くとジェフが気遣いながら声をかけてきた
「あっおはよ~」
ミシェルは何もなかったように対応する
「先ほどの…」
ジェフは見ていたらしくミシェルよりも動揺していた。
ミシェルは苦笑いしながら
「今日、セオが学園にいないのは次の婚約者を決める為らしいよ~」
仕方ないよね~。と言いながらジェフの方を見る。
ジェフは困った表情をしながら
「すみません。僕も参戦すればよかったのですが…。」
ミシェルはニコリと笑いながら
「仕方ないよ。学園内では平等と謳っていてもしがらみは消えないからね~。相手の子私の親と同じ爵位だし」
ジェフはミシェルの言葉に驚きながら
「すみません…でした?」
疑問形の謝罪になる。それがおもしろかったのかミシェルは肩を震わせながら笑う
「動揺するか、謝罪するかどちらかにしなさいよ。......私だってある程度の貴族派閥と名鑑を覚えているから」
元優等生よ!とジェフの背中を叩きながら笑った。
「......そうですよね......」
ミシェルはジェフの背中と叩くと満足したのか両手を頭の上に上げながら先に教室に行った。
ミシェルの左手首には右手で強く握りしめられ赤くなっていた。
3日後、セオドアは公務から戻りいつも通り学園に通いだす。
いつもの日常が戻ってきた。ミシェルの溜まり場でいつもの5人がのんびりと過ごしているとミシェルはガバリと起き上がり右手を握りしめてから立ち上がった。
「私、決めたわ。運命の人を見つける!」
その言葉にレベッカは小さくパチパチと拍手とし
エリックは小手を磨いていた手を一瞬止め
ジェフは眼鏡をクイッとあげ
セオドアは一瞬無表情になったが直ぐに微笑みながら
「ミシェルがんばってね」
と応援した。
ミシェルはセオドアの方をみて一つ頷くと心の中で
そして、きちんと別れてあげる
と呟いた。
「でも、運命の人ってどうやって見つけるの?」
レベッカが不思議そうに聞いてきた。
ミシェルはニヤっと笑いながら
「ああ、このブレスレットを片っ端から触ってもらうかな?」
その言葉を聞いたセオドアは猫の毛が逆立つように驚いていた。
「ちょっミシェルさん?それは僕と言う婚約者がいるのに駄目でしょ?」
思わず反対するセオドアにミシェルは左手首を差し出す。
「じゃあ、これ触ってみて」
セオドアは耳を赤くしながらそっとミシェルのブレスレットを触った
その場の全員が息をのんだのが分かった。
・・・・・・
何も起こらなかった。
ミシェルはセオドアの前髪をそっとかきあげると
「そういうことだから…」
悲しく微笑むミシェルを見たセオドアは何もいう事ができなかった。
次の日からミシェルの隣にいたセオドアの姿がなくなった。
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