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カエデは、微笑み返しながら冷や汗をたくさんかいた。
できればすぐにシャワーを浴びたいぐらいに
あっあれ~。どこでバレたのかな?ミシェルさんっぽくしたんだけどな~。
「ねぇ、ミシェル…」
セオドアが何かを話そうとしたとき、ドアがノックされ
「すみません、お時間です。準備をよろしくお願いします」
という声が聞こえてきた。
「さぁ、参りましょう。セオ!」
カエデは誤魔化すようにソファーから立ち上がり部屋を出ようとする。
セオドアはカエデよりも先にドアに近づきカエデの耳元で
「今夜、ゆっくり説明を聞かせてもらうからね」
と宣言されてしまった。
それから、歓迎セレモニー、オリエンテーションなど色々な行事をこなしていったが
もちろん、カエデは今夜の事で頭がいっぱいで全然内容が入ってこなかった。
その日の夕食は、ミシェルとセオドアは王家にお呼ばれしていた為、セオドアにエスコートされながら晩餐会場へ向かった。
セオドアは微笑みながら、カエデにしか聞こえない声で
「どう?言い訳は考えれたかな?今日は、ミシェルらしくない注意散漫だったよね」
「そうでしたか?異文化交流が楽しくて、セオにはそう見えたかもしれませんね」
そうですよ。あなたの言う通りですよ~。カエデはもう泣きたい。絶対この後おいしいご飯が食べられるのに、味がしないかも…。とテンションが下がった。
カエデの言葉を聞いた後、セオドアは立ち止まりミシェルの方を見ながら
「ミシェルらしくないは、間違いだったね。だって、ミシェルじゃないもの」
そう言いながらカエデの左太ももをそっと触った。
「キャッ」急に触られたカエデは思わず小さな声をだした。
その声にどこのお嬢様だよと自分でツッコんだ。
「私のミシェルはこのような物騒なものは持たないからね」
と言いながら太ももに隠している何かを指して言う。
カエデは悲しそうな顔をしながら
「これは、お亡くなりになったエリックの形見なのですわ」
とシクシク言いながら進もうとする。
セオドアは呆れたのか、カエデと一緒に再び歩き始めた。
「…エリックを亡き者にするな。聞いたら怒られるよ」
その言葉にカエデはニコりとだけした。
晩餐会に出席するにあたり、さすがにドレスコードがあったらしく制服では出れなかったので、今朝却下した太ももへエリックの形見を隠して持っていったのは失敗だったらしい。
そして、クレアシオン王家との晩餐会はとても楽しく過ごすことができた。
ラエティティア王女は国王の前でも元気だった。でも、王妃が微笑みながらラエティティアを怒っていたのは…なんかすごかった。器用な王妃様だった。
時々、セオドアの視線で死ぬかと思った。
やっぱり、豪華な夕食の味はしなかった…。
セオドアはカエデの部屋の前まで送ってくれた。
ドアの前に着くと
「この姿のままじゃお互い肩が凝ると思うから2時間後にミシェルの部屋に行くよ。もちろん、夜中になっちゃうから窓の鍵は空けておいてね。そこからお邪魔するから」
「えー、セオ。ここ4階なんですけど…。空とか飛べちゃうのでしょうか?」
カエデは半ば諦めた感じで質問する。
「ミシェルは覚えてないのかな?僕の部屋は君の隣だよ」
セオドアは視線だけを送る。
ちっっっか、とカエデは思ったがすぐにセオドアが答えをくれた。
「だって、私たちは婚約者だからね」
そういうと、カエデの代わり部屋のドアを開けて、カエデのみ部屋に入れる。
そして、ドアを閉める瞬間
「楽しみにしてるから」
と言いながら、ドアを閉めた。
閉じられたドアを見つめながらカエデは呟く
「あと、2時間か…。」
最後までお読みいただきありがとうございました。




