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いわゆる、異世界転移した次の日の回
カエデは、寝不足ながらもいつも通りに起きる。
スマホを探して今日のニュースをチェックしようとしたが広いベッドを片手で探しても何もみつからない
「そっか…。自宅じゃなかった」
改めて、自分の意識が異世界にいることを確認する。
とりあえず、学園とやらに行く準備でもしようかな。
昨日探索できなかった部屋のドアを全て開けていく。ホテルにチェックインしたあとするやつだ。
「ほぇ~。すごい豪華な部屋だな。スイートルームみたい」
行ったことないけど…。と自分でツッコむ。
さっそく、シャワーを浴びるためにお風呂に向かう。
軽く体を流し、髪を乾かしていつものように一つにまとめようと思ったが…。
「ん?ミシェルさんはこのままいつも髪を下ろしているのか」
ミシェルの記憶を借りているので違和感がないように擬態する。
「あ~、研修をちゃんと受けておいてよかった♩」
カエデは就職先が決まった後に受けた地獄のような研修期間に改めて感謝した。
もう二度と経験はしたくないけど。
次に、制服を着る準備をする。
バイヤーズ家にいるときはメイドさんにおまかせしていたが、クレアシオン王国には連れてきていな為、パーティーなど公式な場合を除き一人で対応していく。今回はそれが功を奏した形になる。
カエデは下着姿のまま制服を探しそのまま着ようと思ったが、ふと、エリックにもらったタガーナイフの存在を思い出す。
「あっ一応持っていこ~」
ワイシャツとスカートを着てダガーナイフをどこに隠すか考える。足首はスカートなので見えるし、太ももはこの世界だと…。なしだな。
脇だと見える可能性があるから
「腰のあたりかな?」
カエデはタガーナイフに合うホルダーをイメージしながら魔法で作りだした。
「向こうの世界で創成魔法使うと後で申請書とか色々うるさいけど、こっちだと上司とかいないもんね~」一人で出来上がったホルダーを装着しながらホクホク顔をしていた。
早速装着し、上からジャケットを羽織り姿見で違和感がないか確認する。
そして、実践で使用するイメージでタガーナイフをすばやく取り出し相手に攻撃するモーションの確認をする。
自分の体ではないので少し初動に時間がかかるが、これはこの世界にいる間に慣れるしかないなと思いながらダガーナイフをホルダーに戻した。
身支度を終えた頃、ノックをする音が聞こえた
「どうぞ~」
カエデはいつものように気軽に声をかけたが、しまったと思い
ミシェルっぽく「どなた?」と聞き直した。
「私だよ、セオドアだ」
そう言いながらセオドアが部屋に入ってきた。
カエデはニッコリ笑みをつくりながら
「おはようございます。今日は素敵な天気ですね」
と話しかけた。
セオドアは一瞬目を丸くした後
「そうだね。気持ちよく一日が過ごせそうだよ。そうそう、朝食を一緒にどうかなって思って声をかけてみたんだ」
カエデはヤッター!と心の中で喜んだが
「ありがとうございます。では、行きましょうか」
と言ってセオドアに近づいた。
セオドアは笑いながら
「ミシェルはいつも迷子になりやすいから手をつないでいたけどどうする?」
と聞いていたので。
「セオは朝から楽しい冗談を言ってくれるのね。そういうのは、ハンカチを処分してからにした方がよくってよ」
とセオドアの横を通り過ぎながら言った。
いや、言ってやった。
ミシェルちゃん、思ったことはちゃんと言わないといけないんだよ!
カエデは心の中で眠っているミシェルに話しかけた。
最後までお読みいただきありがとうございました。