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いわゆる、プロローグ
明かりがついていない暗い部屋にシクシクと泣き声が聞こえる。
綺麗に整えられていた部屋は嵐が過ぎた後の様に荒れていた。
でも、彼女の心は全然晴れなかった。
お嬢様、お嬢様とメイドたちは部屋をウロウロしている。
近づこうとすれば魔法でそっと押し返される。
近づかないで!傷つけてしまう前に!!
優しい彼女は無言の抵抗をしている。
部屋の端で枷を持っている父親
これを付けるのは自分しかいないそう思っているが彼女よりも魔力が少ない父親も近づくことができない。
「仕方がない、王宮から魔法師を呼ぶしかないのか…。」
父親が諦めかけていた時、目の前に娘と似た色合いの男性が現れた。
「うむ、その役目私が引き受けよう。そなた達は部屋を出るように」
長い黒髪に紅い瞳で全身を黒い衣服で固めているその男性は彼女の父親から枷を取り上げると
「こんな枷では乙女心がときめかんな」
と言いながら鉄色の枷を手の上で浮かび上がらせると綺麗な白金色のブレスレットに変化させた。
「彼女の魔力と同じ色にした。これを外してくれる人と仲良くなれればいいな」
そう言いながら微笑む男性
思わず父親が尋ねた
「そのブレスレットを外してくれる方が娘の運命の相手という事ですか?」
男性は答える
「…そうとも言えるな…」
父親はそのブレスレットを見ながら
「ありがとうございます。所で貴方様のお名前は」
「私は、魔王と呼ばれている」
そういうと部屋の者たちを退出させた。
勘違いって怖いよね。
最後までお読みいただきありがとうございました。