3/3
冷めたチキン/日常詠
聖女は第二の聖女を生む
その日突然ミサの中止が告げられた
子どもたちは門前に待つ
【冷めたチキン】
あなたのその滑らかな声 甘たるく冷めたチキンにはりついた老い
(夕風や水青鷺の脛をうつ 蕪村)
暖房や冷めたチキンのヴィニルうつ君の涙吸ったことがない
紀元前四年小屋の置き餌の凍りつく刻 腐鶏全天を駆けずる
我海にホットひよこを放ちたり鉄分はみなみ風に豊富
緑夜に門立つ神の子の家を二つの冷めた肉が過ぎ行く
「雨衣まとうサム・ゲンデルは脱せよ!」
ぺしゃんこのコラージュ・ラバーズ宛て
* * *
【日常詠】
あ 鳥だ机を撫でるゆにゔぁーさるの鳥を捨て塔の方へ
飛ぶ鳥はナイーヴすぎる この世にぞ鳥が居るのが絶え間なく苦痛
アカエリヒレアシシギ飛ぶ宇宙では水流れるや赤首農夫
理由などどこにもなくてクロアシアホウドリお前を美へと誘う
ハリオアマツバメの未知の航行の砂鉄の跡の初列風切
泰山の鵬と共に黄泉帰る「露悪は我にあり」てふ道士




