【幕間】檻からの刺客
天をも貫く光の柱が地表から放たれ、事態が収束したことを確認した少女は、普段使用していない、『心臓が檻の中にある』ロゴの入ったスマホを手に取る。
「もしもーし。あなたの使いっぱしりの忠実なるスパイです」
『下らん前置きをするな。結果だけを送れ。』
「はいはい。結論から言うと私の用意したゴーレムたちは全破壊されました。レベルⅥは覚醒の兆しを見せているかと。」
『そうか。回収は出来そうか?』
「無理ですねー。下手に動けば、先導くんに見破られますよー? 彼、本気出したら3分か5分くらいは未来見えるでしょうし? 何よりあのロリ学園長を出し抜けるとは思えませんが」
少女は、肩をすくめながら苦笑する。
通話相手はあくまで感情を音に乗せることなく淡々と続ける。
『あの女は現在、ガーディアンにて、レベルⅥに関する審問会を受けている。暫くは戻ってこない』
統制委員会ガーディアン。世界に3つ存在する学園都市に対する絶対的介入権を有する組織。
世界の均衡をはかるビッグネームが出てきたことに少女は僅かに眉を顰める。
「まさか、ガーディアンはレベルⅥを処分すべきとの判断でもするつもりですか?」
『さてな。お前は俺の指示を聞いていればいい。次の指示を送る。』
「コレクションの君主様は人が荒いですねぇ。温厚な私でもキレそうです。報酬が良く無かったら今頃この学園に寝返ってましたねぇ」
『お前は絶対にそれをしない。お前は妹想いだからな』
「あら~? 地雷踏み抜くのが得意なんですかぁ? 』
スマホに送られてきた指示、物資の受け取り場所をしばらく眺めた後、少女は束ねていた金髪を解いて嘆息する。
「結局、メインで私ひとりじゃないですか。あのロリいないなら、本隊で攻め落としちゃえばいいのに」
『世間もガーディアンもそれを許すはずがないだろう。お前は、奴にもう一度聖剣を使わせろ。手段は問わん。その後はこちらで回収する』
「はーい。」
『期待している。リリー』
「はーい。私、こっちだと超かわいい聖母キャラなので。それではー」
少女は、誰もが可愛らしいと認識する笑顔を張り直す。
「さぁ、王様。世界を滅ぼす光、見せてもらいましょう。邑歌ちゃん?」




