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56話:旅路4

「ちっ、つまんねーな・・」オーセは持ち主の居ない部屋の中で水晶玉に映るジェラルド達の様子を見ていた。奴から呼び出されて一度帰ったものの、言われた言葉は「あんた、今こっちに向かって来ている連中に手出ししたら容赦しないわよ。」というものだった。

「はあ?なんでだよ。俺の楽しみ奪うつもりかよ!」食って掛かったもののあっさりとかわされ、凄まれる。

「うるさいわね〜。こっちにも色々と事情があんのよ。」

「何だよ、事情って・・」

「アンタは知らなくて良い事よ。まったく昔はママ〜とかって寄ってきて可愛かったってのに図体はでかくなるわ、口は減らないわ、いったい誰に似たのかしらね〜。」


「キショイ事言ってんなよ。誰がママだよ、誰が!それにお前の方がよっぽど図体でかいだろーが!」

「はいはい・・。と・も・か・く、私の言った事忘れんじゃないわよ!まったく・・・あたくしの可愛いキルケちゃんに何かあったらどうしてくれんのよ・・」後の方はぶつぶつ何を言っているか聞こえない。可愛い何だって・・・?あいつに拾われてから約20年経つが未だにあいつの事は一生関わりたくない趣味もあわせて理解できない。


もちろん育ててもらった恩はある。体中のあちこちに奇怪な入れ墨を施され捨てられていた俺を拾いあげ、カルナ[失われた者」という名前をつけ、ナイフや魔術を教えてくれたのはあいつだ。特に魔術に関しては才能があると喜んで様々な術を教え込んだ。

「アンタ、ナイフも結構いけるけど、魔術に関しては天才的ね!ふふ、教えがいがあるわ〜。やっぱりこれってあの方の血なのかしらねえ・・・。」上機嫌でのたまうやつの言動にはときどき何か得体の知れない物を感じる。


いつもは只の変態にしか見えないが、たまに背筋が凍る程の異様な雰囲気を醸し出す事がある。それこそカルナをひとのみしてしまう様な言葉に言い尽くせない恐怖を感じるのだ。

12〜3歳になった頃から、情報屋や暗殺業まで様々な仕事をするようになった。オーセは仕事の上での通り名だが、本人はいたく気に入っている。


ジークフォルン・・・情報集めに関しては奴の右にでるものはいないと思われる程、物事を頼むと確実で正確な情報を手に入れてくれる。この水晶玉を使っているようだが、こんな物は他で見た事がない。いったい何処から手に入れたのか・・奴自身謎の塊だ。表の顔は知られた商人だが、中身ははっきり言って俺より黒いんじゃないかと思う時もしばしば・・腕っ節の強さも半端じゃない。何度腕を折られかけたかわからない。


奴が以前からこのユフテスとアステールを行き来して何かを調べていたのは知っている。奴が集めた情報を大国グランディスに横流ししていたのだが、いつもはうるさく言わない奴が今回に限ってはやたらと制限をかけてきた。竜に関しては俺自身も興味はあるが、今のお楽しみはなんといっても、エストラーダの剣豪だ。


「まあ・・・ようはばれなきゃ良い訳だよな。」と俺は水晶に映る人物に焦点をあわせる。大体、グランディスにはあいつらを足止めするって、言っちゃてるしな。一度約束した事を破ったらこれからの仕事にも影響してくる。と自身に大義名分を掲げるとオーセはにやりと笑う。


途端後ろでバタバタと羽ばたきの音がする。奴の飼っているオウムだ。

「カルナ・・マホウ・・ツカウ。ジーク・・オコル・・・オコル・・コワイ・・コワイ!!」

カルナはその長い足で鳥かごを蹴り上げ言った。

「大人しくしてろ、この馬鹿オウム!ジークフォルンにはちくるなよ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、海の上では、酔いつぶれて二日酔いになった騎士達が船酔いしている様を見てマリアベルが怒りの頂点に達していた。

「なんですか!あなた達!アステールの騎士ともあろう者が情けない・・・ジェラルド殿下も、殿下です!こんなになるまで飲み明かすなんて・・遊びに行く訳ではないのですよ?!」

ある騎士は吐きながら、ある者は耳を押さえて情けない顔でマリアベルの小言を聞いている。


「すげーな・・・やっぱ女の年増はこええ。うちのメイド長と通じる物があるな・・」とジェラルドはルークに小声で話かける。

「で、殿下!」ルークはおたおたと焦っている。

「・・・・何かおっしゃいましたか・・・?ジェラルド殿下・・・」マリアベルにじろりと睨まれる。地獄耳だ・・・。


リディア達もそんなジェラルドや騎士達を呆れたように見ていた。こんなんで大丈夫なのだろうか。

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