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50話:グランディス2

幕屋をでて丘の反対側にある森への入り口へとイルディアスは歩いて行く。突如上から声が降ってくる。

「よう、将軍、ここだよ、ここ!」

上を見上げると、木の上に男が一人立っていた。男は器用に枝を伝い降りてくるとイルディアスの隣に飛び降りた。年の頃は、二十歳ぐらいか。日に焼けた健康そうな褐色の肌。右腕には複雑そうな文様を絡み合わせた濃紺の入れ墨が彫られている。軽装に見えるが腰に巻いた動物の毛皮の下には何本もの鋭いナイフが入っている事を知っている。

男はイルアディスを見るとにいっと目を細めて面白そうに笑う。


「・・・なんだ?」

「いや、別に・・・相変わらずの仏頂面だと思って。」

「お前に言われたくはない・・。それよりも用件はなんだ。何か新しい事でも分かったのか?」

「ん〜、竜の事なら、大体この間伝えた通りだぜ。ほんっとーにあのおばさん馬鹿だよなあ。国の機密をべらべら喋っちゃって、頭足りてねーんじゃねーの?大体それで、自分の息子をユフテスの国王にできると思ってんだからほんとめでたいぜ。


まあ、竜と関連してる・・といやー、関係してるんだが、なんだっけ?その竜が目覚める時にあの塔の中に入ってる奴が竜を延命させる為の生け贄になるんだろ?そいつを喰わせたところで、俺らが横から竜をかっさらう・・というのは良いんだけどよ、邪魔者がいるらしいぜ?」


「邪魔者・・?誰の事だ?」

「アステールとエストラーダの連中、塔の中の生け贄を横取りしようとしているらしいぞ?」


「・・・・その情報、何処から手に入れた?」イルディアスが訝しげに問う。

「それは、、内緒!でもこれは信用できる確かな情報だぜ。」


「ふん。お前がいつも何処から情報を仕入れてくるのか、興味がある処だが、それが事実なら面倒くさい事になるな・・・。しかし何故アステールとエストラーダが関わってくる?あやつらも竜の事を嗅ぎ付け、狙っているのか?」


「う〜ん、一概にそうとも言い切れないな。俺が調べて来てやるよ・・。丁度奴ら、こっちに向かって来ているらしいし、途中で足止めしときゃー、問題ないだろ。」

イルディアスが、少し考えるようにあごをなぜる。「ふむ・・だが下手をすると厄介な事になりかねん。向こうの国からは誰が来る事になっている?」

「確か、アステールの第一王女と、エストラーダの第二王子だったかな・・」

「なるほど・・・仲の良い事だな。よし、足止めの件はお前に任せよう。だが、怪我はさせるなよ。こちらの首尾が上手くいくまで、不安要素は一つでも減らしておいた方が良いからな・・。」


「わかった。じゃあ、また連絡するよ。」そういうと男は猿のように枝から枝へと器用に飛び移りあっという間に見えなくなった。暫くその残像を見ていたイルディアスだったが踵を返し、歩き出した。


ーーー大国グランディス、グランディス帝国ーーー

そう諸国に呼ばれ出すのに長い時間はかからなかった。元々騎馬民族の長だった初代帝王が国を立ち上げ、近隣諸国を侵略、併合し、国は益々大きく栄えていった。イルアディスは先代帝王の腹心の部下として将軍の地位を得、またその名に恥じぬ様国の発展に尽力を尽くした。

そんな時に、帝王が暗殺されたのだ。他国への侵略を繰り返し大きくなってきたグランディスにもちろん敵は多く、帝王を刺殺した輩もすぐにその場で毒をくらい死絶えた。


帝王が息を引き取る今際の時まで気にしていたのが、残された幼い子、オズベルトだった。軍事力で幾ら国を大きくしようと、帝王やその家族の周りにはいつも死の危険が隣り合わせにあった。事実、幼帝の兄弟は全て毒殺されている。

大きくなった国を守る為には軍事力だけでは足りない。そんな時耳にしたのが、伝説の竜の存在だった。国に豊かな恩恵と知恵、そして鉄壁の護りを与えるという竜の存在。

先代の帝王はその伝説の竜を手に入れようと躍起になった。そして竜の聖地と呼ばれるトレム山地まで沢山の兵を使わしたが、結局竜を手に入れる事は叶わなかった。

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