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27話:キルケの災難3

突如、魔法陣が光だし中からキルケが飛び出すと同時に消える。アステール城下街郊外の小高い丘の上に趣味の悪い屋敷が建っている。いつ見ても趣味が悪いとキルケは思う。つんと空に向けて尖る円錐状の屋根はピンク色に塗られ、まるで子供のオモチャの城を実物化したようなシロモノだ。金があるなら、もう少しマシなものを建てれば良いと思うがジークフォルンにそんな事を言っても話にならない。


屋敷の中ではジークフォルンが水晶玉を見ながらワイン片手に悦に入っていた。「ウフフフフ・・来たわね・・私の可愛い子猫ちゃん。いつも屋敷に遊びに来てって言ってるのに、いやもとい・・一緒に住んで欲しいぐらいだけど・・いつもつれないんだもの・・。やっぱり一度クスリを盛ったのが行けなかったかしらね?あれからやけに用心するようになっちゃうんだもの・・。


でもせっかく可愛いキルケちゃんの為にいっぱい新作のお洋服を用意してるんですもの。あれも、これも着てもらわないと・・・」ジークフォルンの頭の中は着ぐるみを着た可愛いキルケの姿でいっぱいだ。やっぱり猫耳は絶対外せないわよね・・・。ああ、でもリボンも捨てがたい・・。不毛な妄想で頭を一杯にしてると突如ドッカーンとすごい音が響き、部屋が揺れた。


「あら、いやだ、キルケちゃんったら、そんな物騒な魔法つかわなくたって、貴方の為に私の心はいつでもオープン・ハートなのに。。」水晶玉を見つつため息をつく。

「これ以上屋敷を破壊される前に出て行った方がよさそうね。」語尾にいくつものハートマークを付けながらランランとしてジークフォルンはキルケを迎えに行く。


「くっそ、あいつどこに居やがる・・・」キルケはそこらにある物に当たりながら破壊行動を繰り返している。

「キッルケちゃ〜ん。あたくしはここよ。あなたのジークフォルンはここにいるわ〜。」そういって階段の上からジークフォルンがキルケ目指して飛び降りてくる。ドスンッと音を立てて着地するとジークフォルンはキルケをあっという間に引き寄せ、頬ずりして来た。ヒゲの跡が痛い・・・。

キルケはジークフォルンを睨みつけると言った。「お前が本を持って帰ったんだろう、返せ!」ジークフォルンはにやっと笑って答える。「いやだわ、キルケちゃん、あたしは“親切に”落とし物を拾っただけよ〜♪ せっかくキルケちゃんに連絡してあげたんだもの、拾い主には、何かご褒美があったっていい筈よねえ・・?」


キルケの瞳に殺気が籠る。「何が望みだ・・・」

「いやだわ、キルケちゃん、そんな怖い顔をしちゃ、せっかくの可愛い顔が台無しよ〜。そんな難しい事じゃないのよ?今日一日、新作のお洋服を着て、あたくしの目を楽しませてくれたら良いだけ。簡単なコトでしょう?キルケちゃんの大好きなお料理だっていっぱい用意してあるのよ。うふふふ。」


キルケは忌々しそうに言う。「分かった・・・ただし今日1日だけだ。もう金輪際お前の趣味に付き合うつもりはないからな!」


まあ、、先の事はまた、、キルケを籠絡する手はいくつも考えてある。ジークフォルンはにやけた笑いを噛み締めながら言った。「もちろんよ、キルケちゃん。本は大切に保管してあるわ。さあ、こっちに来て!もう、キルケちゃんの為に特別に用意してあるんだから!」そういってジークフォルンは、あらがうのも疲れた様子のキルケを引っ張っていった。

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