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26話:キルケの災難2

キルケは会堂の中でいくつかの魔道具を買いそろえると、目当てのブースに向かって歩いて行く。昨日ジェラルドと別れた後、鳥を使って連絡しておいたのだが、もう来ているはずだ。ユフテス王城から手に入れてきた本は幾つかの魔法が複雑に組み合わさっており、それを解くには、キルケといえども、そう簡単に行く訳ではなかった。それで、彼は解呪に詳しい友人の助けを借りる事にしたのだ。


「よう、キルケ、ここだ。」解呪専門の呪術師であるゾーグがキルケを待っていた。ゾーグとは長い付き合いだが信頼の置ける良い男だった。

「悪いな、急に頼んでしまって。」

「いいってことよ。俺も丁度良い腕試しになるしな。それで、例の本は?」

「ああ、ここに・・」キルケは懐をまさぐる。おかしい・・確かにここに入れていた筈だ。何故無いんだ?!キルケの顔が真っ青になる。落とした?まさかそんな筈は・・・・

「おい・・どうしたんだ、キルケ、大丈夫か?」

「無い・・・、本が無いんだ。」失態もいい所だ。キルケの表情は暗い。

「はあっ?忘れたのか、それとも落としたのか・・・?」

「いや、家を出た時はちゃんと・・・あっ、まさかあの時か?!」さっきジークフォルンにあって抱き上げられた時に落とした・・・?


キルケは急いで会堂の外に出た。居ない。辺りを見回したが、本も落ちてはいない。が、その時オウムが木の上からばさっと音を立ててキルケの肩に舞い降りた。このオウムは!

「キルケ・・マッテル・・ホン アズカッタ・・・ジーク マッテル・・オカノ イエ」

「やっぱりあいつか・・・」チッとキルケは舌打ちする。くそ、時間があまりないのに厄介な事になったな。

ゾーグがやってきた。「アレ・・そのオウムもしかしてジークフォルンんとこのか?」

「そうだ」短く答える。

「あいつ、お前んことマジで気に入ってるからな・・ん?なんだ、本はジークフォルンが持ってんのか?」

「持ってる・・・というよりさっきあった時に落としたのを持って帰りやがった。」フードをかぶってうつむくキルケの顔はよく見えないが、機嫌は最悪に悪そうだ。声に殺気がこもっている。「で、どうするんだ?」ジークは問う。

「行って取り返してくる。悪いな、ジーク、本を取り戻し次第連絡する。」そういうとキルケは不機嫌そうに言いながら地面に魔法陣を描き出した。魔術師たるものどこでも魔法が使えるように、万全の用意はしておく物だ。


「おい!場所は知ってんのか?」

「・・・・以前クスリを盛られて拉致られた事がある・・・。」そう低く呟くと、キルケは呪文を詠唱しだした。うむ・・なんというか、可哀想な事を聞いてしまった・・・。ジークフォルンの趣味はいやという程しっている。きっとあーんな事やこ〜んな事をされたのだろう・・。キルケはジークフォルンの趣味をいたく満足させる素材らしい。


移転の術を使うのか・・・どうやら本当に焦ってるみたいだな。そうこうしている間にキルケの姿はその場所から消え去った。やれやれ・・・なんとも無けりゃいいが・・。

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