1-2 学園の授業
ジリリ…!
目覚まし時計がうるさい。目は覚めるけど別の意味で目が覚めなくなりそうなくらいうるさい。
「うるせぇ!何の音だよこれ!」
まったくもって同感です。
「目覚まし時計の音だよ。」
カチッ
「死ぬかと思ったぞ。」
「でも起きれたしね?とりあえず支度して行こう!」
コンコンコンコンコンコン!
この音はまさか…
「迎えに来たぞー」
「誰だあいつ。」
「昨日知り合った、アイザっていう同じクラスの男子だよ。」
「お前と同じクラスっつーことは、俺とも同じクラスっつーことじゃねぇかよ。」
そういえばそうだった。この二人を混ぜて大丈夫だろうか。早くも気分が悪くなってきた。
「まだかー?遅れるぞー。」
「今行くよ!」
ガチャッ
「おまたせぇー。」
「なんだこいつ。漫画かぶれかなんかか?」
いきなり地雷踏みやがったこいつ。
「んだとてめぇコラ、なめてんのか?」
やだなぁこの人たち。
「なめねぇよ、おまえなんかしょっぱそうだし。」
「「そうじゃねぇ!」」
「マジで死にたいようだなぁ」
「うけてたとう!」
「「いくぞ!」」
「やめて!」
どこからか女の子の声が聞こえる。助かった。
「誰だ!ってあいつは!」
「知り合いか?」
なんかよくわからないけど姿が見え始め、オウガが慌て始める。
「また人に喧嘩売ってる。あんだけだめっつたでしょ!」
「す、すまん。」
この子は誰だろうか。
「あなたたち、ごめんなさいね。私はオウガのいとこ、ライラ・ラーナーよ。よろしくね。」
金髪ロングヘアーの少女が言った。正直かわいいと思った。
「よくわかんないけどそろそろいかない?」
「「「あっ!忘れてた!」」」
言ったはいいけど行き方知らない。
「ついてこい!近道で行くぞ!」
「アイザ、近道ってまさかあの昨日の道の途中にあった茂みのこと?」
「よくわかったな!はぐれるなよ!」
僕たちは、走って寮を出て、茂みに飛び込んだ。すると、地面がなく、穴に落ちた。ぐるぐる回ったりいろんな道があったりして、かれこれ十秒くらいたった時、
「もうすぐ出口だ!」
まばゆい光に包まれ、思わず目を閉じた。目を開けると、みんなで下駄箱前に座っていた。
「座ってる場合じゃないぞ!教室までダッシュだ!」
そして、何とか俺たちは、教室に着いた。
「皆さんおはようございます。昨日も言いましたが、担任のアメリアです。なぜ二度も言うのか不思議に思う人もいるでしょう。それはね、もう何人かあった人や気づいている人もいるかもしれないけれど、転校生がこの中にいるからです。前へいらっしゃい。」
俺は前へ出た。
「では、簡単な自己紹介をお願いね。」
「転校生のヒロト・マリンです。普通の人間ですが、よろしくお願いします。」
「はい、ヒロト君ありがとう。席は、そうね、今座っているアイザ君の後ろの席でいいわ。
さあ一時間目を始めましょう。一時間目は、魔法の基礎知識を学ぶ時間です。」
あ、基礎知識とかあるんだ。なんか学校っぽいな。生きてたらこんな感じだったのか。
「皆さんは、小さな時から魔法を身近にかんじてきましたね?その中でも、だれでも使うことのできる魔法と、人によって使うことのできない魔法があるのを知っていますか?誰でも使うことのでいる魔法というのは、例えば擦り傷を治す程度の回復魔法です。おそらくもっとも使われていると思います。そのような魔法のことを、基本魔法といいます。そのまんまですね。次に、人によって使うことのできない魔法です。これは、属性魔法と呼ばれるもので、人によって違うので何とも言えません。次の実技の時間に知りたい人は調べる道具を持ってくるので見てみてください。ちなみに私は主に、毒の魔法を使うことができます。皆さんに少しお見せしようと思います。ここに木の丸太があります。これに魔法を使います。いきますよ、『腐蝕』」
するとみるみる丸太が腐り、やがて液体になり、溶けた。教室の一部からは悲鳴が上がった。正直一番後ろの席でよかったと思う。だって近くにいると飛んできた液にあたって自分も溶けそうだから。
「こんな感じですかね。皆さん、ちゃんと見てましたか?大丈夫ですよ、人には使いませんから。これで一時間目を終わります。次の授業までに並んでおいてくださいね。」
みんな怖かったのだろう、アイザやオウガまですぐに並び始めた。そういえばライラは違うクラスのようだ。そんなことを考えながら俺も並んだ。
キーンコーンカーンコーン
「ちゃんと皆さん並んでいますね?それではついてきてください。これから実技場にいきます。」
よほど怖かったのだろう、みんな揃ってシーンとしてついてきている。察したのかアメリア先生が、
「皆さん、しゃべってもいいのよ。そんなに怖がらないで頂戴。」
いくら紫色の髪の毛のきれいな高身長の先生が言っても先ほどの様子を見せられたこちらとしてはやはり口を開きずらい。転校生の俺はなおさら。そんな空気のまま実技場に到着した。
「さあつきました、ここが実技場です。広いでしょ?ここで皆さんに今からこのかかしに自由に魔法をかけてもらいます。属性が知りたい人はこちらに一列に並んでください。ではどうぞ。」
みんな移動し始める。すると、
「なぁヒロト、属性調べに行かね、三人で。」
「いいよ、俺も知りたかったんだ。って三人?」
「そうだ、オウガとお前と俺の三人で。」
「分かった俺も行く。」
いきなりオウガが後ろから答える。
「のわっ、聞いてたのかよ⁉」
「逆に後ろにいてお前気付かなかったのかよ⁉」
「まあなっ!とりあえず行こうぜ!」
とりあえず三人で先生の所に行った。先生の前に何やら水晶のようなものが置かれていた。
「あら、属性が知りたいのね?じゃあまずはヒロト君からね。この水晶に手を置いて。そしたら色が変わるから。その色があなたの属性よ。」
手を当ててみた。すると青く光った。
「水属性ね。あら?」
「どうしたんですか?」
「なんでもないわ。水属性は、回復からサポート、攻撃に妨害と幅広い役割を果たすことのできる属性よ。よかったわね!次にオウガ君!」
何だか一瞬驚いたような顔をしていた。何があったか気になるところだがオウガが待っているのでひとまず気にしないことにした。オウガは赤く光った。
「あなたは炎ね!言う事はほとんど無いわ!攻撃特攻属性よ!遠距離か近距離得意な戦い方を見つけるか両方を織り交ぜて戦うのか、自分のやりやすい戦い方を見つけてね!最後にアイザ君!」
どうやら三人しか聞きに来なかったらしい。
「お前ら見るなよ!先生、小さい声で頼むぜ!」
「わかったわ!」
アイザが手を当てているが、よほど見られたくないのか体で隠れて見えない。
「よしっ!今日の授業は終わりよ!各自教室に戻って!」
「もどるか!」
「「おう!」」
教室に戻ると先生の話があり、自由解散になった。なんだかんだ楽しかった。明日は授業はなく、休日らしい。アイザたちと遊びにでも行こうか。なんて考えていると、
「なぁ、明日四人で遊ぼうぜ。」
丁度アイザが誘ってくれた。するとオウガが、
「四人?三人の間違いだろ?」
「ライラがいるだろ。」
「えっ⁉あいつもかよ。ま、いいか。ヒロトもいいよな?」
「うん、大丈夫だよ!」
「じゃあ決まりだな!」
こうして明日遊びに行くことになった。