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拝啓、終末の僕らへ  作者: 仁乃 戀
第二章
36/79

別の雰囲気

 その日の夜。

 僕は遊園地で買ったキーホルダーをベッドに寝転んで眺めていた。

 3人でどこかに行くことは過去に何回かあったが、単純に遊ぶという目的では今日が初めてだから、と言って玲がお土産コーナーで3人分買ってきた。

 僕にとっては、凄く大切なものになるだろう。


 大事にしよう、そう思って机の上のスクールバッグに付けようと体を起こしたとき、スマホの通知が忙しく鳴っていることに気が付いた。

 僕に連絡をする人は明梨か玲くらいだ。

 どうしたのだろう。


 画面を見ると、僕ら3人のメッセージグループからの通知だった。


 開いて内容を見る。

 玲からだ。


 〈2人とも、今日はありがとう。 遊んだ後にこういうことを言うのもなんだけど…………これを見て〉


 玲が送ってきたのは、いくつかの写真。

 その写真には、カフェで楽しそうに話す男女3人が写っている。

 ……僕と、明梨と、玲だ。

 色々な角度から写真が撮られている。

 特にフォーカスされていたのは、僕と明梨だ。

 玲も近くにいたから映ってはいるが、写真の中央に写っているのは基本的に僕だ。

 極めつけには、僕と明梨が2人で先に店を出る瞬間の写真。

 玲はまだ片付けていたから、僕と明梨しか写っていない。


 〈玲、その写真どこから……?〉


 明梨が玲に聞いた。

 メッセージでの会話だから顔を見ることはできないが、動揺しているのが伝わってくる。


 〈私のクラスの、女子からもらった。 クラスの女子だけのグループで、他クラスから私の写真が回ってきたって言われて……。 まさか、って思って、送られてきた写真を全部送ってもらったら、優と明梨も写ってたの……〉


 ここでやっとあのときカフェで時々聞こえたシャッターと、誰かからの視線が繋がった。

 このためだったのだろう。

 視線を感じたのは、僕がそちらを見ていないときだ。

 それで僕の顔をそちらに振り向かせ、僕だということを確実にわかるようにして写真を撮ったのだろう。


 にしても……盗撮か。

 僕や明梨、玲は特別誰かの気に触るようなことはしていないはずだ。

 それに、僕と明梨のツーショットが多く撮られている理由もわからない。

 考えられる理由として一番シンプルなのは、明梨と仲良くしている僕に嫉妬して写真を撮った、などだ。

 明梨は人気がある。

 それに対して、僕はそんな人気もない。

 それに、僕は最近髪を短く切ったりしていたから、大方調子に乗ったと思われたとか、そういうところだろう。

 他には、誰かが面白半分で撮ったとかが考えられるが、この有名進学校でそんなことをするような、浮かれた人はいないと思うんだよな……。

 僕も明梨も奨学生で、入学式の日から仲良くしているから話題性は十分だが、わざわざそんなことをする人はいないだろう。


 〈ひとまず、どうする? 犯人探しでもする?〉

 〈私としては正直、今すぐでも犯人を探し出して謝罪させたいところなんだけどね……〉


 どうやら、玲はこのことに対してかなり怒っているようだ。

 そりゃそうだろう。

 突然こんな写真を見せられて、嫌だと感じない人はいない。


 問題は明梨だ。

 さっきから既読はついているが、特に何も喋っていない。

 明梨がどういう心理状況なのかがすごく気になるが、ここはどう声をかけるべきか。

 いや、そもそも、俺は声をかけるべきなのか?

 コミュニケーション能力も上がってはいるが、元はと言えば僕はコミュ障予備軍のような立場だったんだ。

 下手に声をかけて気を悪くさせても嫌だしな……。


 〈優のクラスには回ってるのかな?〉

 〈僕らのクラスではまだ回ってるような雰囲気ではないな。 ……犯人探しをするというのなら、玲のクラスで少し話を聞いてくれないか? そして、出来るだけ僕らのクラスにその話を入れないようにしてもらいたい〉


 今のところ僕らのクラスでこの写真が回っている様子はない。

 仮に知らないとしたら、今この話を出すのは帰ってクラスを混乱させてしまう。

 僕個人のことならば気にしないが、明梨のこととなると話は別だ。

 少しでも明梨の負担を減らすことを考えたら、今僕が動くのは悪手だろう。


 〈うん、わかった。 なるべく2人に迷惑をかけないように聞いてみるよ〉

 〈ありがとう。 申し訳ない〉

 〈優が謝ることはないよ。 悪いのはやった人なんだしさ〉


 今日の楽しかった雰囲気から一転してしまった。

 玲は大丈夫そうだが、明梨が心配で仕方がない。

 それにこの雰囲気じゃ…………やりづらいな。


 僕は、入学式のときに感じた不安とは別の不安を感じながらも、眠りについた。

いつも読んでくださりありがとうございます!

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