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拝啓、終末の僕らへ  作者: 仁乃 戀
第一章
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思わぬ出会い

 満員電車に押し潰されて、やっと最寄り駅に着いた。

 最寄り駅とはいえ、高校までは少し距離があるので、ここから15分くらい歩く。

 周りを見ると、まだ少し早い時間ではあるが、同じ高校の制服を着た生徒がちらほらいた。


 しかも、みんな1人だ。

 他の人が既に友達を作って登校していたらどうしようと不安になっていた自分がいたが、無意味な心配だった。

 むしろ皆が自分と同じような立場なのかもしれないと思うと、不思議と親近感が湧き、安心した。

 人間ってこういうところは本当に単純な生き物だ。


 周りに従って、道を歩いていく。

 途中までは、おしゃれなカフェなどが立ち並ぶ大通りを歩くことになる。

 東京都内にあまり足を踏み入れたことが無かったから、ここがどれほどの場所なのかは分からないが、かなり発展している方だと感じる。

 学校帰りに遊びに行くのにも困らなさそうだ。


 少し歩いて角を右に曲がると、正面に目的地が見えた。

 見えた、とはいってもまだそれなりに距離はある。

 僕は受験期まであまり聞くことはなかったが、この高校はそれなりに有名で人気な進学校らしい。

 人気の理由の1つに、敷地が広いとか、施設が充実しているとかの理由がある。

 改めて見ると、本当に広いと思う。

 校舎は既に見えているが、正門から校舎までがまず長い。

 正門から噴水まで桜の木が並んでいて、その奥に校舎がある。

 大学だと言われても違和感がないくらい広く、綺麗な学校だ。


 桜並木を抜けて、噴水のところを左に行くとホールが出てきた。

 入学式の会場はここだ。

 入り口では先生らしき人たちが中に新入生を案内している。

 僕も他の学生に倣ってホールの中に入る。

 中は、僕が思っていたよりもはるかに広かった。

 外から見る限りだとそんなに広くなさそうだったが、地上と地下で2階建てのようになっていた。

 この中に約1800人が収まるというのだから相当なものだ。

 席は自由とのことなので、階段を降りるのを面倒臭がって2階の席に座ることにした。

 改めて見るとやはりすごい景色だ。

 まだ全然人は入っていないのに、いや、入っていないからこそ、これほど広く見えるのだろう。

 初めて見るような景色に驚いていると、「すいません。 そこ、いいですか?」と横から声をかけられた。


 「えっ」


 という声を漏らして反射的に声がした方に振り向く。

 そこには、1人の少女が立っていた。

 整った小さな顔。

 シャンプーのCMに出ていると言われても違和感がないほどにさらさらと流れる長い髪。

 こんな美少女、出会えたことが奇跡と言っても良いくらいだ。


 「あの……」


 ここで、ふと我に帰った。

 あまりにもかわいい、というより美しい同級生が隣に来たことで、思考停止してしまっていた。

 第一印象が大事だということを自分の脳内で反芻し、再び脳の活動を再開させる。


 「あっ、すいません。 今どきますね」

 「いえ、こちらこそ突然すいません」


 唐突だが、ここで1つ疑問に思ったことがあり、ほぼ無意識に口から出た。


 「そういえば、席って自由に選んで良いんじゃ?」


 そう聞くと、何故か彼女は首を傾げた後、はっとしたような表情を見せ、こちらの様子を伺うようにしながら口を開いた。


 「もしかして……友潟優(ともがたゆう)さんですか?」

 「えっ……まあ……そうですけど」

 「やっぱり! ちょっと来てください!」


 そう彼女が言った瞬間、僕は彼女に手を引かれて再びホールの入り口に行くのだった。

いつも読んでくださりありがとうございます!

アルファポリスでは、もう少し先の話まで投稿しているので、「どうしても続きが見たい!」という方は是非そちらをご覧ください!


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また、アルファポリスにて恋愛小説大賞に応募中ですので、もしよろしければ投票をお願いします!

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